February 15, 2013 / 12:06 AM / 7 years ago

焦点:核実験強行した北朝鮮、中国が抑え込めない理由

[ワシントン/北京 13日 ロイター] 北朝鮮が12日に実施した3度目の核実験は、国際社会からの非難が相次ぎ、国連安全保障理事会も「適切な措置」を取るとして新たな制裁を検討している。また米国では、中国が北朝鮮の抑え込みにようやく乗り出すと期待する声も聞かれる。

2月13日、中国政府は3度目の核実験に踏み切った北朝鮮に抗議を伝えたものの、これまでのところ実際の対応に目立った変化は見られない。写真は北京市内の北朝鮮大使館に掲げられた国旗(2013年 ロイター)

その中国は、核実験後に北朝鮮側に抗議を伝えたものの、これまでのところ状況に目立った変化は見られない。

こうした事態は以前にもあったことで、今回も同じ展開が繰り返される可能性は高い。

中国はこれまで、北朝鮮への厳しい制裁措置を支持してこなかった。それは、自国のすぐ隣にある予測不能の国で大混乱が生じるのを恐れるためだ。米国が軍事面でアジア重視の戦略にシフトしている今、中国が対北朝鮮で米国と共同歩調を取る見込みはさらに低いとみられる。

上海・復旦大学の沈丁立教授は「米国が西太平洋で軍部隊の再編成を進めれば進めるほど、中国は北朝鮮との関係に幅を持たせざるを得なくなる」と話す。

一方で北朝鮮は、米中の不信感が高まっていることを巧みに利用している。

中国は今回の核実験後、北朝鮮に「強烈に不満で、断固として反対する」と抗議した。しかし、これは中国の新指導部が北朝鮮に厳しい措置を取るつもりがないことを示唆している。抗議に用いられた言葉も、支援削減の示唆など一部国営メディアが発した厳しい警告に比べると迫力に欠けるものだった。

中国の外交専門家は、政府の優先事項が米国や韓国、日本とは異なると指摘する。中国にとっては北朝鮮との国境の不安定化が、核問題よりも重大で緊急性のある懸念と言える。

北京大学の国際関係学教授である朱鋒氏は「中国は常に、北朝鮮が急崩壊する恐れを懸念している」と指摘。「難民問題や社会不安、軍事衝突の可能性がある。中国が二の足を踏む理由はそれだ」と語る。

北朝鮮では1990年代半ばの飢きんで100万人以上が死亡した。以来、中国は北朝鮮を維持するために食糧や燃料を支援してきたが、その額は明らかにしていない。さらに中国は北朝鮮との貿易や投資も強化している。

2国間の貿易額は2012年上期に前年比24.7%増となる31億ドルに増加。2011年は前年比62.4%増となる57億ドルだった。中国はこのほか、国連による制裁措置で北朝鮮への輸出が禁止されている「ぜいたく品」についても、寛容な姿勢を取っているとみられている。

<北朝鮮への圧力>

国際危機グループの北東アジア責任者、ステファニー・クライネ・アールブラント氏は、「北朝鮮への経済支援策は他にもさまざまな方法がある。それだけではなく、中国には北朝鮮の体制を追い詰める気がない。それは中国が戦争を望んでおらず、現状を変えたくないからだ」と語る。

新たな制裁をめぐる今後の交渉の難しさを示す例として、国連の複数の外交官は、今回の核実験を受けた安保理声明案の協議で、中国が「国際的な平和と安定への明確な脅威」という文言に当初反対していたことを明かす。中国は結局、同案を受け入れた。

こうした中国の対応について聞かれた米国務省のヌランド報道官は、交渉は初期の段階だとコメント。ただ、中国が北朝鮮に対して持つ大きな影響力は「中国と緊密に連携することが非常に重要である理由だ」とし、ケリー新国務長官が中国側のカウンターパートとの協力を優先する理由でもあるとの見解を示した。

しかし、この問題における米国の影響力は、オバマ大統領の政策によって低下する可能性もある。軍事面でアジア太平洋地域にシフトする戦略は、イラクやアフガニスタンでの10年にわたる戦争後の必要な政策修正だとワシントンではみられるが、北京では中国に対する脅迫的な政策だと捉えられる。

国連の北朝鮮制裁委員会の専門家パネル元メンバーであるノートルダム大学のジョージ・ロペス氏は、北朝鮮に厳しい対応を取るよう中国に促すために、米国は日本と韓国が核兵器を保有したり、別の方策で対米同盟を強化したりする可能性を想起させるべきだと主張する。

同氏は中国に送るメッセージについて、「われわれと協力し、同じ目標に向けて2国が主導する枠組みを作る必要がある。さもないと、予測不能な形で大混乱が生じる」という内容であるべきだと語る。

また、ロペス氏や他の専門家は、米国が中国から北朝鮮への銀行送金に対する監視を強化するために、既存法を利用する余地が大きいと見る。

米財務省は2005年、マカオの金融機関「バンコ・デルタ・アジア」に対する制裁を発動。マネーロンダリング(資金洗浄)や偽札密輸をターゲットにしたこの措置は、北朝鮮にとって財政的な痛手となり、米国の銀行システムからの締め出しを恐れる中国の銀行への警告となった。

オバマ大統領は12日の一般教書演説で、北朝鮮の脅威に対する国際的な対応で主導すると表明。ただ、中国がどのような役割を果たせるかについての言及はなかった。

大統領は「北朝鮮の体制は、国際的な義務を果たすことでしか安全と繁栄を実現できないことを知る必要がある」と指摘。

さらに「この種の挑発はさらなる孤立を招くだけだ。われわれは同盟国と協調してミサイル防衛を強化し、世界を主導してこうした脅威に対応するために断固たる措置を取る」と強調した。

(ロイター日本語サービス 原文:Paul Eckert、Michael Martina、翻訳:橋本俊樹、編集:宮井伸明)

*誤字を修正して再送します。

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