for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

フォトログ:貧困を殴り倒せ リスク覚悟で試合再開願う9歳のキックボクサー

[バンコク 7日 ロイター] - タイのキックボクサー、ポーンパッタラ・ピーチャウライ選手のニックネームは「タタ」。年齢は9歳だ。試合シーズンは新型コロナウイルス対策のために5カ月以上も中断してしまったが、早くリングに戻りたいという想いを募らせている。タタ君のファイトマネーが家計の大きな柱になっているからだ。

 タイのキックボクサー、ポーンパッタラ・ピーチャウライ選手のニックネームは「タタ」。年齢は9歳だ。試合シーズンは新型コロナウイルス対策のために5カ月以上も中断してしまったが、早くリングに戻りたいという想いを募らせている。タタ君のファイトマネーが家計の大きな柱になっているからだ。2020年10月、バンコクのボクシングジムで撮影(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

「出場報酬とお祝儀、つまりボクシングで稼ぐお金はすべてお母さんに渡している」と細身の若きファイターは言う。

仮設ボクシング場で試合に勝利し、サポーターからチップを受け取るタタ(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

「自分がボクサーで、お母さんのためにお金を稼いでいることに誇りを持っている」

タタ君が最後に試合をしたのは昨年10月。その後、タイ国内でもCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の第2波が始まり、スポーツイベントが中止になってしまった。

姉のプーンラピーさんが携帯電話を使う近くで、少し眠ろうとするタタ(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

「試合ができない。練習もしていない。(略)お母さんの商売を手伝っている」

タタ君は、母親と姉プーンラピーさん(16)と共に暮らしている。プーンラピーさんもタイ代表のユースチームに所属するボクサーだ。

家族は貧困脱出の手段としてタタ君の稼ぎを頼りにしており、彼がムエタイのプロ選手として、あるいは警察か軍の代表選手になって昇進と賞与を得ることに期待している。

トレーニングの後、母親と過ごすタタ(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

母親のスリーポーン・エイムポンさん(40)「息子はいつも稼いだお金を家に入れてくれる」と語る。

「たまに、試合の後で何かオモチャを買ってくれとねだるくらいだ」

仮設リングでボクシングの試合をするタンタップ・ワー・ウラチャ君(9)とサンチャイ君(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

<健康への悪影響も>

子どもによる試合はタイでは大人顔負けの人気を呼ぶことがあり、大人の試合のトーナメントやお祭り、寺院の催事に合わせて開催される。タイのプロボクシング協会によれば、15歳以下のボクサーは推定30万人いるとされる。

だが医療専門家のあいだには、年少者によるボクシング禁止を求める声もある。発育不全、神経系への長期的な問題、脳損傷や身体障害の原因になりうるというのが理由だ。

仮設ボクシング場でのタタの試合に熱狂する母親のスリーポーン・エイムポンさん(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

現状では、子どものボクサーに求められるのは親の同意だけである。

スリーポーンさんは「ボクシングについては心配していない」と述べ、選手は自分の身を守るための練習を積んでいる、と言葉を添える。

「子どものボクシングでの負傷は多くない。システムを信頼している」

ジムで練習するタタ(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

だが、そのシステムがいつもうまく機能するとは限らない。

2018年、タタくんが出場したトーナメントで、13歳の少年がノックアウトされた後、脳出血のため死亡した。スリーポーンさんは、レフェリーが試合を止めるのが遅すぎたと言う。

ランシットボクシング場で試合をするボクサーのヨドペッチイーク君とベンシン君(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

国立マヒドン大学児童・家族成長研究所のアディサク・プリトポンカーンピム所長が参加する調査チームでは、子どものボクサー250人の脳スキャン画像を撮影した。脳の発達と知能レベルに影響を与えかねないダメージが広範囲に見られる例もあった。

「年長のボクサーに明白に見られるように、ボクシングは脳損傷をもたらす」とアディサク所長は言う。

試合に備えるタタ(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

「8ー9歳の子どもの収入に頼っている親たちは、自分が実際のところ子どもたちに何を要求しているのかを自問すべきだ」

政界の一部には12歳以下によるボクシングの禁止を目指す動きもあったが、国会への法案提出には至らなかった。また、子どもによる試合には人気があり、その所得が家計に支えになっていることもあり、提出されても抵抗される可能性が高かったと思われる。

ジムの中にある自宅で携帯電話を使うタタ(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

スリーポーンさんは、ボクシングは息子の人生そのものだと語る。

「私は下層階級の出身で、何とか食いつなぐだけの収入しかない。貯蓄もなければ、立派な家もない」と彼女は語る。

「タタの将来はボクシングにかかっている」

(翻訳:エァクレーレン)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up