September 18, 2013 / 8:08 PM / 6 years ago

米FOMC、量的緩和の縮小見送り:識者はこうみる

[ワシントン/東京 19日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は18日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、これまで行ってきた月額850億ドルの資産買い入れを当面継続する方針を表明した。

9月18日、米FRBは、米FOMC後の声明で、これまで行ってきた月額850億ドルの資産買い入れを当面継続する方針を表明した。写真はバーナンキ議長。ワシントンで7月撮影(2013年 ロイター/Kevin Lamarque)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●緩和縮小には一段と強い指標が必要

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を見送った背景として、緩和縮小に前向きだったサマーズ氏が次期議長を辞退し、政治的に縮小を手掛ける必要性が薄れていたことが挙げられる。米経済指標については、捉え方次第で縮小を開始する理由にも見送る要因にもなり得るが、今回見送られたことで一段と強い経済指標が出てこないと緩和縮小できないということになる。緩和縮小のタイミングを逸した可能性があり、年内に加え、バーナンキFRB議長最後のFOMCとなる年明け1月の実施も難しくなってきた。縮小緩和は次期議長に委ねるのではないか。

市場は緩和縮小をだいぶ織り込んでいたが、緩和縮小実施の時期が遠のいたことで株式市場には追い風となる。外為市場はドル安/円高に進んだが、この反応は行き過ぎだ。米量的緩和が続けられることで景気重視の姿勢がより鮮明となった。米景気の回復が続けば株高につながり、為替も最終的にはドル高/円安に進むとみている。

●市場のオーバーシュートに要注意

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)が資産買い入れ縮小を見送ったことに関して、財政の緊縮を含む債務上限の引き上げ問題、住宅ローン金利の上昇の悪影響を足場に慎重な安全策をとったと受け止めている。

米株式市場の過去最高値更新はうなずけるが、米長期金利の急低下とドル安に関してはややパニック的な動きで、行き過ぎたところがある。そのため、このまま一方的に金利が下がることにはならないとみている。金融政策の方向としては、資産買い入れ縮小・停止は変わっていない。問題はタイミングだ。今回は慎重に対応したが、白紙撤回されたわけではない。市場のオーバーシュートには要注意という感じだ。需給的に良好な円債市場は米金利が一段低下し、円高のため追い風となりやすい。

10年最長期国債利回り(長期金利)は節目の0.7%割れを試す動きになりそうだ。ただ、需給や一時的な外部環境の好転で金利低下を後押しし続けるとは思っていない。むしろ節目水準では戻り売りも入り、もみあいになることも想定できる。

●サプライズ、株高は反転の可能性

<アクション・エコノミクスのグローバル通貨分析部門マネジングディレクター、ロナルド・シンプソン氏>

あらゆる市場関係者にとってサプライズとなった。ドルは下落し、株式は上昇、債券利回りは低下した。おそらく外国為替市場はドルのショートに傾きかけていたものの、誰も量的緩和の縮小見送りを想定していなかった。

株式市場では反転が見られるかもしれない。何も行動しないことは、経済に関する警告と受け止められる可能性があるからだ。

●不透明感やや強まる、短期的にはハト派維持へ

<シュワブ・センター・フォー・フィナンシャル・リサーチ(コロラド州)のディレクター、ブラッド・ソーレンセン氏>

米連邦準備理事会(FRB)が送りたかったメッセージは明らかだ。政策スタンスは依然として非常に緩和的であり、現時点ではハト派寄りに傾いている、というものだ。きょうの市場の動きが今後も維持されるかは、中・長期的な問題だ。

先行き不透明感が若干強まった。

今後1─2カ月以内に新FRB議長が指名されるという問題もあり、これも市場が嫌う不透明要因となる。

とはいえ、インフレ圧力はなく、FRBは少なくとも短期的には、非常にハト派的な姿勢を維持するだろう。株式を含めリスク資産にとってはプラス要因だ。

●景気の弱さ懸念、超緩和長期維持のリスクを選択

<PIMCOのモハメド・エラリアン共同最高投資責任者>

FRBは依然、経済全般の停滞を懸念しており、早すぎる引き締めリスクでなく、過度に緩和的な政策を過度に長期間維持するリスクの方を選んだ。経済データは、FRB独自の方法に基づく予想を下回り続けている。

