March 21, 2013 / 1:52 PM / 7 years ago

黒田日銀新総裁は2年で2%へ「何でもやる」、大胆緩和を強調

[東京 21日 ロイター] 日銀の黒田東彦総裁は就任会見で、2%の物価目標を2年程度で達成するため「何でもやる」と述べ、大胆な金融緩和への決意を改めて示した。

3月21日、日銀の黒田東彦総裁は就任会見で、2%の物価目標を2年程度で達成するため「何でもやる」と述べ、大胆な金融緩和への決意を改めて示した。日銀本店で同日撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

日銀の資産規模拡大による量的緩和を大量の国債や各種金融資産の買い入れで進める。無期限緩和の前倒しや満期の長い国債の買い入れなども検討する意欲を強調した。市場で取りざたされている臨時会合の開催についてはコメントを控えた。

黒田総裁は、政府と日銀が1月に示した2%の物価目標の達成時期について、諸外国中銀の例を参考に「2年程度での達成が望ましい」と発言。デフレには様々な要因があるが「克服する責任は中央銀行にある」とし、2%の目標達成が「日銀の一番大きな使命」と述べた。現在の円安・株高について「バブルの懸念があるとは思っていない」とし大胆な緩和を躊躇なく進める意気込みを示した。

また経済のグローバル化を踏まえ「金融政策のわかりやすい対外的な説明が必要。金融システム安定には各国中銀との協調も重要」とし、財務官など長年の国際金融畑で培った「ネットワークを役立てたい」と抱負を述べた。一方で、「市場との対話は市場関係者の言う通りではない」と述べ、過度の緩和期待に対するけん制とも取れる発言もした。

<「基金で政策複雑化」と指摘、バランスシート指標の量的緩和検討か>

具体的な緩和手法について、「2%の物価目標達成できるまで、あらゆる手段を講じる必要がある」、「量的・質的両面から大胆な金融緩和を進める」と強調。資産買い入れ基金による現行の金融緩和は仕組みが複雑化しているため、「日銀のバランスシートの動きがわかりやすい政策運営が必要」とし、日銀の保有資産全体の大きさを拡大することで金融緩和を強化したい考えを示した。

日銀が買い入れる資産として国債以外に「REIT(不動産投資信託)を含め様々な金融資産の購入も市場状況など踏まえ議論する」とした。「長期の資産を買いイールドカーブ自体を下げていく」とも述べ、基金で買い入れる国債の対象を、現在の3年よりも満期の長いものに広げる考えを示した。2014年初めに予定している期限を定めない国債の買い入れについては、「前倒しであろうとなんでも検討する」と述べた。

<国債大量購入、自主的なら財政ファイナンス懸念なし>

大量の国債購入を続けても「日銀が自主的に金融調節のため資産を買い入れるのは、国債の引き受けとは違う」と強調。財政ファイナンス(穴埋め)懸念を生むことはないとの見方を示した。日銀はこれまで、保有している国債の量を紙幣の総量以内に抑える「日銀券ルール」を定めていたが、「日銀券ルールがなくても財政ファイナンス懸念はない」と語った。

新興国を中心に、日本の金融緩和が円安誘導との懸念が出ていることについては、「他の条件が一定なら金融緩和が円安効果を持つのは事実」としつつ、「金融政策は為替相場をターゲットとしているものでは全くない」と反論。昨年末以降の円安は「リーマン(ショック)以降の急激な円高の修正」とし、「デフレ脱却に貢献する」と述べた。また「為替安定の責任は財務省にある」とした。

<金利上げ下げも期待に働きかけ>

会見は、同時に就任した岩田規久男、中曽宏の両副総裁と共同で行われ、3者の発言には食い違いも残った。2%目標の達成時期については岩田副総裁も「2年程度での達成が必要」としたものの、中曽副総裁は明言を避けた。物価目標を達成できない場合の責任の取り方も、岩田副総裁が「政策のミスジャッジ(誤判断)が理由であれば辞任する」と述べたものの、黒田総裁は「一日も早く達成するよう努める」と述べるにとどめた。

日銀法のあり方について、岩田氏は「長期的に物価目標を法律で担保する必要がある」と持論を述べたのに対し、黒田氏はあくまで「日銀法改正は国会で議論すべき事項」とかわした。

岩田・黒田両氏は緩やかなインフレを実現することで景気回復を目指す「リフレ派」。金融政策を通じてデフレになじみ過ぎた人々の期待を変化させることを主眼としている。黒田総裁は、「従来型の金融政策も単に金利の上げ下げでなく企業などの期待に働きかけている」とし、金融政策はそもそも期待に働きかけるもの、との見解を披露した。白川方明前総裁が19日の退任会見で期待に働きかける政策は「危うい」と警鐘をならしたのに対抗した形だ。

<資金供給と物価、中期的には相関関係─岩田副総裁>

岩田氏らリフレ派は安倍晋三首相による強力な金融緩和表明以降、物価連動債から試算した期待インフレ率が上昇していると強調する。ただ物価連動債は日本では流動性が少ないため、黒田総裁は「アンケートなども通じて人々の物価観を調査する」意向を示した。

日銀は従来から資金供給が必ずしも物価上昇に結びつかないとの立場。これに対して岩田氏は、「デフレ期は企業に資金が滞留しているため、銀行貸し出しが伸びにくく日銀の資金供給が短期的に物価上昇に結びつかないが、中長期的には資金供給と物価上昇率に相関関係がある」と説明した。

(ロイターニュース 竹本能文、伊藤純夫:編集 久保信博 橋本浩)

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