December 13, 2012 / 8:47 AM / 7 years ago

総選挙こうみる:新政権が処方箋誤らないこと期待=東海東京証券・斎藤氏

[東京 13日 ロイター] 東海東京証券のチーフエコノミスト斎藤満氏は、今月16日投開票の衆院選に関し、新政権には日本経済の現状を正確に把握し、処方箋を誤らないことを期待すると述べた。

12月13日、東海東京証券のチーフエコノミスト斎藤氏は、今月16日投開票の衆院選に関し、新政権には日本経済の現状を正確に把握し、処方箋を誤らないことを期待すると述べた。写真は都内で11月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

デフレの原因は、企業が生き残る戦術として人件費を削減しているためであり、これが短期間で終了するのは難しいと指摘。デフレーターをプラスに転換する日本の成長の芽は、無制限金融緩和や従来型の公共事業ではなく、次世代エネルギーなどにあるとの見解を示した。13日午前、ロイターの取材に応じた。

主なやりとりは以下のとおり。

──総選挙の結果をどのように予想するか。

「自民党有利と伝えられるが、有権者の半数は投票先をまだ決めておらず、なんらかの形の連立政権になる可能性があると思う。公明党や維新の会などが連立に入るとすれば、原発政策などをめぐり考え方の相違が露呈し、『与党内のねじれ』現象が起きる可能性があり、政権が不安定になりそうだ。また、未来の党が票数を伸ばす可能性があるとみている」

──自民党の政権公約をどう評価するか。

「名目3%以上の経済成長を達成するという政権公約については、GDPデフレーターが、例えば来年の秋までにプラスに転じるのは難しいと見ている。なぜなら、デフレーターのマイナスをもたらしている最大の原因は雇用者報酬の減少傾向で、企業が人件費を強く圧縮していることがある。日本企業はグローバル化のなかで生き残る戦術として、国際競争力を維持するためにコストカットを推し進めている。このコストカット努力は今後も続いていくとみられ、名目3%以上の成長を達成することは、かなりハードルが高い」

「『官民協調外債ファンド』を創設し基金が外債を購入することに関しては、どのような外債を購入したか、国民に逐一開示するべきだと考える。諸外国の国債等は適格投資対象だとしても、リスク管理上、海外の不良資産に投資するようなことはあってはならない」

──安倍晋三自民党総裁が打ち出している「無制限緩和策」をどうみるか。

「処方箋の誤りから闇雲にリフレ策をとるべきではない。リフレとインフレは似て非なるものだ。リフレとは実体経済の拡大を通じてデフレの解消を図ることだが、インフレ率をある水準に押し上げることではない。インフレ策が実行されれば、国債相場は大幅に下落し、これを大量保有する金融機関の株価も下落する。この過程でおそらく為替が円安になっているとみられるため、海外資本にとっては日本の資産が割安になり、日本は自らの資産のたたき売りをすることになる」

「インフレ策を講じても、今の日本では実物経済が拡大して、よいインフレとなり、税収が増えるとの期待が持てない。一方で、インフレ期待から金利が大きく上昇する懸念があり、財政当局にとっては利払い費が急増して予算編成が困難になるだろう。1000兆円もの債務を抱える国で金利が2%も上がれば、利払い費は20兆円増える。金利水準が名目GDPを上回れば、債務は無限に拡大することになる」

──日本の潜在成長力はどのようにすれば向上するか。

「デフレーターをプラスにする方法の一つは、日本の新技術を生かして次世代のエネルギー開発に重点的に投資することだ。メタンハイドレートは日本近海の広い範囲で存在する可能性があることが分かったが、安いコストのエネルギーを開発・実用化することができれば、米国のシェールガス革命のように経済にポジティブな影響が見込まれ、10兆円単位の需要を創出することが出来るだろう。日本は現在年間23兆円を鉱物資源の輸入に注ぎ込んでいるが、自国でエネルギー生産が可能になれば輸入コストは大幅に押し下げられる。メタンハイドレートに限らず水資源など、日本が得意とする分野の新技術を生かすことに資金を活用する好機が訪れている」

──新政権発足後のマーケットへの影響をどうみるか。

「市場は、無制限緩和などベストシナリオを先取りして、円安、株高になっているので、新政権発足後のマーケットへの影響は限定的なものにとどまるか、先取りしたものが剥落するリスクもあるだろう」

――新政権に望む政策は。

「処方箋を誤らないことが肝心だ。歳出に関しては、まず特別会計にメスを入れる必要がある。次に、おカネを使うときは公共事業一辺倒ではなく、今後の成長に寄与するような有効な使い方を考える必要がある」

(ロイターニュース 森佳子 編集:伊賀大記)

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