[香港 17日 ロイター] - 中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)が、計画していた仮想現実(VR)ハードウエアへの参入を断念することが分かった。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。経済見通しが悪化し、メタバース(仮想空間)部門のコストと人員の削減を迫られているため。
テンセントは2022年6月に設立した「拡張現実」(XR)部門でソフトウエアとハードウエアの両方を含めた仮想現実事業の構築を目指し、300人近くを採用していた。
関係者2人によると、指輪のような携帯ゲームコントローラーを開発する構想もあった。しかし、短期間での収益化が難しく、競争力がある製品を造るには多額の投資が必要だったことなどから戦略転換に追い込まれた。
関係者の1人によると、社内予測でXR事業は27年まで黒字化する見込みがなかった。別の関係者は、XR部門に有望なゲームや、ゲーム以外のアプリが不足していたと指摘した。
1人目の関係者は「会社全体の新戦略の下で(XR事業は)もはやあまり適合しなくなっている」と述べた。
テンセントはゲームで遊ぶ機能に力を入れたスマートフォンを手がけるブラックシャーク(Black Shark)の買収を計画していたものの撤回した。関係者の1人は理由について、テンセントの戦略転換に加え、規制当局の監視強化を背景に審査に時間がかかることが予想されたため取りやめたと説明した。
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