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コラム

コラム:TikTok、身をもって学ぶ米大統領の「交渉術」

[サンフランシスコ 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、米国の安全保障にとって懸念のある企業案件を巡っては大統領が切り札を握る可能性があるということを身をもって学んでいる。

8月2日、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、米国の安全保障にとって懸念のある企業案件を巡っては大統領が切り札を握る可能性があるということを身をもって学んでいる。写真はTikTok のロゴと米国旗。2019年11月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

トランプ大統領はTikTokの売却を求めたかと思えば、その後売却に反対する可能性を示唆。買い手候補である米マイクロソフトMSFT.Oのナデラ最高経営責任者(CEO)と2日に電話協議を行った。

トランプ大統領はディールメーカーを演じており、TikTokを運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)や、他の買い手候補にとっても不安がぬぐえない。

マイクロソフトによる買収が実現すれば、同社にとっては2016年に260億ドルで取得したリンクトイン以来の規模となる。ロイターとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は週末にかけて、TikTokを巡る交渉について報道。マイクロソフトは2日、トランプ大統領との電話協議後、TikTok買収に向けた交渉を継続する考えを示した。

バイトダンスは2017年に米動画アプリ「Musical.ly」(ミュージカリー)を買収し、TikTokのサービスと統合した。外国企業による米国の企業・資産取得を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)は、この案件を巡り調査を行っている。大半の企業はCFIUSに異議を申し立てることはしないが、まれに抵抗する企業があれば、大統領の介入が可能だ。

実際、そうした事例は2012年に起きた。中国・三一重工の関連会社ラルズがオレゴン州で風力発電基地を買収した案件に絡むもので、1975年のCFIUS設置以降、同委員会の判断に対して訴訟が起こされた唯一のケースとなった。

当時のオバマ大統領はラルズに対し、風力発電基地の売却だけでなく、コンクリートの土台など追加建設された施設の撤去を命じたほか、従業員による同敷地へのアクセスも禁止し、三一はそれに従った。

この事例は、M&A(合併・買収)による安保リスクを巡っては大統領が裁量を持つことをあらためて浮き彫りにした。トランプ政権でも数件の介入事例がある。トランプ大統領は3月、北京中長石基信息技術002153.SZに対し、ホテル管理ソフトウエア会社ステイNタッチの売却を命じた。2018年にはアント・フィナンシャルが米送金大手マネーグラムの12億ドルでの買収を断念。また、出会い系アプリ「グラインダー」を2016年に買収した中国企業は、約3年後に同アプリの売却を命じられた。

規制環境が厳しくなる中、このほかにもM&A案件に影響が生じている。ある銀行関係者は最近の事例として、CFIUSの審査を回避するため、中国企業による買収案より提示額の低い米企業のオファーを受け入れた2件の案件に言及した。

バイトダンスはアンクル・サムが究極のポイズン・ピルだということを学んだ数多くの中国企業の1社にすぎない。

●背景となるニュース

*米マイクロソフトは2日、ナデラCEOとトランプ大統領の協議後に声明を発表し、バイトダンスからTikTokを買収するための交渉を継続する考えを示した。マイクロソフトはティックトックの米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにおける事業を引き継ぐことを提案。9月15日までの結論を目指すとしたほか、他の米投資家による少数株式取得を受け入れる可能性があるとした。

*ムニューシン米財務長官は2日のテレビ番組で、CFIUSはTikTokが現在の形で存続することはできないとの見解で一致していると発言。1億人の米国人の情報が中国政府の手に渡るリスクがあるとし、選択肢はトランプ大統領が売却を命じるか、TikTokを禁止するかだと発言。

*トランプ大統領は7月31日、TikTokの利用を禁止する意向を表明。

*ロイターは1日、バイトダンスがTikTokの米国部門を同社から完全に切り離すことに同意し、マイクロソフトに売却する可能性があると報じた。

*WSJは2日、トランプ大統領の反対により、バイトダンスとマイクロソフトの交渉が中断されたと報道。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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