●金・石油価格反発へ、FRBは一段のインフレ望む

<アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルドフ氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)が緩和縮小に踏み切らなかった背景には、このところの景気鈍化やさえない雇用増、デフレに対する懸念がある。

特にドル建て商品などの資産に対する金融(政策上の)支援は続くことになる。

米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ縮小・停止を織り込み、このところ下落していた金や石油の価格は反発するだろう。FRBは一段のインフレを望んでおり、逆の状況を目指していない。

●買い入れ縮小は来年以降に先送り

<レイモンド・ジェームズの債券資本市場責任者、ケビン・ジディス氏>

FRBは依然、今行動を起こすには米経済の成長が安定していないと判断した。これを受け株価は上昇、米債券利回りは8─15ベーシスポイント(bp)低下した。目先は金利低下、株高となるだろう。

バーナンキ議長は会見で、米経済は「緩やかに」拡大、雇用の伸びは引き続き「一様ではない」との考えを示した。財政の逆風が成長を押し下げ、経済指標は資産買い入れの縮小を「正当化しない」とFOMCが結論付けたと述べた。

これは緩和縮小が来年まで先延ばしされることを示している。今後の消費回復や雇用の伸びも鈍い公算が大きい。

●FRB、金利急上昇を懸念している可能性

<グローバル・インカムの副社長兼ポートフォリオマネジャー、エリック・ステイン氏>

縮小のシグナルを出しながら見送ったことは驚きだ。だが、市場や経済状況に縮小を正当化できるほどの大きな変化がない中でFRBが縮小を示唆しているとみえたのはなぜだろう。声明はかなりハト派的だった。

連邦準備理事会(FRB)メンバーの間では利上げ開始の予想時期が後ずれした。買い入れ縮小を見送りながら、文言と金利ガイダンスはハト派的だった。

FRBは、金利が過度に急速に上昇したことを懸念している可能性がある。金利は過去1カ月ほど安定しているが、3カ月ほど大幅に上昇した。FRBは、緩和縮小をフェデラルファンド(FF)金利の見通しから切り離すという難しい課題に向き合ってきた。

●FRBは経済情勢に一層神経質に、政治混乱も懸念

<コモンウエルス・フィナンシャルの最高投資責任者(CIO)、ブラッド・マクミラン氏>

資産買い入れの縮小は見送られた。市場はFRBの刺激策継続を歓迎しており、株式市場での短期的な観点からは、縮小見送りは好材料と受け取られるだろう。

実体経済の観点からみると、FRBは一般に考えられている以上に経済情勢に神経を尖らせていると言えるだろう。

FRBはこれまで一定の水準のインフレ率と雇用を確認することを望んでいるほか、政治的な混乱の可能性をかなり懸念視していると考える。現時点で刺激策の縮小に着手することは、今後数週間で必要となるかもしれない景気支援策を取り除くことになりかねないだろう。

●12月が焦点、縮小規模大きくなる可能性

<ウェルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏>

100億ドル(の債券買い入れ縮小)を見込んでいたが、連邦準備理事会(FRB)は縮小を見送った。声明発表前は縮小の時期は問題ではなく、規模が問題だった。何もしないとは驚きだ。

FRBは政策金利の引き上げは段階的になるとしていた。メンバーの利上げ開始予想をみると2015年の利上げ開始を予想するメンバーが前回から2人減った。

今後の焦点は12月だ。バーナンキ議長が縮小について説明する機会になる。きょうは縮小が見送られたことから、縮小のペースは速まる可能性がある。量的緩和に関する表現の変更がない限り、縮小規模は大きくなるだろう。「小幅な縮小」との見方は後退する。

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