March 1, 2013 / 5:47 AM / 6 years ago

米歳出削減に市場は余裕の構え、「バーナンキ・プット」健在

[東京 1日 ロイター] 米国で本日発動が予定される歳出強制削減措置に対し、市場は余裕の構えをみせている。米株は史上最高値に接近し、日本株も高値圏で堅調に推移するなど、深刻さは乏しい。

3月1日、米国で本日発動が予定される歳出強制削減措置に対し、市場は余裕の構えをみせている。米経済が想定以上に悪化したとしても米金融緩和で対応してくれるとの期待である「バーナンキ・プット」が健在であるためだ。写真は米下院金融委員会で証言するバーナンキ米FRB(連邦準備理事会)議長。2月27日撮影(2013年 ロイター/Larry Downing)

経済への悪影響はすでにある程度、相場に織り込まれているほか、米経済が想定以上に悪化したとしても米金融緩和で対応してくれるとの期待である「バーナンキ・プット」が健在であるためだ。日本でも次期日銀執行部による大胆な金融緩和への期待が大きく、流動性相場を支えている。

<米景気が悪化すれば金融緩和との期待>

米上院議会は28日、3月1日の強制的な歳出の削減の発動を回避する目的で与野党が提出した法案をいずれも否決。歳出強制削減の回避は一段と難しい情勢となった。歳出強制削減措置の規模は850億ドル。国際通貨基金(IMF)は強制削減が完全実施された場合、現在2%としている2013年の米成長見通しを少なくとも0.5%ポイント引き下げる方針だ。

今年1月からの給与税減税の終了で約2000億ドル、GDP比で1.3%程度の税負担増が発生していると試算されている。さらに歳出削減が上乗せされれば、米経済への影響は小さくない。10─12月期の米国内総生産(GDP)改定値は0.1%増と速報値の0.1%減から上方修正されたが、政府支出の減少などの影響は大きく、2011年第1・四半期以来の低い伸びにとどまった。

だが、金融マーケットでは深刻な懸念は広がっていない。米ダウ.DJIは引け際にかけてさすがに売られたが、一時は終値ベースの史上最高値1万4164ドルに迫る勢いだった。前場の日経平均.N225も前日に300円高した反動もあってやや上値が重いが、節目の1万1500円を上回って推移するなど高値圏で堅調な推移をみせている。外為市場でも、リスクオフのドル買い・円買いは限定的だ。

トヨタアセットマネジメントのチーフストラテジスト、濱崎優氏は「米歳出削減は今年の経済予想の中にすでに織り込んでいる。多くの市場関係者もそうであろう。また想定以上に経済に悪影響が出たそしても、追加的な米金融緩和策が打ち出されれば、ポジティブ要因になる」と指摘する。金融緩和期待が市場センチメントを支えている大きな背景だという。

FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では、早期の緩和縮小を視野に入れているメンバーが複数いることが明らかになったが、バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長は26─27日の議会証言で量的緩和策を擁護。米景気が順調に回復すれば、緩和の早期縮小も依然として視野に入るとの見方も多いが、経済が悪化すれば、バーナンキ議長が金融緩和で対応してくれるだろうという市場の期待である「バーナンキ・プット」は依然健在だ。

<マネーは米国で拡大中>

米国の流動性は経済成長率を大きく上回る伸びをみせている。トレンドでみて米実質経済成長率は約2%、インフレ率も約2%で名目成長率は4%程度で推移しているが、M2マネーストックの前年比伸び率は7.5%と大きく上回る。バブル発生を懸念する声も増えてきているが、FRBは失業率6.5%の数値目標を設定しており、市場では「そう簡単に緩和縮小には動けない」(国内証券)との見方も多い。

「今回、歳出削減が回避されようと米国は基本的には緊縮財政の方向にある。債務上限など先延ばしした問題も、いずれ対応しなくてはならない。それでも株価が高いのは金融緩和による流動性が膨らんでいるためだ。バブル発生も懸念されるが、失業率目標がある以上、早期の緩和縮小は難しいだろう」とT&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は述べる。

ユーロ圏でも、経済の低迷が鮮明化し、イタリアでは政治的な混乱が続いていることで、来週7日の欧州中央銀行(ECB)の理事会における利下げ観測も強まってきた。景気回復期待の強まりとともに、影が薄くなっていた金融緩和期待が勢いを取り戻し、相場を支えている。ECBの国債買い入れプログラム(OMT)などへの安心感もあり、懸念はあっても、現時点では昨年までのように底なし沼のような不安ではないことが、緩和期待に反応しやすい素地になっている。

<日本も流動性相場色強まる>

日本でも、次期日銀執行部による大胆な金融緩和期待が強まっており、各相場を押し上げている。午前の円債市場では短期筋の買いが先行し、国債先物3月限は一時前営業日比19銭高の145円21銭まで買われ、史上最高値145円26銭に迫った。「バブルの匂いがしてきた」(国内投信)との声も出ているが、一時は20年債利回りが1.555%、30年債利回りが1.750%と昨年7月以来の水準にそれぞれ低下。10年長期金利も0.640%まで低下し、2003年6月以来の低水準を付けた。

ドイツ証券チーフ金利ストラテジストの山下周氏は、超長期ゾーンの利回りが大幅に低下していることについて「2月から3月にかけて季節的なタイミングでインデックスが長く延びることに合わせて長期化需要が入っているようだ。また、安倍政権の政策による財政拡大、金融緩和という組み合わせは基本的にスティープニングの要因だったため、超長期債をアンダーウエートにしていた向きが買い戻す動きが強まっている」と分析している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 佐々木美和)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below