November 5, 2012 / 8:22 AM / 7 years ago

焦点:パナソニックは追加リストラ不可避、迫られる事業売却の決断

[東京 5日 ロイター] 2期連続の巨額赤字を計上するパナソニック(6752.T)が、2013年度の事業再編に向けて追加の構造改革を迫られている。

11月5日、2期連続の巨額赤字を計上するパナソニックが、2013年度の事業再編に向けて追加の構造改革を迫られている。都内のショールームで1日撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

決定済みの不振事業の減損処理だけでは、来期の固定費削減効果は250億円程度にとどまる見込み。津賀一宏社長は来期の最終黒字化を「なんとしてもやり遂げる」方針を示しており、追加の人員削減や一部事業の売却が現実味を帯び始めている。

<中村・大坪時代の資産を減損処理>

2期連続の巨額赤字を決定づけたのは、携帯電話、民生用リチウムイオン電池、太陽電池の3事業の関連資産の巨額の減損処理だ。携帯電話事業は2代前の社長だった中村邦夫氏が旧松下通信工業を2002年に完全子会社化して発生した「のれん代」で、電池2事業は現会長の大坪文雄氏が社長時代に買収した三洋電機にかかわるのれん代と無形資産。津賀社長は、就任3カ月で、過去2代の社長が手掛けた買収の価値を否定することになった。

パナソニック社内からは「前任者に遠慮することなく、ここまで思い切った手を打つことに驚いた」(社員)との声が上がる。津賀社長は、テレビ事業担当の専務だった昨年にも、中村氏が決断し、大坪氏が推進した薄型パネル工場の拡大方針に反対して関連資産の減損処理を断行した経歴もある。津賀氏は「間違っていたと判明した段階で即座に手を打つという当たり前のことをやっているだけ」と語る。

<次期中計はキャッシュ確保が唯一の目標>

「売り上げよりも利益重視」を標榜する津賀社長が、来年度から3年間の次期中期経営計画で据える唯一の目標は「フリーキャッシュフロー(純現金収支)を毎年度2000億円以上確保すること」だ。次の3年間で、低収益で資金リスクを抱える状況から脱却するため、売上目標を掲げることなく、設備投資を抑制して現金確保に専念する。

今期中に急ぐのは事業再編。今年1月に前社長の大坪会長が三洋電機と旧パナソニック電工の事業を吸収・再編して新体制を発足させたばかりだが、わずか1年あまりで見直す。9つのドメイン(事業領域)を4カンパニー制にくくり直した上で、傘下に88ある事業部門を来年4月から56事業部門に集約する方針としている。

具体的にどの事業部門を絞り込んでいくかは今後の課題だが、各事業部門とも2015年度に営業利益率5%を実現できる組織になることを基準に1つ1つの事業構造を見直していくことだけが決まっている。現状、営業利益率5%を達成しているのは白物家電など一部のみで、ほとんどの事業部門で、研究開発費を含む総固定費削減が課題になりそうだ。

<ノンコア事業や痛んだ事業は聖域なく見直し>

今期は構造改革費用として4400億円もの規模を計上するが、携帯電話と電池事業の関連資産の減損処理が中心で、これまでのところ大幅な人員削減は想定されていない。会社側によると、現段階で見込む来期の固定費削減効果は250億円に過ぎない。同社は11年度に3万6000人の人員を圧縮し、今期の固定費削減は1300―1400億円にのぼる見込み。今年3月末に33万人だった人員は9月末に32.2万人弱で、固定費削減のインパクトとしては限定的だ。

パナソニックの事業再編について、市場では「最後の追加構造改革として、1000億円相当のコスト削減や事業切り離しが必要」(メリルリンチ日本証券の片山栄一アナリスト)との見方が強まっているが、今のところ同社は下期の人員削減について「特に大きなものはない」(河井英明常務)とする。同社は10月1日付で資金繰り悪化を懸念して三井住友銀行など主力4行と6000億円上限のコミットメントラインを設定したばかり。キャッシュ不足の懸念が強まる中で、早期退職一時金に手元資金が必要になる大規模な追加の人員削減は難しそうだ。

この一方で、事業売却について津賀社長は10月31日のアナリスト説明会で「コア事業を売るつもりはないが、ノンコア事業や痛んだ事業は聖域なくみていく」と述べたという。同時に「来期は何としても黒字にする。その視点から逆算して、ありとあらゆることを聖域なしでやっていく」とも指摘。「V字回復」を来期に先送りした津賀社長は、来年3月の中期計画の策定に向け、固定費削減と資金確保の両面を達成する事業売却の検討を加速させる可能性が高まっている。

シティグループ証券の江沢厚太アナリストは「強い事業に再編するため、キャッシュが確保できる黒字の非中核事業の売却は必須」と指摘するが、利益の出ている事業を売る経営判断は抵抗勢力の出現も予想され「経営チームの全員賛成のコンセンサスマネジメントでは判断が難しい」との見方も示す。だが「パナソニックの変革にはトップダウンのマネジメントが必要で、黒字事業の売却を素早く決断できるかどうかは、それを試す試金石になる」とも指摘している。

(ロイターニュース 村井令二 編集 橋本浩)

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