January 21, 2013 / 9:43 AM / 6 years ago

コラム:中国の成長モデルは世界の秩序を乱す

[ロンドン 17日 ロイターBreakingviews] 中国の成長は世界の秩序を乱している。単に経済の大きさや成長のスピードが問題という訳ではない。より深刻なのは、経済発展について中国が作り上げてきた3つの大きな通念が間違っているように見えることだ。その影響は破滅的になりかねない。

1月17日、中国の成長は世界の秩序を乱している。深刻なのは、経済発展について中国が作り上げてきた3つの大きな通念が間違っているように見えることであり、その影響は破滅的になりかねない。写真は2011年、上海で撮影(2013年 ロイター/Carlos Barria)

◎重商主義の復活

ハーバード大学のエコノミスト、ダニ・ロドリック氏が指摘しているように、中国は重商主義のいくつかの基本原理を復活させている。中国はこれまで、政府が貿易をコントロールして国内産業を支援し、貿易黒字を確保するという重商主義のレシピを実践することで繁栄してきた。これによって同国は、3兆ドル前後に上る外貨準備を抱えるまでになった。

重商主義の観点から言えば、こうした富の蓄積は完全に理にかなっている。膨大な外貨準備によって国際交渉で有利な場に立ち、過小評価された自国通貨は投資促進や雇用創出につながっている。中国がこの戦略の下であまりに存在感と影響力を強めてきたため、自由市場や自由貿易の支持者は、自分たちの理論こそが正しいと声高に主張するのが難しくなりつつある。

また、中国のこうした路線は世界に金融の問題も引き起こす。数兆ドルの中国マネーの大半は生産的資産ではなく、国債に投資されている。中国マネーのこうした流れは、直接的あるいは間接的に、最近の危機につながった過剰流動性を助長したと思われる。

中国の貿易収支はバランスが取れたものになりつつあるが、その数字はやはり巨大だ。2012年の貿易黒字は2310億ドルと、市場に衝撃波を生むには十分な大きさだ。

◎富める者と貧しい者

産業革命以降ずっと、ある国の政治的な力と経済力は両立してきた。まず英国、そして米国、最近では日本が、経済的影響力と高い平均所得、洗練された組織、先進技術を組み合わせてきた。しかし、中国はこの型にはまらない。

中国は富める者より貧しい者の方が多い。中国の国民1人当たり国内総生産(GDP)は8400ドルと、米国の4万8000ドルはさておき、アルバニアやブルガリアよりも低い。中国はまた、裕福な国が持ついくつかの特性も欠いている。力強く公正な組織や世界をリードする研究、テクノロジーやデザインの分野で世界を引っ張る能力などだ。

その結果、矛盾が生まれる。圧倒的な市場サイズと成長の勢いを両方持つ中国は、石油から最先端通信技術に至るまで、あらゆる商品の得意客となっている。しかし、世界をリードするだけの専門知識や技術は持っていない。過去、中国が経験しているような経済的拡大には、強くて自信にあふれた軍事力が付き物だった。しかし中国の軍隊は、スキルや装備、士気などの点が不足している。

◎リーダーシップの不在

従来世界経済を引っ張っていた国々は、自国の文化が世界に誇れる何かを持っているという強い信念を持っていた。英国は自分たちには公平に統治する力が生来備わっていると信じ、米国は自分たちの生活様式に誇りを持っていた。日本は英米に比べれば視野が狭かったかもしれないが、少なくとも製造業には確固たる自信を持っていた。

対照的に、中国には迷いが見られる。共産党には一貫した理念がない。共産党政権以前の中国が持っていた優越性は、何世紀にもおよぶ衰退で傷ついている。その結果生まれたのは、力こそ強いが国民の信任を欠く政府だ。

実際、中国の不断の成長にとって最大の脅威は、政府が国民の支持を得られなくなることだろう。世界は指導者不在のリーダーとともに行き詰ることになる。

◎暗闇の中へ

中国が豊かになることをねたむのは卑しいことだが、心配を抱くのは妥当だろう。重商主義は、世界的な反感を買いかねず、さらなる金融の混乱にもつながりかねない。最初の重商主義の時代には、貿易がらみの戦争が頻発していた。リーダーシップの空白はしばしば、危険な人物や危険な思想を引き寄せる。19世紀の清朝・中国では、文化と政治の混乱で太平天国の乱が起き、推定2000万人が命を落としたとされる。

問題は、中国の成長モデルの目新しさが、今後も成功を続けられるかどうかだ。中国のGDPが成長すればするほど、失敗のリスクは高まる。失敗による混乱もまた大きくなる。中国が新たな発展の道を切り開く先駆者となれば、それはそれで世界にとって、難しい課題を示すことにもなるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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