October 10, 2012 / 6:07 AM / 6 years ago

下り坂独走する日本株、固有の嫌気材料に中国懸念重なる

[東京 10日 ロイター] 景気減速懸念が強まる中、世界的に株安が進み、とりわけ日本株の下落率が突出している。株価上昇局面では出遅れ、下落局面では先行するという、これまでにも見られたパターンが再び起きている。

10月10日、景気減速懸念が強まる中、世界的に株安が進み、とりわけ日本株の下落率が突出している。写真は都内の外為トレーダー。2010年9月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

人口減少やデフレ、円高、不安定な政治など固有の懸念材料に加え、中国での日本製品の販売不振といったネガティブ材料が、日本株売りに拍車をかけている。

<懸念材料多く期待低い日本株>

きょうも日本株の下げが目立った。前場の日経平均.N225は前日比148円安の8621円。下落率は1.69%と前日の米ダウ.DJIの0.81%安の倍以上下げた。日経平均は前日も約1%下落しており、米株安を先取りした感もあったが、買い戻しの動きは乏しい。アジア株も軟調だが、午後の上海総合指数.SSECは引け際プラス圏に浮上、午後零時半過ぎ時点で、香港のハンセン指数.HSIは約0.4%安、韓国の総合株価指数.KS11は約1.2%安と、日本株よりは底堅い。

東証1部の業種別では石油・石炭製品を除いた32セクターすべてが下落。日本のノーベル医学生理学賞受賞に沸いた医薬品株も早くもマイナスに転じている。日経平均は6月高値から9月高値まで12.7%上げたが、米ダウは6月安値から10月高値まで13.5%上昇、FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3も9月高値まで18.1%上昇している。米ダウと日経平均ではさほど違いがないようにみえるものの、米ダウはすでに約4年10カ月ぶりの高値水準だ。株価上昇局面での日本株の出遅れ感が際立つ一方、下落局面では先行するという「いつものパターン」(準大手証券)に再び陥っている。

今回の下落局面で日本株を下押している一つの要因は中国懸念だ。経済減速による需要減少への懸念に加え、尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり自動車など日本製品の売り上げが落ち込んでいることへの不安がある。米国販売の好調などで比較的底堅かった国内自動車株も、日産自動車(7201.T)やホンダ(7267.T)が年初来安値を更新した。復興需要で先進国の中では比較的堅調と見られていた日本経済だが、世界的な景気減速懸念に加え、最大の輸出先である中国との関係悪化で景気や企業業績の下振れが懸念されてきたことで、失望感が広がっている。

S&Pは2日付リポートで、日本経済が中期的に減速するリスクがあるとの見方を示した。復興需要の寄与が弱まってくる中で、世界経済の先行き不透明感による外需の低迷や消費増税による個人消費落ち込みが懸念されるとしている。実質国内総生産(GDP)成長率は2012年度は2.0%の予想だが、13年度の成長率は1.6%、14年度は1%未満へ低下する可能性があるという。

さらに円高や不安定な政治、人口減少、デフレ継続といった日本株独自の売り要因も重しとして残ったままだ。「株価水準は低く反発力はあるが、パフォーマンス向上が見込めないとして、ヘッジファンドだけでなく、国内勢も日本株を売っている」(大手証券)という。東証の投資主体別売買動向で外国人投資家は9月まで5カ月連続の売り越しで、9月後半以降は売り姿勢を強めている。投信や金融機関など国内機関投資家も9月後半以降は売り基調だ。「国会審議は進まず、補正予算も宙に浮いたまま。政治の空白が日本株や日本経済の重しになっている」と岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏は話す。

<日本発「質への逃避」も>

リスクオフの動きが強まる中、「安全資産」の国債は堅調さを強めている。午前の円債先物は小幅続伸し、10年長期金利は0.765%に低下した。あすの30年国債入札を前にしたヘッジも出たことで、上値幅は限られたが、質への逃避の動きが強まるなか、日経平均が大幅に下落すると、国債先物も上昇幅を広げる場面があった。

みずほ証券・チーフ債券ストラテジストの三浦哲也氏は日本経済について「とくに収益力低迷という構造問題に直面している製造業セクターに追い討ちをかけるような状況となっており、足元ではそれを信用リスク不安に繋げようとする動きもクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場から確認できる」と指摘する。

CDS市場では電機、鉄鋼、製紙、海運といった中国関連のセクターのスプレッドが日替わりでワイド化している状況だ。「質への逃避」という言葉は、これまで欧州債務危機に関連した言葉であったが、日本市場から再燃しそうな空気も漂い始めていると三浦氏は言う。

<消えない円高懸念>

日本株が海外株にアウトパフォームするのは、今春のような景気回復期待に円安が重なる時だ。そのためには米景況感の改善による米金利上昇が欠かせないが、比較的堅調だった9月米雇用統計でも市場センチメントは上向かなかった。

午前のドル/円は78円台前半で推移。9月米雇用統計の失業率が3年8カ月ぶりの低水準になったことで前週末に78円後半まで上昇したが、すぐに78円台前半まで下落。「財政の崖」をめぐる懸念などが払しょくできない中で、米金利は上昇せず、ドル/円の上値が重くなっている。

大和証券・投資戦略部担当部長チーフ為替ストラテジストの亀岡裕次氏は、ドル高にはなりにくい状況がしばらく続くとみている。「経済指標は改善傾向にあるので、これ自体はドル高要素だが、一方で『財政の崖』懸念が残っており、これはドル安要素だ。ドル/円は78円近辺で推移しやすく、上がっても79円程度だろう」という。そのうえで「下値リスクもくすぶる。欧州や中国の景気減速が続いており、特に欧州の景気減速が止まらないようだと、リスク回避の円高要因となる」との見方を示している。9月日銀短観での自動車(大企業ベース)の2012年度の想定為替レートは1ドル79.81円。79円程度の円安では業績への見方は変わらない。

米アルミ大手アルコア(AA.N)が9日発表した第3・四半期決算は、市場予想を上回り、ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを運営する米ファストフード大手のヤム・ブランズ(YUM.N)は中国の既存店売上高が6%増と好調だったこともあって通年の1株利益見通しを上方修正した。だが、市場から楽観論は聞こえてこない。「トップバッターは好調だったが、クリーンアップの登場はこれから。見通しを引き下げられるのではないかとの不安がある」(野村証券シニアストラテジストの村山誠氏)という。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 久保信博)

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