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ルネサス再建が革新機構主導で決定、国内取引先8社も出資

[東京 10日 ロイター] 経営不振に陥っている半導体大手ルネサスエレクトロニクス6723.Tは10日、政府系ファンドの産業革新機構(東京・千代田区)と、トヨタ自動車7203.Tなど国内の主要取引先8社から1500億円の出資を受けると発表した。

12月10日、半導体大手ルネサスエレクトロニクスは、政府系ファンドの産業革新機構と国内主要取引先8社を割り当て先とする1500億円の第三者割当増資を実施すると発表した。写真は10月、都内で撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

一時は外資系ファンドが出資に名乗りを上げていたが、国内のものづくりを守るという旗印のもと、日本勢が官民挙げて支援に乗り出すこととなった。ルネサスは調達資金を半導体の開発や設備投資、経営基盤の再構築に振り向け、本格的な経営再建を目指す。

<追加で500億円の出資、融資も>

ルネサスは1株120円で新株を発行。総額1500億円を革新機構のほか、トヨタや日産自動車7201.Tなど8社に割り当てる。9社は発行済み株式総数の75%を取得する予定で、このうち革新機構が69.2%、8社が5.8%を引き受ける。払込期間は2013年2月23日から年9月30日。さらに資金が必要となった場合は、革新機構が追加で500億円を上限に出資または融資を実施する。

会見した革新機構の能見公一社長は「最初の段階では比較的影響力のある形で役員を派遣したい」と述べ、出資後は経営陣を刷新する考えを示唆。「明確なリーダーシップのもとで成長戦略を推進する必要がある。赤尾社長と相談し、新体制をどう組むのか検討したい」と語った。ルネサスの赤尾泰社長は「経営責任を取るつもりはあるが、ある程度(再建の)道筋をつけるのが最後に取るべき責任」と述べた。

赤尾社長は、これまで掲げた業績目標や事業計画は改めて策定すると説明。追加リストラに関しては「革新機構から提案はあったが、現時点で決まっているものはない」とし、「今後、協議しながら具体的に決めていく」と述べた。複数の関係筋によると、革新機構はルネサスに5000人規模の追加人員削減を要求しており、母体3社である三菱電機6503.Tが300人規模を引き受け、日立製作所6501.TとNEC6701.Tはリストラ資金の費用として各30億円強を提供する見通し。

追加の500億円の使途については、両社長とも「現在決まったものはない」(両社長)としたが、革新機構の能見社長は「新規顧客の開拓などを含めて海外展開していかなければならない」と語り、海外でのM&A(買収・合併)資金という選択肢もあるとの考えを示した。能見社長は、投資期間について「5―7年の比較的ペーシェントな(忍耐強い)リスクマネーを拠出する」と説明した。

半導体業界に詳しい米調査会社IHSアイサプライの南川明副社長は、今回の再建手法について、出資企業からの受注により「ある程度のビジネス規模を得られ、ビジネスを守るという点では良い」と指摘。しかし、取引先からの値下げ要請がこれまでの業績悪化の一因とされるだけに、「取引先のいいなりのビジネスが続くとマイナス」と述べた。また、8社による出資が「ルネサスの今後の課題である海外展開の足かせになりかねない」と語った。

国内取引先8社は計116.5億円を出資する。内訳はトヨタが50億円、日産自が30億円、トヨタ系部品メーカーのデンソー6902.Tとホンダ7267.T系部品メーカーのケーヒン7251.Tが各10億円、パナソニック6752.Tとキヤノン7751.T、ニコン7731.Tが5億円ずつで、安川電機6506.Tが1.5億円。

今回の増資により、現在ルネサスの議決権の9割超を保有しているNEC、日立、三菱電機の母体3社の持ち分は22.8%に低下する。

<銀行団は融資条件を緩和>

複数の関係筋の話によると、ルネサスには米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)KKR.Nも約1000億円の出資を提案し、すでに交渉に入っていた。だが、自動車や家電向けに高性能な半導体を供給するルネサスの再建は日本のものづくりの基盤を守ることにもつながると経済産業省が判断。革新機構がKKRを上回る額で官民一体による支援案を提示し、合意にこぎつけた。

ルネサスの赤尾社長は、革新機構案を選択した理由について、国内取引先8社が出資者になることによる事業の相乗効果や中長期的な成長が期待できることを挙げた。

別の関係筋によると、革新機構を中心とした出資による再建計画を受け、みずほコーポレート銀行や三菱東京UFJ銀行など主力取引行4行は、10月に実施したシンジケートローン(協調融資)の返済期間を従来の2年半から5年半に延長するなど融資条件を緩和した。

ルネサスはデジタル家電などに使われるシステムLSI(大規模集積回路)事業の不振などが響き、前身企業から数えると2012年3月期まで7期連続の最終赤字を計上、13年3月期も1500億円の純損失を見込んでいる。9月末の自己資本比率は13%と、6月末の24%から低下し、資本増強が不可欠だった。

ルネサスは今後、経営効率化に向けて工場再編や人員削減を実施し、マイコン事業に経営資源を集中する計画。3月末の従業員数は4万2800人だったが、10月末に7446人を削減した。同月にはリストラ費用としてNECなど大株主3社と主力取引行から計970億円を調達した。

(ロイターニュース 白木真紀;編集 久保信博)

*内容を追加します。

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