April 10, 2013 / 12:11 PM / 7 years ago

為替動向で金融政策は変更しない=黒田日銀総裁

[東京 10日 ロイター] 日銀の黒田東彦総裁は10日、ロイターなどとのインタビューに応じ、4日に打ち出した大規模な「量的・質的金融緩和」政策への市場反応は「基本的にポジティブ」との見方を示し、長期金利が乱高下していることについては「新しい均衡点を模索していく動き」と語った。

4月10日、日銀の黒田東彦総裁は、ロイターなどとのインタビューに応じ、大規模な「量的・質的金融緩和」政策への市場反応は「基本的にポジティブ」との見方を示し、長期金利が乱高下していることについては「新しい均衡点を模索していく動き」と語った。日銀本店で同日撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

為替市場で円安が加速しているが、為替政策の権限と責任は政府にあるとし、為替相場の動向によって「金融政策を変えることはない」と明言した。

あらためて今回の緩和策は、2年程度を念頭に置いて2%の物価安定目標を達成するために「必要な措置はすべて講じた」と強調し、「あくまで目標が達成されるまで必要な措置はとる」と物価動向に応じた追加措置にも含みを持たせた。

<緩和策受けた市場反応は「ポジティブ」、長期金利は均衡探る動き>

黒田総裁は、就任して初めての金融政策決定会合で、長期国債の大規模購入を柱に、今後2年でマネタリーベースや長期国債などの保有額を2倍にする大胆な金融緩和策を打ち出した。これを受けて市場では株高・円安が一段と進行しているが、総裁は市場の反応について「基本的にポジティブ」との見方を示した。一方、長期金利が連日、乱高下していることには「新しい均衡点を模索していく動き」とし、これまでと次元の違う緩和策を講じた中で「こうした市場の動きはある程度、あり得る動きだと思っている」と語った。その上で、市場の動向を「十分に注視し、市場の反応を点検していくことは引き続きやっていきたい」と述べ、市場関係者と対話の場を定期的に設けていく考えを示した。

<為替が目的ではない、権限と責任は政府にある>

緩和策を受けて、為替市場では1ドル=100円に迫る円安が進行している。総裁は「中銀として為替の特定の水準や方向について具体的に申し上げることは適当ではない」としながら、今回の緩和策は、物価安定目標の達成という国内目的の政策であり、「為替を目標にしたものではまったくない」と強調。今回の措置で日本経済が回復すれば「周辺国を含めて世界経済にもプラス」と述べ、4月中旬にワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で「量的・質的緩和の目標、目的を十分に説明したい」と語った。

しかし、一段と円安が進行すれば、他国から通貨安誘導の批判を受けるなど弊害が出てくる可能性がある。総裁は「為替レートがどうなるのか、それが経済にどのような影響を与えるのかは、十分にモニターはしていく」としながら、「日銀が為替レートを目標にしたり、それをみながら金融政策を変えるということはない」と断言。「為替レートについて権限と責任があるのは政府だ」とし、為替相場の過度な変動には政府が為替市場介入などで対応すべきとの認識を示した。また総裁は、一般論として他の需要が一定であれば金融緩和をした国の通貨は下落する傾向にあるとしたが、「それがいつまでも続くわけではない。経済が高い成長を遂げれば、逆に通貨が強くなる可能性もある」と語った。

<実体経済への効果波及に自信>

今回の緩和策については「2年間を念頭に置いて2%の物価安定目標を達成するために、現時点で必要な措置はすべて講じた」と説明。大胆緩和への期待も反映して企業や家計のマインドが改善し、インフレ期待も高まりつつあるが、総裁は緩和効果について「資産効果が出てきている中で、実体経済が徐々に回復し、物価上昇率も徐々に上昇していくと思う。今回の政策は十分に持続力がある」と述べ、実体経済への効果波及を通じて「物価目標の達成につながっていく」と自信を示した。

<追加緩和を排除せず、必要に応じて上下の調整あり得る>

今後の経済・物価動向によっては追加緩和が必要になる可能性もあるが、これに関して総裁は「目標は2%の物価安定目標。2年というのは、2年程度を念頭に置いてやるということ」とし、「あくまで2%の物価安定目標が達成されるまで必要な措置をとる」と追加緩和の可能性を排除しなかった。リスク要因には上振れ・下振れ双方が存在することから、「その時々に応じて必要な上下方向の調整はあり得る」とも述べたが、「現時点では、2%の物価安定目標が達成するのに必要な措置をとるというのが一番大きなコミットメントだ」と繰り返した。

<物価見通し引き上げを示唆>

追加策の是非を判断する上で、日銀の物価見通しが重要な材料になるとみられる。日銀は毎年、4月と10月の年2回、先行き2年程度の経済・物価見通しを示す「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表しており、次回は4月26日の金融政策決定会合で議論される。今年1月の中間評価では、2014年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)はプラス0.9%(政策委員見通しの中央値、除く消費税率引き上げの影響)と見込んだ。総裁は展望リポートにおける物価見通しについて「これだけ思い切った量的・質的緩和を実施したので、それを踏まえて足元の経済をみながら見直す必要がある」と引き上げを示唆。見通し期間自体を2015年度までの3年間に延長する考えについては「3年について見通しを検討するかどうかを含めて、政策委員会で十分に議論していきたい」と語った。

<大きな副作用もたらす恐れはない>

従来にない大規模な緩和策に踏み切った事で、資産バブルの発生など副作用を懸念する声もあるが、総裁は「現時点でこの政策が大きな副作用をもたらす恐れが高いとは思っていない」と明言。残存期間の長い国債の大量購入によって、出口政策が困難になる可能性もある。総裁は「出口戦略を具体的に議論するのは時期尚早」としたが、米国では連邦準備理事会(FRB)の出口戦略において債券を償還まで保有し続けることや、超過準備に対する付利の引き上げなどが議論されていることに言及し、「十分に参考になる」と語った。

<ETFなど損失発生時の政府との分担、取り決めは必要ない>

今回の緩和措置では、ETF(指数連動型上場投資信託)と不動産投資信託(J─REIT)というリスクの高い資産の増額も決定した。その分、市場価格が下落した場合に損失が膨らむ可能性があり、日銀内でも政府との損失分担を議論すべきとの声がある。総裁は、こうした資産が「国債などに比べてはるかにリスクが大きいことは事実」としたが、損失が発生した場合の対応については「具体的に政府とリスクシェアすることを決めなくても、仮にリスクが実現すれば、(日銀の)利益が減って、政府に対する納付金が減る。その意味では、リスクはシェアされる」とし、あらかじめ分担方法を取り決めておく必要はない、との認識を示した。

(ロイターニュース 伊藤純夫:編集 石田仁志)

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