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コラム

コラム:テスラ株売り出し、マスク氏に似合わぬ謙虚さ

[ニューヨーク 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米電気自動車(EV)メーカー、テスラTSLA.Oのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が謙虚に振る舞っているという話は、寡聞にして知らない。マスク氏はいつも、テスラの技術力や生産ペースについて大風呂敷を広げた挙げ句、実績が目標に届かないケースがままある。だが資金調達計画では、少なくとも今のところ幾らかの慎ましさを見せている。

9月1日、米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(写真)が謙虚に振る舞っているという話は、寡聞にして知らない。ロサンゼルスで2019年6月撮影(2020年 ロイター/Mike Blake)

テスラは1日、株式売り出しで最大50億ドルを調達する方針を発表した。全て売却しても発行済み株式総数の1%程度で、調達額こそ同社最大になるとはいえ、増資規模は過去数回のディールと比べれば半分にも足りない。これはテスラの時価総額が今年に入って6倍近くと、目が飛び出るほど高騰した結果だ。そして直近の値上がりは、株式分割に起因している。

今回の株式売り出しは、いわゆる「アット・ザ・マーケット」方式が採用され、引き受けの金融機関10社が任意のタイミングで売却できる点にも特徴がある。つまりマスク氏と経営陣がいかに余裕を持っているかが分かる。以前ならば、テスラは絶対確実に資金が必要だったので、同社にとっては従来の追加売り出し方式の方が魅力的だった。

テスラの評価額を考えれば、マスク氏がその気になればもっと多くの金額を簡単に調達できる。実際そうすべき事態になることもあり得る。計画されている売り出しでは、同社のキャッシュポジションはかろうじてプラスに転じる程度にとどまるからだ。

確かにテスラは、ロックダウンの影響でカリフォルニア州フリーモントの工場を閉鎖し、消費者の買い控えが起きたにもかかわらず、第2・四半期に予想外の黒字を計上した。それでもフリー・キャッシュフローは4億1800万ドルと、過去最高だった昨年第4・四半期の半分未満に減少した。さらに今後パンデミックの新たな波が発生すれば、自動車販売は通常よりも不安定になりかねない。

テスラは、電動トラック「セミ」や電動ピックアップトラック「サイバートラック」から太陽光パネル、ストレージ事業に至るまで資金手当てが必要なプロジェクトを数多く抱えている。一方マスク氏とすれば、キャッシュが入り続ける展開を当てにすることはできる。だが同氏には、テスラを通じて地球規模で温室効果ガスを削減するという、より大きな野心もある。投資家はマスク氏が既存事業に専念することを望むかもしれないが、テスラ株のロケット打ち上げのような高騰によって、同氏には、もし望むなら他の分野で大きな賭けを行う手段が与えられた形になっている。

●背景となるニュース

*テスラは1日、約1000万株を8月31日の終値に基づいて売り出し、最大50億ドルを調達すると発表した。いわゆる「アット・ザ・マーケット」方式で、引受金融機関10社がタイミングを選んで売り出す点が、一括して売却する従来の追加売り出しとは異なる。

*同社は28日、普通株1株を5株とする株式分割を実施した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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