March 4, 2013 / 6:17 AM / in 7 years

焦点:アベノミクスで公的年金の運用配分乱れ、修正に「数兆円」の試算も

[東京 4日 ロイター] 安倍政権下での大胆な金融緩和を先取りするかたちで国債が買われ、長期金利は急ピッチで低下している。しかし、想定外の円安などで運用資産の構成比率が乱れ、それをもとに戻そうとする年金マネーの動きも見逃せない。

3月4日、安倍政権下での大胆な金融緩和を先取りするかたちで国債が買われ、長期金利は急ピッチで低下している。しかし、想定外の円安などで運用資産の構成比率が乱れ、それをもとに戻そうとする年金マネーの動きも見逃せない。写真は昨年12月、都内で撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

国に定められた比率に戻すのに「数兆円」に上る国債の追加購入が必要との試算もあり、今後、市況をかく乱しかねない情勢になってきた。

長期金利は国債市場に流通する10年物の取引価格から算出され、今年に入ってから低下傾向をたどっている。4日の取引では0.605%と、2003年6月以来9年8カ月ぶりの低水準をまた更新した。

安倍首相がめざす物価安定目標2%を達成するのに「次元の異なる金融緩和が必要になる」との見方は少なくない。緩和に積極的な黒田、岩田規ラインとする新たな日銀人事案が固まり、将来の緩和強化を見越して市場で国債を買う動きが広がりやすくなった、とされる。

世界最大の運用機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がリバランスに動いたことも金利の低下要因になっている。GPIFは100兆円を超す運用資金について、定められた比率で運用するよう義務付けられ、2014年度までは国内の資産では債券が59%から75%に、株は5%から17%になるように決められた。一方、海外では債券が3%から13%に、株は4%から14%の範囲に収まるよう、暫定的な規制がかかっている。

アベノミクスが生み出す円安の動きは外貨資産の上昇や株高を通じて、こうした規制に揺さぶりをかけている。GPIFが1日に発表した12月末時点の国債保有比率は59.65%と、許容レンジの下限59%にかろうじて収まった。

しかし、その後の円安などで外貨建て資産などの比率が上昇しており、ゴールドマン・サックス証券の試算では、リバランスに踏み切らなければ、国内債券の比率は3月末に57%前半と許容レンジを下回りかねない。「下限から余裕を持たせるには1月からの3カ月間で3兆円以上の国債を購入する必要がある」(西川昌宏・金融商品開発部部長)という。

GPIFは、高齢化に伴う年金給付への備えとして積立金の取り崩しを主に国債で行っており、13年度は4.7兆円を売却する方針。このまま円安、株高の状況が続けば、いまの比率を維持するのが難しくなるため、市場では、国債の比率引き下げを見込む声が多い。

GPIFの三谷隆博理事長は、今春にも資産構成の点検作業を本格化させ、「その後、必要ということになれば来年度・13年度からポートフォリオ構成を見直す可能性も、ゼロではない」と話す。実際に、国債での運用比率が引き下げられた場合、過剰に低下した長期金利が上昇に転じるおそれもある。

(ロイターニュース 山口貴也 編集;宮崎大)

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