February 6, 2013 / 6:17 AM / in 7 years

新日銀総裁への期待で円安・株高加速、超長期債利回りさえ一時低下

[東京 6日 ロイター] 白川日銀総裁の早期辞任表明で、新総裁による大胆な金融緩和への期待があらためて強まり、円安と日本株高が一段と進行している。

2月6日、白川日銀総裁の早期辞任表明で、新総裁による大胆な金融緩和への期待があらためて強まり、円安と日本株高が一段と進行している。写真は昨年12月、都内で撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

本来ならリスクプレミアムが乗るはずの超長期債の利回りでさえ国債買い入れ増額への期待から一時低下。「アベノミクス」に死角はないように見えるが、中央銀行による大規模な国債購入は財政ファイナンスと紙一重。金利を上げずに大胆な金融緩和を行うことができるか、新総裁の手腕を市場は注目している。

<超長期債にも買い入れ期待>

日銀新総裁による金融緩和期待で将来のインフレ予想が高まるなら、マーケットが長期債、超長期債に求めるリスクプレミアムは引き上げられ、本来なら利回りは上昇するはずだ。実際、イールドカーブのスティープ化に備えた運用資産アロケーションに変えつつある投資家も少なくない。しかし、6日午前の円債市場で長期債、超長期債の利回りは低下。20年債利回りは0.5べーシスポイント(bp)低下の1.780%、30年債利回りは1bp低下し1.990%となった。

リスクプレミアムの上昇を打ち消したのが、日銀による国債買い入れ増額期待だ。償還までの期間が長い超長期国債を購入すると資産が長期間固定されてしまうため、中央銀行は短いゾーンの国債を購入するのが好ましいとされる。米連邦準備理事会(FRB)による長期国債購入についても、「出口」への政策転換が難しくなるの批判もあるほどだ。また日本では、短いゾーンの金利がゼロ近辺まで低下しているほか、家計や企業の長期債務が乏しく、金利低下を通じた景気刺激効果は期待しにくい。

だが、市場では白川日銀総裁の辞任表明で、次期総裁による大胆な金融緩和策への期待があらためて浮上。超長期国債の購入増加などへの思惑が強まったことが超長期債の利回り低下を促した。「現状のデフレからは程遠い2%の物価目標を達成するには、みんなが驚くような金融緩和策によってインフレ予想を変えることが必要だ。輪番オペによる超長期国債買い入れ増額などはその1つの方法だろう」(国内銀行の円債担当者)とみられている。

日銀は現時点では、資産買い入れ基金による国債買い入れは残存年限が3年以下の国債に限っている。日銀券ルールに基づく国債買い入れ(輪番オペ)でも1兆8000億円の国債を購入しているが、残存期間10年超30年以下の国債の購入は毎月1000億円にすぎない。市場では「市場のインフレ期待に影響を与えるなら超長期債を現状5倍の5000億円程度を購入するぐらい必要ではないか」(邦銀)との声も出ている。

デフレ解消期待に加え、国債購入によってマネタリーベースが増えれば円安が加速するとの思惑から、円売り・日本株買いも加速。日経平均.N225は2010年4月5日に付けたリーマン・ショック後のザラ場ベースの戻り高値1万1408円17銭を更新、2008年10月以来4年4カ月ぶりの高水準となっている。インベストラスト代表取締役の福永博之氏は「白川日銀総裁の辞任表明で円安が進み、日本株を押し上げている。海外中銀に比べて周回遅れとの評価もある日銀の金融緩和度合いが、新総裁就任で改善されるとの期待だ」と指摘する。

<新日銀総裁の課題>

しかし、中央銀行による国債の大量購入は財政ファイナンスの懸念も一方で高める。円債金利が全般的に低金利に抑えられていることは懸念がまだ顕在化していないことの表れだが、「信頼の崩壊は突然起きる」(外資系証券エコノミスト)との不安は小さくない。景気回復による金利上昇は税収増でカバーできても、いわゆる「悪い金利上昇」が起きれば利払い費が急増し、「アベノミクス」はとん挫する。

世界最大の債券ファンド運用会社、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)で日本の債券運用を統括する正直知哉マネージングディレクターは「アベノミクス」のリスクについて意図しない金利上昇であると指摘。「国債の規模は大きく膨らんでおり、財政規律が緩んで金利が上昇すれば、利払い費は雪だるま式に膨らんでしまう。財政ファイナンスと市場が受け止めないようにしなければならない」と述べている。

実際、日銀が4日公表した1月31日時点の営業毎旬報告によると、日銀が保有する長期国債の残高は31日時点で約118兆6300億円と、紙幣(銀行券)の発行残高約82兆6300億円を大きく上回っている。約25兆8800億円は資産買い入れ基金で別枠管理しているが、成長通貨を供給するという国債買い入れの理由付けはもはやあいまいになっている。

白川日銀総裁が4月8日の任期満了を待たずに3月19日に辞任する意向を示したことで、早ければ4月3─4日の日銀金融政策決定会合に新総裁が「初登板」することになる。三菱東京UFJ銀行・金融市場部戦略トレーディンググループ次長、今井健一氏は「市場や国民のインフレ期待をどのように形成していくかが日銀新総裁の課題となろう。一方で、国債の大量購入は財政ファイナンス懸念を引き起こしかねない。そのバランスをどうとっていくかが注目される」と話している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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