December 21, 2012 / 2:16 AM / 7 years ago

コラム:政治の年だった2012年、「真打ち」は日本

2012年に入る時、われわれの目は世界の国内総生産(GDP)の約半分を占める国々での重要な選挙や指導部交代に向いていた。それらの政治イベントは、今年起きた最も重要な出来事の1つとして記憶されていることだろう。しかし実際には、その後に登場する真打ちの露払いに過ぎなかったと言える。

12月20日、2012年は米国や中国、ロシアなどで重要な選挙や指導部交代が行われたが、それらは真打ちとなった日本の露払いに過ぎなかったと言えるだろう。写真は会見する自民党の安倍総裁。17日撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

中国について言えば、指導部が交代したにせよ、これまでと大きく変わらないというのが大多数の見方だ。ロシアでは、首相として国を動かしていたプーチン氏が、大統領として国を動かすようになっただけだ。フランスはサルコジ政権からオランド政権に移行したが、同国にとって最も重要な欧州連合(EU)との関係という点では変化は見られない。米大統領選は現職のオバマ氏が共和党候補のロムニー氏を下して再選を果たしたが、議会はねじれ状態のままであり、現状維持の4年となる公算が高い。

しかし、世界の主要経済のうち、選挙結果が実際に重要な意味を持ち、その国の世界での振る舞いさえ変えるであろう国が1つだけある。日本だ。

今年の初めには、この考えは荒唐無稽に思えたに違いない。過去23年間で18人の首相が誕生した日本で、選挙が重要だとどうしたら言えただろう。

しかし、自民党の安倍晋三総裁が首相に返り咲くことになった今回の衆院選は、日本が今後数年でどんな国になりたいかの意見表明のように映る。そのことは、米国や中国、その他の国にとって大きな意味合いを持つ。

自民党は3年3カ月にわたって政権の座にあった民主党に地滑り的圧勝を収めた。民主党が下野に追い込まれた背景には、景気の低迷や原発事故対応のまずさ、財政赤字の拡大などがある。しかし、今回の選挙はそれらとは別の何かを示している。日本でナショナリズムが強まっているということだ。

自民党の圧勝に加え、日本維新の会も議席を大きく伸ばし、衆院で第3党へと躍進した。日本維新の会の議員は、再軍備や憲法改正、道州制などを提唱しており、日本では右傾化の勢いが増しているとの指摘もある。

安倍首相再登板の背景には、そうしたセンチメントが一役買った面がある。維新の面々ほど強硬路線ではないものの、「戦後レジームからの脱却」や防衛費の増額を訴える安倍氏の外交政策はタカ派的だ。経済政策でも、より高いインフレ目標の導入や大型補正予算による景気刺激策を主張するなど、民主党政権とはかなり様相が異なる。世界の他の国々とは違い、日本は国を率いる政権の質が明らかに変わったのだ。

それが最も重大な意味を持つのは対中関係だろう。日本と同様、中国も現状維持は望んでいない。両国の力関係が過去とは違うことを認識した中国は、行儀良く振る舞うのをやめている。この1年、中国は尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権主張を強めてきており、先週には中国機が1958年以来初めて日本の領空に侵入した。こうした中で日本側の反応はナショナリスティックな側面を強めており、それが最も顕著に表れたのが安倍首相再登板なのだろう。

日本にとって次の論理的ステップは、中国の台頭を懸念する国々との連携だ。それはもちろん、米国との関係強化を意味する。日本が避けたいのは、2008年にロシアとグルジアで起きたのと同じような状況だ。日本は中国の挑発に耐えなくてはならない。さもなければ、実力を証明したがっている大きな国との致命的な対立に引きずり込まれる危険がある。そうなれば、日本経済には脱中国よりはるかに大きな打撃となる。

安倍総裁が2006年に初めて首相に就任した当時、最初の訪問国は米国ではなく中国だった。今回そうはならないだろう。

*筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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