December 5, 2012 / 5:52 AM / 7 years ago

インタビュー:物価目標1-3%掲げ国債買い入れを=竹中・慶大教授

[東京 5日 ロイター] 元経済財政相の竹中平蔵・慶応義塾大学教授は5日、ロイターのインタビューに応じ、衆院選後の金融政策について、政府と日銀は物価目標を現行の1%から1─3%に引き上げ、達成責任を明確化した政策協定(アコード)を結ぶことになるだろうとの見通しを示した。

12月5日、竹中平蔵・慶応義塾大学教授は、衆院選後の金融政策について、政府と日銀は物価目標を現行の1%から1─3%に引き上げ、政策協定を結ぶことになるだろうとの見通しを示した。2006年1月撮影(2012年 ロイター/Sebastian Derungs)

その上で、アコードが締結されれば来春任期を迎える日銀総裁人事は重要でなくなると指摘。一部で取りざたされる自身の総裁就任について、「全く関心ない」と明言した。

金融緩和の手段は外債購入よりも、まずは価値の安定した国債を市場から買い進める政策を提唱。日本の現状からかけ離れた物価目標は金利急騰を招くとの懸念もあるが、効果の有無はわからないのだから、慎重ながらも実施すべきとの考えを示した。

大胆な金融緩和を主張する自民党の安倍晋三総裁とは小泉政権以来、良好な関係にあるものの、同氏のブレーンではないと否定。竹中氏と金融・財政政策に対する考え方を共有する高橋洋一・嘉悦大教授、岩田規久男・学習院大教授などが安倍氏に影響を与えた可能性があると指摘した。

インタビューは日本語と英語で行われた。詳細は以下のとおり。

──新政権で金融政策はどう変わりそうか。

「日銀法の改正でも、日銀の自主的判断でも構わないが、日銀が新政権とアコードを結ぶ。物価目標を目指す枠組が出来れば、総裁人事は重要ではない。枠組が出来なければ人選が重要だが、多分枠組は出来るだろう」

──日銀と政府は10月末にデフレ脱却に向けた共同文書を出した。

「今までより踏み込んでいるが、現行の物価目標1%は不十分。1%から3%などとすべき。達成されなかった場合の責任も不明確だ」

──3%もの物価目標を掲げると長期金利が上昇しかねないとの批判がある。

「効果がない、長期金利や物価が急騰しかねない、という2つの矛盾した批判があるが、批判者は対案を出すべきだ。効果がない可能性も、極めて大きな(効果がある)可能性もある。ならば慎重に実行できる人を総裁に選べばよい」

──具体的な緩和手段は。

「政策は日銀が自主的に決めるべきだが、オーソドックスにひたすら市場から国債を買えばよい。日銀は企業に対する融資など変化球ばかり投げているが、日本には政策金融公庫があり、日銀はマクロ金融政策に特化すべき。国債買い入れを紙幣の発行残高に抑える日銀券ルールは意味がなく、自主ルールなので自主的に変えればよい」

「実体経済とマネーサプライの関係を示す『マーシャルのk』(現預金残高を名目GDPで割ったもの)は若干上方トレンドをたどるので、名目GDPを3─4%上げるには、5%以上のマネーサプライの伸びをめどとする必要がある。マーシャルのkは変化するので、対応には専門家である日銀が微調整を行うべきだ。」

──為替に効果を及ぼすための外債購入論をどうみる。

「まずはリスクの小さい国債を買うべき。外債も次の手段としてはあり得る。外債購入の是非は国債の購入を増やしながら日銀が判断すべき」

──金融緩和で円高是正で目標を設ける考え方はあるか。

「日本の競争力の低下を今の為替レートは反映しておらず、2割程度安くなってよいのではないか。そうすれば購買力平価に近づく。実質実効為替レートでみると、今は2001年ごろの水準。当時は円高が騒がれていなかった。しかし、それから10年間で韓国のサムスン電子(005930.KS)がこれだけ強くなる一方、シャープ(6753.T)はこれだけ弱くなった」

──安倍自民総裁のブレーンと言われているが。

「安倍さんとは長く良い関係にあり、小泉政権下ではよく議論したが、アドバイザーなどは務めてはいない。高橋洋一・嘉悦大教授、岩田規久男・学習院大教授などの意見は(安倍氏に)影響を与えた可能性がある」

──次期日銀総裁や新政権の閣僚候補として取りざたされる。関心はあるか。

「私は自分の意思で政府・公共セクターから退いており全く関心はない」

──成長力強化のため必要な経済政策は。

「短期的には中小企業金融円滑化法のような政策をやめるべきだ。雇用調整への支援で潜在的な社内失業者は470万人まで膨らんでおり、経済の新陳代謝が進まない一因だ」

「中期的には民営化や規制改革を進めるべき。長期的には社会保障制度の改革。高齢者から若年層にシフトし産休後の女性職業訓練などを重視すべき」

「10年前にGDP比6.4%あった公共投資は、今は3.2%と欧州と比べてもそれほど高くない。自民党が掲げる国土強靭化基本法案は刺激効果(provocative)があるが、これ以上の財政膨張は難しいので、官業払下げや資産売却などを進めるべき」

(ロイターニュース 竹本能文、スタンレー・ホワイト;編集 久保信博)

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