November 30, 2012 / 10:52 AM / 6 years ago

次期政権は日銀法改正し、雇用最大化を目標に=中原元日銀審議委員

[東京 30日 ロイター] 元日銀審議委員の中原伸之氏は30日、ロイターのインタビューに応じ、次期政権は日銀法を改正し、雇用の最大化を金融政策の目標に加えるべきとの考えを示した。

11月30日、元日銀審議委員の中原伸之氏は、ロイターのインタビューに応じ、次期政権は日銀法を改正し、雇用の最大化を金融政策の目標に加えるべきとの考えを示した。写真は鏡に映る日銀本店。都内で19日撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

日銀に対しては、物価上昇率を目標とするのではなく、特定の物価水準を目指して国債買い入れを進める強力な金融緩和を提唱した。

中原氏は中国など新興国のバブルは崩壊したとし、先進国は当面低成長に甘んじなければいけないと指摘。米国は減税失効と歳出削減が年明けに重なる「財政の崖」を完全に回避するのは難しいとし、米連邦準備理事会(FRB)が必要ならば追加緩和を発動する可能性があると指摘した。

来春に任期満了を迎える白川方明日銀総裁の後任には欧米中銀が採用している量的緩和政策を理解できる人物が望ましいとした。国債の買い入れによるバランスシート拡充で株価や為替に働きかける必要性を強調する一方、外債や指数連動型上場投資信託(ETF)などの買い入れは損失発生時のリスクが大きいとして否定的な見方を示した。

インタビューの詳細は以下のとおり。

──世界経済の現状と展望をどうみる。

「グローバリゼーションの時代は終わりに近づきつつある。先進国は財政負担の限界から福祉国家の限界が近づきつつあり、金融緩和を中心とした政策で低成長に甘んじないといけない。ベルリンの壁崩壊が契機で始まった中国など新興国のバブルは、はじけた。中国は成長率が年10%から5%に落ちる。少子高齢化が経済にとって重荷になる『人口オーナス』となり、過剰だった労働力が不足に転じる『ルイスの転換点』を迎え、中国は大変な時期が続く」

「米国は中長期的にはシェールガス開発や農業、移民流入により2020年前後に非常に強い国になる。ただシェールガスによる競争力向上からドル高政策に転じると考えるのは時期尚早だ」

「目先は減税失効と歳出削減が年明けに重なる『財政の崖』の影響が懸念され。日本も橋本政権時に消費税と社会保険料引き上げで9兆円の『崖』を作ったが、米財政の崖の規模は40兆円。国内総生産(GDP)に対する崖の大きさは橋本政権時の日本より大きい。扱いを間違えては大変だ。FRBは必要ならば追加緩和を行うだろう」

──衆院選の争点は。

「民主党政権の実績だ。消費税増税は進めたものの、福祉国家が限界を迎えつつあるなかで社会保障の方向性を見いだせなかった。尖閣など領土問題の処理も問題。今の中国は戦前の日本と似ており南進政策を進めており、尖閣は拡張主義の最先鋒だ」

「野田首相と自民党の安倍晋三総裁では安倍総裁の方がよい。民主党は左に寄り過ぎ。クーポン券配布などモノやサービスの配布は雇用を生むがバラマキはよくない」

「道州制の導入は競争力の弱い地方が(通貨安政策を採れず)東京が同じ通貨を使うことで現在のユーロ圏のような問題を起こす可能性がある」

──金融政策も争点となりつつある。

「日銀の独立性は戦前の陸軍の統帥権と似ている。統帥権は明治憲法に根拠があるが、日銀の独立は憲法に根拠がない。独立を保証するのは実績のはずだが、実際には日銀の独立性が高まるにつれて円高が進み日本経済は沈んだ」

「企業短期経済観測調査(短観)の業況判断指数(DI)の動きをみれば日銀が2003年から06年に採用した量的緩和政策は大成功だが、日銀は効果がなかったとしている。量的緩和政策は株価や為替を通じGDPや物価に効果があった。2010年から始まった資産買入基金による包括緩和政策は操作変数が金利なのか量なのかわからない」

「マネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)の量が非常に少ないことが問題。例えば、00年のマネタリーベースを100とすると、中国の600、米国の350に対し日本は150にとどまっている」

──新政権に望む財政・金融政策。

「インフラの老朽化に対策を打ち、公共事業の財源に民間資金を活用すればいい」

「日銀法改正による日銀の政策目的に物価の安定や雇用の最大化を明記すべき。インフレ目標でなく例えばデフレの始まる前の1998年の物価水準を目指す物価水準目標(プライス・レベル・ターゲティング)を目指すべき。目標水準と現実の乖離幅から中央銀行としての責任がわかる」

「日銀は国債大量買入れによる財政支援(マネタイゼーション)を懸念しているが、ゼロ金利政策の開始以降、国債発行の弁を図っており、すでに財政支援を行っている」

「金融緩和手段としては国債の買い入れが望ましい。外債や指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)は損失が発生した場合どう補てんするか問題がある」

──急激な金融緩和の副作用を指摘する声がある。

「急激に円安や物価上昇を招いた場合は引き締めに転じればよい。日銀は『金融政策は万能でない』と主張するが現状維持の擁護だろう」

―─日銀総裁人事が13年春にある。

「日銀総裁には、世界の主要な中央銀行が行っている量的緩和政策に理解を示すことができる人が望ましい」

(ロイターニュース 竹本能文、スタンレー・ホワイト;編集 久保信博)

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