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インタビュー:ウクライナ情勢、再エネに「逆風ではない」=東電子会社社長

[東京 22日 ロイター] - 東京電力グループで再生可能エネルギー発電事業を担う東京電力リニューアブルパワー(東京都千代田区)の永澤昌社長は、ロシアのウクライナ侵攻により原油やガス田開発など化石燃料の上流投資が再び注目されていることに関連して、再エネ拡大という「大きな流れは変わらない」とし「向かい風ではない」と述べた。

 東京電力リニューアブルパワーの永澤昌社長は、ロシアのウクライナ侵攻により原油やガス田開発など化石燃料の上流投資が再び注目されていることに関連して、再エネ拡大という「大きな流れは変わらない」とし「向かい風ではない」と述べた。写真は都内の商業施設で2014年9月撮影(2022年 ロイター/Yuya Shino)

ただ同時に、政府の予算が化石燃料の確保に振り向けられるという「心配はある」とも述べ、「リソースが限られている中、(政府の対応は)短期的にはロシア情勢になる。注視はしたい」と話した。

ロイターとのインタビューで述べた。

永澤社長は「セキュリティ上からも、稼働率は低くても、あるに越したことはない」と述べ、原発の再稼働も進まない中で、再エネの発電量を増やしていくことは重要との認識を示した。

足元では、政府が設けたグリーンイノベーション基金により浮体式の洋上風力の実証開発も進められていることを評価した。

<洋上風力発電、非価格面で優位性示す>

同社も参加した秋田県沖の2海域と千葉県銚子沖の洋上風力発電の入札は、三菱商事を中心とするグループが3件全てを落札した。

永澤社長は「上限価格29円との乖離は次元を超えていた」と、安い落札価格に驚きを示した。「国内洋上風力は厳しい競争が始まった」との認識を示したが、同社が計画する洋上風力の開発計画については「今のところ、組み直すほどのことはない」とした。

今後の入札に向けては、コスト低減を進め、価格面でどこまで追い付けるか詰めているという。ただ「何が何でも追い付くという結論ありきは一番危ない」と指摘。価格面で劣後する部分があれば、非価格面でより優位性を示すことができるようにするとした。

<海外事業強化へ、出資で電源多様化>

永澤社長はまた、国内洋上風力発電事業と併せて、海外事業への取り組み強化を始めたことを明らかにした。

海外では、事業会社への出資参画も進め、電源多様化に取り組む方針。これにより、従来計画に対して、海外事業のウエートが高くなる可能性もあるとしている。

同社はこれまで、ベトナムのコクサン水力発電所、ジョージアのダリアリ水力発電所、インドネシアのKEL社に出資をしている。このうち、今年2月に出資したKEL社へは、発電所というプロジェクトベースではなく、会社そのものに出資をしている。

永澤社長は「今後の構想としては、水力発電以外、インドネシアでの風力、太陽光、地熱に拡大していく」と述べ、海外での電源の多様化へ取り組みを進めるための「第一歩を踏み出した」と位置付けた。

こうした事業会社への出資も含めて海外事業を強化することで「結果からすると、(従来計画に比べて)海外事業のウエートが大きくなることはあり得る」と述べた。

同社は、2030年度までに国内外で再エネ600―700万キロワット(kW)の新規開発(現在は18万kW)、純利益1000億円の目標を掲げている。

この目標は堅持する。新規開発は、海外の水力発電、海外洋上風力、国内洋上風力それぞれで200―300万KWを行う予定。

永澤社長は4月1日に就任した。

*インタビューは19日に実施しました。

(大林優香 清水律子)

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