February 28, 2013 / 11:13 AM / 7 years ago

アングル:ベルルスコーニ氏次第でユーロ再下落、くすぶる下値不安

[東京 28日 ロイター] イタリアの政局混迷で急落したユーロは、思いのほか堅調だった同国国債入札でいったん持ち直した。しかし市場関係者は、新政権成立にあたってキーパーソンになるベルルスコーニ前首相の言動次第で、再び下落する事態になりかねないと身構えている。

2月28日、市場関係者は、新政権成立にあたってキーパーソンになるベルルスコーニ前首相の言動次第で、再び下落する事態になりかねないと身構えている。写真は24日、ミラノで撮影(2013年 ロイター/Stefano Rellandini)

ユーロ相場をサポートしてきた需給面やテクニカル面の要因にも変化が見られ、下値不安がくすぶる。

<「ザ・ベルルスコーニ」か「ニュー・ベルルスコーニ」か>

ユーロはイタリア総選挙を受けて急速に売られたが、総選挙後初となった27日のイタリア国債入札が堅調な需要を集めたことで持ち直した。しかし、りそな銀行・市場トレーディング室の尾股正寿シニアクライアントマネージャーは、再びユーロが急落するリスクがあると警戒。イタリアの中道右派連合を率いるベルルスコーニ前首相の一挙手一投足を注視する必要があると指摘する。

ベルルスコーニ前首相は、中道右派連合とベルサニ氏率いる中道左派連合との連携に前向きな姿勢を示し、政治空白は避けるべきとの姿勢を取っている。そのため、市場が「最悪のシナリオ」(欧州系銀行)と位置付ける再選挙のリスクが後退している。しかし、財政緊縮維持を掲げる中道左派連合と連立政権を樹立した場合に、同氏が反緊縮を主張して政権をかき回す事態にならないかが焦点となる。尾股氏は「『ザ・ベルルスコーニ』が顔をのぞかせるのか、ニューバージョンのベルルスコーニが顔をのぞかせるのかで分かれる」と話す。

28日のユーロは明確な方向感を見出せず、大手信託銀行の関係者は、しばらくは「出たとこ勝負で臨む」と語る。

<変わるユーロのサポート要因>

イタリア情勢以外に、今までユーロを支えてきた複数の要因が変容していることも見逃せない。

これまでユーロの調整局面では、アジア中銀や中東系などの市場参加者が大口で買ってくることが注目されてきた。しかし日本の大手銀関係者は、石油取引に絡んだ中東系のユーロ買いはコンスタントに期待できるものの、アジア中銀のユーロ買いは見込みにくいと指摘する。自国通貨の上昇を防ぐためにドル買い介入をするアジアの当局は、外貨準備を分散させるためにユーロ買いをすることが多いが、同関係者は「今はアジア通貨高にもなっていないし、アグレッシブに介入もしていないから、買い手としては消える」と話す。

テクニカル面を見てもユーロは下値不安がくすぶる。昨年11月以降のいわゆるアベノミクス相場で、ユーロ/円は20日移動平均線や25日移動平均線を割り込むことなく上昇を続けてきたが、2月21日に両線を明確に下抜けた。ユーロ/ドルも、昨年の7月安値(1.2042ドル)と11月安値(1.2661ドル)を結んだサポートラインが前週は1.32ドル付近に位置していたが、その後に割り込んで以降は同水準まで戻していない。外為どっとコム総研の川畑琢也研究員は、ユーロは対ドル、対円とも「下向きに目が向きやすいチャート形状になっている」と指摘する。

<ギリシャとイタリアは違う>

それでも、前年のギリシャ総選挙時のような混乱が再びマーケットで起きると警戒する向きは多くない。三井住友銀行・市場営業統括部の山下えつ子チーフ・エコノミストは、ギリシャとイタリアが置かれた立場の違いを指摘する。ギリシャは、当時すでに金融支援を受けていたがために、反緊縮財政派の躍進で支援継続をめぐる不透明感やユーロ離脱懸念を招いた。しかし、イタリアは金融支援を受けていない。

山下氏は、イタリアの国債利回りが上昇を継続すれば支援観測が高まりやすいものの、「イタリアの総選挙の結果だけを見て、またユーロ崩壊だとか、ギリシャの時のようになるとか、一足飛びにリスクをものすごく大きく見てゆくようなことはないのではないか」と話す。ギリシャはユーロ離脱懸念こそ高まったものの、結局離脱には至らなかった。こうした事実をマーケットは「学習してきた」と、山下氏は指摘する。「OMTがあることは大きい」――大手邦銀の関係者はこう話し、仮にイタリアの政局不安が一段と高まっても信用不安に発展する事態には至らないとみている。昨年、スペインの金融危機で欧州中央銀行(ECB)はOMT(新しい債券購入プログラム)を導入。国債を無制限に購入する方針を示したことで、スペインなど周辺国の国債利回りは顕著に低下し、OMTが発動されないまま信用不安は後退した。

<OMTが発動できないリスク>

もっとも、そのOMTが波乱要因になる可能性がある。イタリアの新政権が打ち出す財政政策によっては、国債利回りが上昇を続けてもOMTが発動されないリスクがあるためだ。OMTは国債利回りが上昇した国の国債を制限なく購入するものだが、前提条件として、当該国が財政緊縮プログラムを作成し、欧州当局の承認を受ける必要がある。「今のイタリアはそうした条件を満たせないのではないかという懸念で国債利回りが上がっている」と、大和総研の山崎加津子シニアエコノミストは言う。

(ロイターニュース 和田崇彦 編集:久保信博)

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