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電機大手の巨額赤字は波及限定的、海外勢のリスク心理が回復
November 2, 2012 / 5:32 AM / in 5 years

電機大手の巨額赤字は波及限定的、海外勢のリスク心理が回復

[東京 2日 ロイター] 国内の大手電機メーカーが巨額の赤字予想を発表したが、マーケット内の波及は限定的だ。損失額は市場予想を大きく上回ったものの、本業であるエレクトロニクス事業の悪化自体は予想されていたことから、海外勢などはいったんの悪材料出尽くしとして一部銘柄を買い戻しているという。

11月2日、国内の大手電機メーカーが巨額の赤字予想を発表したが、マーケット内の波及は限定的だ。写真は都内の外為トレーダー。2008年10月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

堅調な米国や中国の経済指標で投資家のリスクセンチメントが回復。円安が進行し日本株は堅調だ。

<主力株に海外勢の買い>

パナソニック(6752.T)、シャープ(6753.T)と巨額の赤字予想が相次いだが、「ショック」は起きず、日経平均.N225は9000円台を回復している。前場の東証業種別指数で、電気機器.IELEC.Tは1.03%の上昇。精密機器.IPRCS.Tは1.19%のマイナスとなったが、輸送用機器.ITEQP.Tは1.88%のプラスと輸出株全体への波及は限定的となっている。

「業績悪化懸念を材料に売っていたヘッジファンドなど海外勢が大手ハイテク企業の決算が出たことで買い戻している。業績悪化傾向がこれで終わったとは判断できないが、決算発表でいったんの材料出尽くしとみているようだ」と立花証券・顧問の平野憲一氏は指摘する。パナソニック(6752.T)は機関投資家の処分売りが継続しているが、404円を底に切り返し、一時プラス圏に浮上した。ハイテク株に売買が交錯し、前場の東証1部売買代金は5482億円と10月米雇用統計など重要イベントを控える週末にしては活況だ。

悪材料出尽くし感が広がるのは、中国や米国で堅調な経済指標が出ていることで市場センチメントが改善していることが背景だ。前日発表された中国の10月製造業購買担当者景気指数(PMI)は中国国家統計局、HSBC(改定値)ともに改善。景気底入れ期待が広がり、香港や韓国などアジア株が総じて上昇していることを好感し、中国関連株のコマツ(6301.T)や日立建機(6305.T)、ファナック(6954.T)は前場3%を超える上昇となった。

米国でも10月の経済指標の改善が目立っている。ADP雇用者数が8カ月ぶりの高水準となったほか、消費者信頼感指数も2008年2月以来の高水準に上昇。ISM製造業景気指数は51.7となり、改善と悪化の分岐点である50を2カ月連続で超えた。10年米国債利回りは小幅ながら上昇。対ドルで円安が進んだことも、ハイテク巨額損失の悪影響を減少させた要因だ。

「主力株に海外勢の買いが入っている」(外資系証券トレーダー)とされ、TOPIXコア30.TOPXCは1.68%の上昇とTOPIX.TOPX(1.15%)や日経平均(1.31%)を上回る上昇となっている。

<日銀の新融資制度、円安効果の期待も>

日本を代表する電機メーカーの業績が悪化していることで、実需のドル売りが減少するとの見方も強まっている。米国の自動車販売などは堅調だが、「ハイテクの巨額損失予想で、日本企業が外貨を稼ぐ力が落ちていることがあらためて浮き彫りになった」(国内証券)という。日本の貿易赤字は足元で拡大しており、9月は5586億円と統計開始以来9月として過去最大。10月以降も中国での販売不振もあり、赤字基調が続くとみられている。

ドル/円は海外勢の買いで一時80.29円に上昇。外為市場では「輸出企業の売りが出てきたが、その一方で海外勢が買っているようでマーケットにはインパクトはなかった」(大手信託銀行)との声が出ていた。

一方、円安に関し市場では「日銀が打ち出した新たな資金供給策が円キャリー取引を誘発するとの観測からヘッジファンドが円売り・株先物買いのポジションを組み始めたとの観測が出ている」(岩井コスモ証券本店法人営業部副部長の中島肇氏)との指摘もあった。

    日銀は30日の決定会合で、資産買い入れ基金の11兆円の増額のほか、新型融資制度の導入を発表した。貸付金利は貸付実行時の誘導目標金利で現在は0.1%。資金総額の上限は設定せず「無制限」となっている。取引先金融機関の貸出増加額について、当該金融機関からの希望に応じて、その「全額」を日銀から供給するとしており、融資を通じて海外ファンドなどに資金が流れていけば円安を促すとの見方が出ている。

    ただ、円安は輸出企業にプラスだが、その要因が販売不振による貿易赤字の拡大では喜べない。また海外への資金フロー増加期待も裏返せば国内に資金需要が乏しいことの表れだ。

    <晴れない世界景気減速懸念>

    米国や中国の景気にはまだ不安な点も多い。中国は底打ち期待が広がっているとはいえ、効果的な景気対策などを打ち出せるかは、8日から始まる共産党大会を経た新指導部の政策実行力次第だ。「米国では堅調な経済指標が出ているが、世界銀行やIMFが示したように世界的な景気減速懸念が晴れない」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)とされ、コモディティ―市場の動意は依然乏しい。

    マークイットが発表した10月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は51.0と速報値のや9月の実績を下回り、2009年9月以来3年1カ月ぶりの低い水準となった。10月のISMも個人消費や住宅投資に関連する内需関連業種は堅調だったが、輸送機械や電気機械・部品など外需関連産業はさえない。また、米大手企業のリストラも続いており、雇用コンサルティング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した10月の米企業の人員削減数は前月比41.1%増の4万7724人となり、5カ月ぶりの高水準となった。

    T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は米経済について「ITバブル崩壊で企業が、サブプライム問題で家計がダメージを受けた。そして現在は政府債務のバブルが縮小する過程だ。3つの経済主体が傷んだ米経済は成長率が以前の半分程度に低下している」と話す。その上で「日本経済のように壊れてはいないため金融政策や財政政策が一応効くが、力強い回復は期待できない」と指摘する。

    (ロイターニュース 伊賀大記:編集 久保信博)

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