[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)(0700.HK)が15日発表した第2・四半期決算(4─6月)は市場予想を下回り、業績減速への懸念を煽った。中国政府はオンラインゲームの規制に乗り出しており、テンセントの利益はさらに圧迫されそうだ。
第2・四半期の売上高は前年同期比30%伸びて740億元(110億ドル)となったが、予想平均の775億元には届かなかった。心配なのは、売上高全体の3分の1以上を占めるオンラインゲームの伸びが6%にとどまったことだ。全体の純利益は13年ぶりに減少した。
テンセントは13日、カプコン(9697.T)の人気ビデオゲーム「モンスターハンター:ワールド」の中国での配信を差し止められた。配信開始から数日後のことで、同社によると当局には「数多くの苦情」が寄せられたという。幹部らは、規制当局の再編によりゲームの承認が止まっていることを確認した。
世界最大のゲーム企業であるテンセントにとって、このタイミングは特に痛い。
ゲーム利用者がスマートフォンに移り、デスクトップ向けゲームは衰退傾向にある。一方、「QQスピード」や「王者栄輝(オナー・オブ・キングス)」といったモバイルゲームのヒット作も勢いを失いつつある。ジェフリーズによると、王者栄輝の月間アクティブユーザー数は2月の2億4500万人から6月は2億2200万人に減った。
テンセントは「フォートナイト」や「プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ」といった新たなゲームに成長復活の望みを託している。
同社は広告、ビデオ、音楽配信など事業の多角化を進めている。モバイル決済やクラウドコンピューティングなど他事業の売上高は81%も増え、全体の4分の1を占めるまでになった。しかしコストも膨らんでおり、中核のゲーム事業に比べて利ざやはずっと小さい。
テンセントは過去にも中国当局とのもめごとを乗り切っており、メッセージアプリの「微信(ウィーチャット)」は中国のスマホユーザーにとって欠かせないサービスだ。それでもなお、ゲーム事業はテンセントの利益の根幹を成している。
●背景となるニュース
・テンセントが15日発表した第2・四半期(4─6月)決算は、売上高が前年同期比30%増の737億元(107億ドル)だった。オンラインゲームの売上高は6%増の250億ドル強。
・調整後の利益は20%増の197億元。
・カプコンの人気ビデオゲーム「モンスターハンター:ワールド」が配信数日後の13日、テンセントの中国語ゲームサイト「WeGame」上から消えた。WeGameは、規制当局にこの件で数多くの苦情が寄せられたとの声明を出した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。