January 18, 2013 / 2:45 AM / 6 years ago

インタビュー:政府・日銀共同文書、法的裏付けに日銀法改正を=岩田教授

[東京 18日 ロイター] 学習院大学の岩田規久男教授はロイターのインタビューで、安倍晋三首相に対し、デフレ脱却に向けた政府と日銀の合意を法的に裏付けするために、物価目標の導入と日銀の責任を明記した日銀法改正が必要だとかねてより提言しているとした。

1月18日、学習院大学の岩田規久男教授は、安倍晋三首相に対し、デフレ脱却に向けた政府と日銀の合意を法的に裏付けするために日銀法改正が必要だとかねてより提言していると述べた。都内の日銀本店前で昨年11月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

次期日銀総裁についても、物価目標の導入と日銀法改正の両方を受け入れることが試金石になるとの見方を示した。今回安倍首相が強く主張している2%の物価目標の達成については、フレキシブルな運用が望ましいとの考えを示し、賃金の上昇が遅れている場合など物価目標が達成されても金融引き締めは遅らせる余地を残すべきと述べた。

同教授は15日に安倍首相が開催した「金融有識者会合」にも出席した。

<2%達成は「中期」で、運用は賃金上昇に配慮するなどフレキシブルに>

岩田教授は、従来から安倍首相に対し日銀に物価目標を導入させることを提言してきた。安倍首相が強く主張する2%という目標が来週の日銀金融政策決定会合で決定された場合、達成めどの時期の具体的明示は見送られるものの、日銀が従来「物価安定のめど」で採用してきた「中長期」から「中期」に修正して、早期の達成を促すことになる見通しを示した。

「中期」のイメージとして同教授は 「最長で2年程度」との自身による試算を示した。「これまでの日銀の姿勢と物価連動債からみた予想インフレ率との相関関係からみて、昨年11月までの日銀の量的緩和のペース(6カ月平均で月1兆3379億円程度の当座預金残高増加ペース)では、予想インフレ率が2%まで上昇するのは15年5月ごろまでかかり、実際のインフレ率が2%に達するのは15年9月─11月ごろになる」と説明。さらに「毎月の6カ月平均の当預残高増加ペースを約2兆円に50%スピードアップした場合には、2%達成は1年程度早くなる」とした。

物価目標導入の責任は全面的に日銀が負うというのが同教授の持論だが、その運用はフレキシブルで良いと述べた。

「2%はフレキシブルで良い。合理的な説明ができれば達成できなくとも問題ない。英国でもそうしている」とし、「日本でも、例えば雇用から賃金になかなか波及しないとか、石油価格で物価上昇が起きている、などという時に、必ずしも2%に届いたからといって引き締めしなくてもいい。賃金が上がらないと物価だけ上がってもだめなので、時間がかかるが、賃金上昇まで待ってもいい」と、目標数字ありきの運用に陥る必要はないとの考えを示した。

<日銀法改正と物価目標採用が次期日銀総裁の試金石>

同教授は「今後、金融政策のレジームが安倍首相の主張する方向に変化するかどうかのカギは、日銀法改正とインフレ目標の採用だ」として、日銀法改正も必要だと主張する。浜田宏一米エール大名誉教授らとともに、政府と日銀の共同文書を実行するには法的な裏付けとなる日銀法改正が必要だと安倍首相に提言してきたという。

具体的に日銀法をどう改正すべきかについて同教授は 「目標インフレ率は政府が決めるということ、当面は2%。目標達成手段は日銀が決めることで、日銀の独立性を担保する。日銀と政府が目標達成に関して協定を結ぶ場合には、インフレ目標は政府の財政政策や成長戦略がどうであれ、金融政策だけで達成できることを確認することが不可欠だ」と述べた。

次期日銀総裁の条件としては 「日銀法改正とインフレ目標の2つを受け入れる人。これが試金石になる」との見方を示した。

<金融政策のレジーム変化で予想インフレ率が上昇>

岩田教授は、安倍首相に対しかねてより、企業が巨額の余剰資金を抱えたままにしていることで設備投資や消費などが動き出さず、デフレである限りそうした状況から抜け出せないと説明してきたという。

「リーマンショック後、企業は大幅なカネ余りになり、12年第3・四半期末には215兆円というGDPの約半分にものぼる現預金が滞留している。企業は設備投資の1.7倍程度の現預金をもっている。なぜならデフレ下では設備投資せずに単に現預金を持っているだけでも目減りしないからだ。ここでインフレ期待が生じれば、これらの巨額の資金が設備投資に向かい動き出す」と述べた。

予想インフレ率が上がった場合には「円安ルート、株高ルート、予想実質金利低下ルート、地価上昇ルートなどを通じて、輸出や設備投資や消費などの需要が増加する。予想インフレ率が上がるかどうかは、金融政策のレジーム(枠組み)に依存する。これまでのデータから、市場は、日銀総裁発言や実際の政策決定など中央銀行の姿勢と、日銀当座預金残高の変化をみて将来のインフレ率を予想していることがわかる」と指摘した。

*インタビューは17日に実施しました。

(ロイターニュース 中川泉;編集 宮崎亜巳)

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