November 29, 2012 / 9:02 AM / 7 years ago

景気・物価の先行きに警戒強める、白井委員が日銀執行部の見解代弁か

11月29日、日銀の白井さゆり審議委員が景気と物価の先行きに一段と警戒感を強める発言を行ったが、市場では日銀執行部の見解を代弁したものではないかとの見方がでている。写真は20日、都内で撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

[熊本 29日 ロイター] 日銀の白井さゆり審議委員が景気と物価の先行きに一段と警戒感を強める発言を行った。欧州や中国をはじめ中心とした世界経済の減速長期化に日中関係の悪化が重なり、輸出や生産が減少を続け、これまで堅調に推移してきた内需にも影響が及びはじめているためだ。

この日の同氏の発言について市場では、日銀執行部の見解を代弁したものではないか、との見方がでている。

日銀は、9、10月に相次いで景気シナリオを下方修正し、異例の2カ月連続緩和に踏み切ったばかりだが、12月会合ではシナリオの慎重な点検を迫られる可能性がある。

日銀では、景気の現状を「弱含み」と判断しており、先行きは「当面、弱めに推移」するものの、その後は海外経済の減速脱出につれて、緩やかな回復経路に復していくと見込んでいる。こうしたシナリオの実現性は白川方明総裁が「海外経済に大きく依存する」と指摘しているように、海外情勢次第。11月の金融政策決定会合では、当面の景気見通しを下方修正する一方、米中指標の改善などを反映し、海外経済の見通しをやや明るめの表現に修正した。

しかし、11月会合後に発表された10月の貿易統計では、輸出が前年比6.5%減と5カ月連続で減少。特に中国向けは自動車を中心に同11.6%減と2ケタの減少が続いている。欧州債務問題を背景とした世界経済の減速長期化に日中関係悪化が追い打ちをかけている格好。輸出の減少などを受け、鉱工業生産指数も9月まで3カ月連続で低下しており、10月も悪化が見込まれている。白川総裁は26日の講演で、日中関係悪化の影響が10─12月の輸出に「明確に出てくる」と発言しており、現段階で輸出や生産の回復は見通せないのが実情だ。

さらに、ここにきて海外経済の減速長期化による先行き不透明感や輸出・生産の減少が、製造業の姿勢を慎重化させており、これまで堅調に推移してきた内需にも影響が及んでいる。

白井委員は熊本市内での講演・記者会見で、製造業を中心に、設備投資を先送りする動きが一部で出始めていると述べるとともに、所定外労働時間や新規求人の減少などで雇用や所得に悪影響が出ることを警戒。景気下振れリスクについて、特に設備投資と個人消費の動向を注視していると語った。さらには、こうしたリスク要因が顕在化すれば、物価にも影響が及ぶとし、物価の先行きは「全体として下振れの方に傾いていると判断している」と物価の下振れリスクにも言及した。

白井委員は、景気の先行きについて「リスク要因を含めて展望リポートの範囲内」とし、現状では10月末に公表した「経済・物価情勢の展望」で示したシナリオに沿った景気の動きとみていることも明らかにした。ただ、足元の景気の下振れリスクは、連続緩和を行った9、10月よりも高まっている可能性は否定できない。日銀では、今後、発表される10月鉱工業生産や12月日銀短観など重要データを見極めながら、12月19、20日に開催される金融政策決定会合で、シナリオの下振れリスクが大きく高まっていることがないか、慎重に点検していくことになりそうだ。

(ロイターニュース 伊藤純夫 編集 橋本浩)

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