December 11, 2012 / 10:07 AM / 6 years ago

総選挙こうみる:自民党は政策の「時間軸」明確に=GS証券・馬場氏

[東京 11日 ロイター] ゴールドマン・サックス証券、日本経済担当チーフ・エコノミストの馬場直彦氏は、今月16日投開票の衆院選に関し、自民党が掲げる政策の積極性を評価したうえで、長期的な政策と中期的な政策の「時間軸」をもっと明確にすべきとの見方を示した。

12月11日、ゴールドマン・サックス証券の日本経済担当チーフ・エコノミストの馬場氏は衆院選に関し、自民党が掲げる政策の積極性を評価したうえで、長期的な政策と中期的な政策の「時間軸」をもっと明確にすべきとの見方を示した。写真は安倍総裁(2012年 ロイター/Shohei Miyano)

日銀の金融政策については政策目標を政府と共有したうえで、政策手段の独立性を担保し、市場や企業の「期待」に働きかける政策が求められると述べた。11日午後、ロイターの取材に応じた。

主なやりとりは以下のとおり。

──いわゆるアベノミクス政策への評価は。

「非常にアグレッシブだ。財政政策と金融政策のポリシーミックスを中心にデフレ脱却を図るという大胆なパッケージだ。経済的危機感に裏付けられた強い決意が感じられる。当初は過激な発言も飛び出したが、デフレ期待のスパイラルを止めるためには、意識的に市場や企業の期待に働きかけるような、ショック療法が必要とみているのではないか」

「ただ、残念なのは政策の時間軸が明確ではないことだ。長期的な政策と中期的な政策という時間軸が整理できていないので混乱を招いているところがある」

「長期的な政策としては、潜在成長率をどう上げるかが最も重要だ。一つは人口問題であり、高齢者や女性、移民など質の高い労働力をいかに確保していくかだが、その点についてはあまり踏み込めていない。また産業転換政策も成熟社会にフィットする産業構造をどう作り上げていくかもまだみえない。こうした長期的な政策を前提としたうえで、財政政策や金融政策の議論がされるべきだ」

──争点となっている金融政策はどうか。

「金融政策だけでデフレを脱却させるには困難であるし、企業に資金需要がないのに、お金を入れても効果は薄い。ただ、金融政策にできることはまだあるのではないか。これまでやってきた金融政策が100%の効果を発揮できているかというと疑問が残る。潜在成長率が低い中で、金融政策だけに頼ってはいけないが、だからこそ市場や企業の期待に働きかける政策が求められているといえよう。それには政策パッケージのタイミングや打ち出し方だったり、コミットメントの強さをうまく市場に伝えることが重要になる」

──金融政策の効果を上げるには具体的にはどうすればいいか。

「日銀単体ではなく、政府と日銀が政策目標を共有し、目標達成を相互にチェックすることで、マーケットに対し、より強いコミットメントを示すことができる。金融政策がものすごくインパクトのある成果をもたらすことはないかもしれないが、もうできることはないとは言うべきではないし、まだあると思う」

──政府と日銀が近づきすぎると財政ファイナンスといった懸念が生じるのではないか。

「そこは議論が飛躍しすぎている。政策目標を共有したとしても、中央銀行の独立性を損なうとは思わない。政策手段の独立性が担保できていれば、中央銀行としての独立性も確保できるはずだ。自民党の安倍総裁もその辺に関しては当初よりトーンダウンしてきている。問題提起をすることがまず重要と考えているのではないか」

──現実路線に移行する中で、当初の期待はしぼんでしまうのではないか。

「自民党の安倍総裁の発言は、あくまで野党の党首としての発言であるとマーケットも最初から受け止めている。当初発言していたようなことを全部、実行できるとは海外勢も思っていない。彼らは非常に冷静で、新しい政権は、これくらいできそうだという予想、シナリオをすでに持っており、実際にどれだけできたかということと比較して評価することになろう」

──19─20日の日銀決定会合の予想は。

「11─12日のFOMC(米連邦公開市場委員会)や14日の日銀短観を見極めてからになると思うが、追加的な金融緩和を実施する場合は、資産買い入れ基金の増額といった従来路線の延長線上になるとみている」

──中期的に日銀ができる金融緩和策は何か。

「日銀と政府が政策目標を共有化し、『ゴール』としていた政策目標を『ターゲット』としたうえで、コミットメントを強める。手段としては、一番やりやすいのは国債買い切りの年限を3年から5年に延ばす長期化だろう。FRB(米連邦準備理事会)のようにオープンエンド方式にするのも、マーケットにはわかりやすい。その次としては、反対論もあるが、以前に実施していたゼロ金利政策への回帰だろう」

──外債購入は。

「これは別途、検討されるだろう問題だ。法律的に詰めていくことが必要だろうし、G7やG20の理解も必要だ。官民協調外債ファンドの創設は自民党の政権公約に入っており、自民党が政権を担えば、粛々と検討される可能性が大きいだろう」

「中央銀行の役割は刻々と変わってきつつある。少子高齢化や人口問題などは構造問題であり、金融政策ではどうしようもない、としてしまって、思考停止してはいけない。中央銀行にできることは何かと常に模索する姿を市場や企業にみせることが重要だ」

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 橋本浩)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below