[東京 26日 ロイター] NTTドコモ9437.Tは26日、2013年3月期の連結営業利益予想を前年比6.2%減の8200億円に下方修正したと発表した。従来予想は9000億円。スマートフォン(多機能携帯電話)の競争激化を受けて、販売促進に800億円の追加費用を投入する。
番号継続制度(MNP)で契約流出が続いており、800億円の追加費用を投入して、月々の通信料や端末の割引きに充てる。KDDI9433.Tとソフトバンク9984.Tが米アップルAAPL.Oの「iPhone(アイフォーン)5」で攻勢をかけるのに対抗する。
アンドロイドOSを中心とするドコモ自身のスマホの販売台数は伸びており、通期の連結売上高予想は4兆5200億円(従来予想4兆4500億円)に上方修正した。ただ、スマホ販売促進の追加費用だけでなく、高速通信「LTE」網の整備を前倒しすることで、今期の設備投資を7460億円(従来計画7350億円)に積み増すことから、当期純利益予想は5070億円(同5570億円)に下方修正した。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、アナリスト11人が過去90日間に出した通期営業利益予想の平均値は8998億円で、会社予想はこれを下回る。
4―9月期のスマホ販売は644万台。これを受けて通期の販売計画を1400万台(従来は1300万台)に引き上げた。スマホ販売のうちLTEサービス「Xi(クロッシィ)」の契約比率は4―6月期に約40%、7―9月期に約70%を占めるなど、通信の高速化が販売促進に寄与した。2010年12月にスタートしたクロッシィの契約残高は今年9月末で620万件に達した。来年3月末の計画は1100万件。想定を上回る進捗で、2015年度の計画を従来の3000万件から4100万件に上方修正した。
<MNP流出、アイフォーン5の影響は想定より強い>
一方で、アイフォーンを販売していない同社は、MNPの転出超過が09年2月から44カ月連続で続いている。転出超は4―6月期で25万件、7―9月期で19万件を超えた。新規契約から解約を差し引いた純増数でも、ソフトバンクとKDDIを下回る傾向が続いている。今期の純増数は従来まで280万件を目標にしていたが、200万件に下方修正した。
今期のMNPの流出は40万件程度に抑えることを目指していたが、記者会見した加藤薫社長は「上期までの結果をみると厳しい」と指摘した。また、競合2社が9月から販売開始したアイフォーン5による契約流出の影響は「想定よりも強かった」と述べた。今後、11月からの投入するスマホの冬モデルとともに、追加費用を計上して投入する販売促進策を合わせて巻き返しを図っていく構えを示した。
米アマゾン・ドット・コムAMZN.Oが24日から国内で予約販売を開始した電子書籍「キンドル・ペーパーホワイト」の無料3G携帯通信機能はドコモの回線を利用する。ドコモがアマゾンにSIMカードを法人契約で供給して、回線料金はアマゾンが負担するビジネスモデルで、加藤社長は「アマゾンに選んでもらえて光栄」と回線増に期待を示した。
アップルの戦略と整合性が異なることから導入を見送っているアイフォーンについては「これまでのスタンスと基本的には変わらない」と語った。
(ロイターニュース 村井令二)
*内容を追加します。
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