October 22, 2012 / 5:47 AM / 6 years ago

日銀追加緩和の織り込み進む、円安継続で底堅い日本株

[東京 22日 ロイター] 日銀の追加緩和期待が市場心理を下支えている。前週末の米株が業績悪化懸念の広がりで大幅安となったものの、週明けの日本株はプラス圏に浮上するなど底堅い動きを示した。

10月22日、日銀の追加緩和期待が市場心理を下支えている。前週末の米株が業績悪化懸念の広がりで大幅安となったものの、週明けの日本株はプラス圏に浮上するなど底堅い動きを示した。写真は都内で6月撮影(2012年 ロイター)

30日の日銀決定会合に対する期待で円安が継続。世界経済減速による業績悪化懸念を押しとどめている。ただ、相場への織り込みが進むなか、サプライズがなければ円高が再進行するとの見方も出てきた。

<円安が業績懸念を和らげる>

週明けの東京株式市場では、ノンバンクや不動産など金融緩和に敏感なセクターが上昇し、相場を下支えた。前週末に米ダウ.DJIが205ドルの大幅安、日経平均.N225も一時9000円大台を回復したことで、22日は目先的な達成感が出やすかったが、下げ幅を徐々に縮小させ、後場に入ってプラス圏に浮上している。銀行や保険など金利敏感セクターの一角は利益確定売りに押されたものの、日銀の追加緩和期待を背景に円安が継続していることが相場の下支え要因になっているという。ドル/円は79円47銭を上回り、8月21日以来の高値を付けた。

マーケットでは、30日の日銀決定会合で示される2014年度までの経済・物価見通し(展望リポート)が物価上昇率1%の目標に届かない公算が大きいとして、追加緩和が実施されるとの見方が多い。「国債買い入れや、買い入れ枠の余裕がなくなりつつある指数連動型上場投資信託受益権(ETF)や不動産投資信託(J─REIT)の枠拡大などで買い入れ基金の増額が行われるのではないか」(国内証券)との予想が出ている。

ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)やハネウェル・インターナショナル(HON.N)など米製造業大手が19日発表した決算は、いずれも売上高が市場予想を下回り、世界各地で需要低迷が続く状況を浮き彫りにした。今週から本格化する国内の企業決算発表も外需系セクターを中心に業績下方修正懸念が強いが、円安が下支えしてくれるとの期待が出ている。SMBCフレンド証券シニアストラテジストの松野利彦氏は「米株に比べ日本株の水準は低い。円安が進めば業績懸念を和らげてくれる。1ドル80円に乗れば市場の雰囲気は大きく変わるだろう」と述べる。

<「サプライズ」がポイントに>

ただ日銀緩和期待の織り込みが進めば進むほど、「セル・オン・ファクト(予想が現実化した時の売り)でドル/円が売られるかもしれない」(外銀)との懸念を強めることになる。

SMBC日興証券・金融市場調査部の為替ストラテジスト、野地慎氏は、3年までの長期国債買い入れなど資産買入等基金拡大といったこれまでの追加緩和政策路線の踏襲では、ドル/円の上昇は限定的であると指摘。サプライズがなかった場合には、11月以降にドル/円が再度77円台前半まで下落する可能性があるとの見通しを示す。

「政治からの圧力が高まっている現状では、追加緩和期待はくすぶり、急激な円高進行は起きないのではないか」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との見方もあるが、追加緩和自体の織り込みが進む中、サプライズの有無はドル/円の方向性に大きな影響を与える可能性がある。

2月の「バレンタイン緩和」の際に日銀は1%の物価目標値を示すなど、これまでの枠組みを超えた緩和策を示したことで、市場では日銀は変わったとの見方が広がり、米金利の上昇もあってドル/円は84円台まで上昇した。「2月緩和以降は、無制限購入など大胆な措置を進める欧米中銀に対して、日銀は緩和度が見劣りするとの見方が広がっている。市場の評価を覆すような緩和策を今回も出せるかが、円安を進ませることができるかのポイントだ」(準大手証券)とみられている。

<止まらない金融緩和には警戒感も>

輸出企業にとって円安は「干天の慈雨」だ。9月貿易統計は5586億円の赤字と9月としては1979年の統計開始以来、過去最大の赤字幅を記録。海外経済の減速を反映した輸出の大幅減や、尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる日中対立の影響で対中自動車輸出が大幅に落ち込んでいる。

10月ロイター短観調査(400社ベース)によると、製造業はほぼ全業種にわたり悪化、2010年1月以来の低水準に落ち込んだ。円安が進めば国内輸出企業は一息付ける。

ただ、強まる日銀へのプレッシャーに対し、警戒感を示すエコノミストもいる。「日銀の金融政策は、なし崩し的に、日銀券の信認への疑念や財政規律の弛緩といった、長い目で見た場合の弊害や副作用が危惧される危うい世界へと足を踏み入れつつあるように見える」と、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は22日のリポートで指摘している。

輸出不振の背景である国際的な製品競争力の低下や、日中間の関係悪化などに目を背けて、日銀の金融緩和や円安だけに頼るようでは、本当の意味での経済回復は期待しにくいとの声は市場でも少なくない。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 久保信博)

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