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フォトログ:タイのドラァグクイーン 、民主主義と平等の旗手に

[バンコク 6日 ロイター] - 完璧な化粧、キャバレーとファッションモデル、レインボー・プライドと宮廷の式典をミックスした衣装をまとったアウンチャリー・ポキンウティポさん(26)は、タイで行われている抗議行動が、単なる政府退陣の要求をはるかに超えたものであることを象徴する存在だ。

 11月6日、完璧な化粧、キャバレーとファッションモデル、レインボー・プライドと宮廷の式典をミックスした衣装をまとったアウンチャリー・ポキンウティポさん(26)は、タイで行われている抗議行動が、単なる政府退陣の要求をはるかに超えたものであることを象徴する存在だ。10月25日、タイ・バンコクで撮影(2020年 ロイター/Chalinee Thirasupa)

華やかな衣装をまとい、「ドラァグクイーン」としてテレビのリアリティーショー番組で優勝したこともあるアウンチャリーさんは、軍部・王室といったエスタブリッシュメント(支配層)に反発する若者の集会の勢いに支えられ、同性婚やLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の権利を求めて長く続いてきた戦いを前進させたいと願っている。

デモに参加するアウンチャリーさん(2020年 ロイター/CHALINEE THIRASUPA)

民主主義の拡大に向けた広汎な要求だけでなく、タイ国内のトランスジェンダーたちが差別的と見なしてきた法律・政策を政府が変えようとしないことへの怒りがある。

「私たちは本当に人権を求めている。ずっと前からだ。言論の自由や平等とも関連している」と語るアウンチャリーさんは、「アンジェレ・アナン」という芸名の方でむしろ知られている。

「こうした抗議行動はタイでは新しい現象だ。過去には、こうした形で声を上げる機会などなかったから」

アウンチャリーさんの衣装は、黒いTシャツを好むことが多い学生たちの抗議の渦のなかでひときわ目立つ。鮮やかなドレスに、タイ王宮の民族舞踊で使われる「チャダ」と呼ばれる黄金の冠を合わせたかと思えば、レインボーカラーの傘にリボンの部分までカットの入ったシルクのドレス、 タイトなローカットのシャツに革の帽子、縮れ毛の白のウィッグを被ることもある。

LGBTの集会に参加するアウンチャリーさん(2020年 ロイター/CHALINEE THIRASUPA)

7月に始まった抗議行動は、当初、元軍事政権指導者のプラユット・チャンオチャ首相に矛先を向け、権力に固執し、対抗勢力に不当な圧迫を加えていると批判していた。

その後、王室の権力に制限を求める予想外の要求が出てきた。抗議参加者たちは、数十年にわたる軍政を支えてきたのは王室であると主張している。

大学やカレッジその他の学校を起点として抗議集会の主張は拡大していき、若者たちのオープンさと自由奔放な態度で知られる国を保守派エリート層が支配していることへの不満の捌け口となってきた。

アウンチャリーさんと父親(2020年 ロイター/CHALINEE THIRASUPA)

それは、アウンチャリーさんがバンコク近郊のアユタヤの自宅で続けてきた戦いでもある。

鍛冶屋の長男として生まれたアウンチャリーさんは、王制派の父親とも何とか折り合いをつけているが、顔を合わせることは稀だ。ジェンダーやアイデンティティー、抗議行動における自分の役割については、まともな会話にならない。

アウンチャリーさんと弟たち(2020年 ロイター/CHALINEE THIRASUPA)

「私が自分の意見を言うたびに揉めごとになる」とアウンチャリーさんは言う。「現代のタイは、もはやかつての姿ではないというのに」

「両親が私との縁を切ることを選んだのは残念だ」

アウンチャリーさんは15歳で退学し、バンコクに向かった。キャバレーのショーに出演し、ビヨンセの作品のメドレーを得意としている。

ショーの準備をするアウンチャリーさん(2020年 ロイター/CHALINEE THIRASUPA)

2018年にはバンコクのなかでも観光客に人気の高いパトポン地域のバーに出演するようになった。収入も増え、リアリティーショー番組「ドラァグ・レース」に出演するチャンスも得た。ソーシャルメディアでのフォロワーも増え、抗議行動に参加するようになってからはさらに拡大した。

ショーの準備をするアウンチャリーさん(2020年 ロイター/CHALINEE THIRASUPA)

アウンチャリーさんは、「国民から乖離している」と評する現政権への退陣要求を支持しており、王制を維持するためには改革の必要があると率直に語る。

彼女によれば、抗議行動は、自由主義を拡大し、雇用や結婚、相続、養子縁組、財産共有などの点でLGBTの人々が直面する障害を排除する貴重なチャンスにもなっているという。

「私が求めているのは平等と公正だ」とアウンチャリーさんは言う。「その原則は、誰にでも同じように適用できる」

(翻訳:エァクレーレン)

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