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焦点:中国の対日姿勢「雪解け」か、外務人事から透ける思惑

[北京 20日 ロイター] 中国の習近平・新国家主席が先週任命した2つの外交ポストの人選には、対日関係を修復しようとする一方で、アジア重視を掲げる米国をけん制する思惑が見て取れる。

3月20日、中国の習近平・新国家主席が先週任命した2つの外交ポストの人選には、対日関係を修復しようとする一方で、アジア重視を掲げる米国をけん制する思惑が見て取れる。写真は外交担当国務委員に就任した楊潔チ氏(左)と新外相の王毅氏(2013年 ロイター)

その1人目は、駐米大使や外相を歴任し、外務省トップである外交担当の国務委員(副首相級)に就任した楊潔チ氏。英語に堪能で押しの強い楊氏は、南シナ海の領土問題などアジア内の問題に米国が口を出すべきではないとの考えの持ち主だ。

そしてもう1人は元駐日大使で、楊氏の後を継いで外相に就任した王毅氏。日本を熟知する王氏は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題をめぐり悪化していた対日関係の修復を担うことになる。

政府系シンクタンク、中国国際問題研究所(CIIS)の阮宋澤・副所長は「中国は、こうした日本との対立を本当は望んでいない」と指摘。「駐日大使が新しい外相に選ばれたということは、いかに中国がこの問題に注意を払っているかを示している。状況改善に向け、日本との情報交換が増えるだろう」と述べた。

外交政策にしばしば影響力を発揮する軍部も、日本に対して和解的な論調の評論を繰り返し発している。

とはいえ、習氏は前任者らと同じ外交的制約に悩ませられるに違いない。中国の発展は周辺諸国や米国との関係に左右されるが、習氏は一段と国家主義的な様相を呈する世論に対し、中国の正当な権利を守り、世界第2位の経済大国に見合う尊敬を国際社会から得ていると証明しなくてはならないだろう。

中国国内では、尖閣問題や東南アジア諸国と争う南シナ海における領土問題で、強硬姿勢を取り続けなくてはいけないというプレッシャーが習氏にのしかかっている。また、中国の経済や軍事的成長を米国が抑え込もうとしているとの根強い懸念にも取り組まねばならない。

「中国で台頭するナショナリズムが、同国指導者にとって大きな課題だ」。こう指摘するのは、北京大学のWang Dong教授だ。「指導者らにとって、国内世論の期待と平和的な外部環境を確保するための外交政策との間でバランスを取るのは非常に難しい」と話した。

<初の外遊>

外交において日本と米国を重視しているとはいえ、習氏は初の外遊先として、ロシアのほか、南アフリカ、タンザニア、コンゴ共和国を選んだ。

シリアの内戦に対する姿勢など、多くの共通点を持つロシアへの訪問は当然の選択であり、ミャンマーへの影響力を強める米国に対抗する上でも、ロシアとの関係を強化する狙いがあるとみられる。

アフリカも中国にとって戦略的に重要な地域となっている。中国は好調な自国経済の原動力としてアフリカの資源を必要とし、アフリカもまた中国の安価な製品を求めている。中国の統計によると、2012年の対アフリカ貿易は2200億ドル(約20兆9700億円)を超え、前年比で約30%増加した。

それでもやはり中国外交の鍵を握るのは、世界第1位の経済大国である米国との関係に他ならない。ルー米財務長官は19日、国家主席に就任したばかりの習氏と北京で会談し、両国関係の重要性を確認した。

2001―05年に駐米大使を務めた楊氏は、海洋領有問題や貿易問題などではっきりと中国の主張を伝え、米国とも交渉できる人物だと見られている。

一方、外相に就任した王氏は、国務院台湾事務弁公室主任として、台湾との関係を改善したことが高く評価されている。

また今回、駐米大使には、元駐日大使で外務次官だった崔天凱氏が就任。崔氏は米国での評判が良く、楊氏のように対決姿勢を示すこともできる人物だ。

前出のCIISの阮氏は「中国はトラブルを避けたいと考えている。国内に対処しなくてはならない問題が多過ぎる」と述べた。

<世界の舞台で>

しかし、意思決定機関である中国共産党の政治局局員に外交政策の専門家はいまだいない。このことは、外交が引き続き国内問題の二の次となる可能性を示唆している。

加えて、中国は高まる世界的地位に見合ったより大きな役割を果たそうとする意思をほとんど示していない。

人民日報系の環球時報は19日、「包括的な国力といった点で中国は世界第2位」で、「必要なのはさらに強力な外交戦略だ。それはわが国の状況に適したものでなければならず、他の大国の真似であってはならない」としている。

例えば、中国は自国で消費する原油の約半分を中東から輸入しているが、シリアの内戦やパレスチナ問題などでは目立った役割を果たしていない。ペルシャ湾の油田や主要な海上交通路を守っているのは、基本的に今でも世界の警察官たる米国だ。

ワシントン近東政策研究所のデービッド・シェンカー氏は「(中国が)中東で何かをしようとする欲望があるようには見えない」とし、「今後もそうなのか、それとも世界の経済大国として同地域にもっと関与しなくてはならないというプレッシャーが中国にかかるかは分からない。ただ、いずれはプレッシャーは高まるだろうが、中国が関心をほとんど持たないことは確実だろう」と指摘した。

(原文執筆:Megha Rajagopalan記者、翻訳:伊藤典子、編集:橋本俊樹)

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