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海外の積極ムードが日本市場にも波及、北朝鮮ミサイル発射も影響薄
December 12, 2012 / 6:37 AM / 5 years ago

海外の積極ムードが日本市場にも波及、北朝鮮ミサイル発射も影響薄

[東京 12日 ロイター] 欧米市場の積極ムードが日本市場にも波及している。米S&P500種.SPXは米大統領選前の水準を回復、FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3も1年半ぶりの高値に上昇した。

12月12日、欧米市場の積極ムードが日本市場にも波及している。写真は都内で昨年12月撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

リスクセンチメントが回復した海外勢の日本株買いは継続しているとみられ、北朝鮮のミサイル発射などネガティブな材料にも反応は限定的だ。ただ経済指標は楽観を許さず景況感は依然慎重であり、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を前に積極的な買いは控えられている。

<緩和期待と駆け込み増配で米株押し上げ>

米S&P500種は11日の市場で一時1434ポイントまで上昇し、11月6日の米大統領選前の水準を回復した。下落要因だった「財政の崖」問題に関して米両党の協議は続いており懸念は残っているものの、市場のセンチメントは回復し、買いが強まっている。「米大統領選後の不安が後退し、9月ごろの心理状態に戻った。久々にロング勢の買い需要が出ている」(米系証券)という。

市場心理回復の1つの要因は米金融緩和期待だ。今晩結果が発表されるFOMCでは今月末に終了するツイストオペの代わりに450億ドル程度の長期債を購入する措置が発表されるとの見方が多い。ツイストオペでは長期債を450億ドル購入する一方、同額の短期債を売却しており、長期債購入だけが継続されれば緩和効果は大きくなる。

トムソン・ロイターの調査によると、米S&P総合500種指数採用企業の2012年第3・四半期決算は、前年同期比0.1%の増益になる見通しで第4・四半期予想もほぼ変わらずとさえない。企業利益が上昇しないにもかかわらず株価が上昇するのは、金融緩和期待が投資家のリスクプレミアムを引き上げ、PER(株価収益率)が上昇しているためだ。

また米企業の株主還元の増加も米株を押し上げている。「財政の崖」がどのように回避されるかは依然不透明だが、20兆ドルにものぼる政府と州の債務返済は不可避だ。来年から増税が始まる場合は配当課税が引き上げられる可能性が高いとみられており、一部の米企業は配当の前倒しや特別配当、自社株買いを発表している。

市場センチメントの回復は欧州不安の後退も背景だ。イタリアのモンティ首相が辞任表明するなど政治リスクも強まっているが、ESM(欧州安定メカニズム)などセーフティネットによって「突然死リスクは後退している」(外資系証券エコノミスト)との受け止め方が市場では多い。FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3は11日の市場で終値として2011年半ば以来の高値を付けるなど欧州株の戻りは急ピッチで進んでいる。

欧米株高とやや円安に進んだ為替を好感し前場の日経平均は反発。一時7カ月半ぶりに9600円台を回復した。北朝鮮が12日午前、「人工衛星」と称するミサイルを発射し、沖縄上空を通過したが、影響はほとんどみられなかった。「FOMCや日本の衆院選挙などイベントを控え上値は買い進みにくいが、海外勢を中心とした買いは継続しているようであり底堅い」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏)という。

<「もろさ」含む株高>

    ただ企業収益が回復しない中での株高には「もろさ」もある。「金融緩和策の市場インパクトは徐々に小さくなる。資産購入策では枠が拡大してくると前回比で変化率が小さくなるためだ。株主還元の前倒しも将来の先取りにすぎない。財政の崖を回避しても債務返済のために来年以降の米国は緊縮財政に入らざるを得ない」とT&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏は指摘する。

    米国経済は、FRB(米連邦準備理事会)がモーゲージ担保証券(MBS)購入などで後押しする住宅市場が底打ち感を強めているものの、弱さも目立つ。7─9月期実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率で2.7%増と速報値の2.0%増から大きく上方修正されたが、在庫変動を除いた成長率は1.9%と速報値の2.1%よりも低かった。11月の米ISM製造業景気指数は50を再び割り込んでいる。9、10月とかろうじて50を上回ったものの、11月の水準は過去3年余りで最も低い。

    日本企業の収益も今のところは円安だけが頼りだ。選挙後の財政出動や金融緩和はまだ「期待」でしかない。10月機械受注は、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)が前月比2.6%増と3カ月ぶりのプラスとなったが、小幅な増加にとどまり、8─9月分の落ち込み分を取り戻せななかった。非製造業は増加を維持し底堅い一方で、製造業は低下傾向が鮮明だ。内閣府は基調判断を「弱含んでいる」に下方修正した。

    FOMCでドル安・円高に振れるとの見方もある。IGマーケッツ証券・為替担当アナリストの石川順一氏は月額450億ドルの長期財務省証券買い入れプログラムと従来の月額400億ドルのモーゲージ担保証券(MBS)の買い入れとの合計で月額850億ドルの長期債購入が維持されれば、初期反応としてはドル売り圧力が強まるだろうと予想している。

    投機筋の円ショートポジションは溜まっており、反対売買の動きが警戒されている。

    (ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)

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