March 29, 2013 / 5:38 AM / 6 years ago

コラム:朝鮮半島の「用心棒役」、米国から中国に交代を

朝鮮半島でエスカレートする核の脅威には、創造的な解決策が必要とされる。それを主導し、米国が長期にわたり背負ってきた負担を軽くする役割を担えるのは中国しかいない。

3月27日、朝鮮半島でエスカレートする核の脅威には、創造的な解決策が必要とされる。それを主導し、米国が長期にわたり背負ってきた負担を軽くする役割を担えるのは中国しかいない。写真は7日、東豆川で訓練を行う駐韓米軍兵士(2013年 ロイター/Kim Hong-Ji)

実際のところ、世界市民として中国ほど安定した歴史を持つ国家は他にない。過去2000年以上にわたって中国は、隣国を武力で征服しようとしたり、古代ローマやモンゴル、英国、ドイツ、フランス、スペイン、ロシア、日本、米国などに匹敵するような規模では、自国の統治システムを広めたりはしてこなかった。自国の一部とみなすチベットの分離独立には容赦ない対応を取っているが、これまで歴史的国境を越えて土地を奪ったことはない。

中国が、単に機が熟すのを待っていると考える理由は何もない。実際、中国こそが長期的戦略を持つ国だと言える。かつて周恩来・元首相は1789年のフランス革命についてどう思うかと問われると、「話すにはまだ早過ぎる」と答えたという。

中国の歴史はまた、2200年に及ぶ独裁政治の歴史でもある。それでも1979年以降、約13億人の国民に対し、徐々にではあるが自由を与えている。貯蓄や起業、海外渡航などにおいて、中国国民はかつてないほど自由を享受している。

専門家や学者の中には、中国を台頭する軍事的脅威とみなし懸念する者もいるが、これは全く誤った捉え方だ。中国には、平和裏に成し遂げた英国からの香港返還や、抑制の効いた台湾との関係といった長い実績がある。

不当な疑念のせいで、不安定な時期にある北東アジアでは特に、政策立案者が安全保障上の重要な選択肢を見誤る可能性がある。肝心なのは、中国がどこに向かおうとしているのかを歴史から読み解くことだ。

何世紀もの間、中国は世界の経済大国だった。「国富論」の著者である英経済学者アダム・スミスは、1776年に「中国は欧州のどの国よりもはるかに豊かだ」と評している。

現在、中国は再び豊かになりたいと何よりも望んでいる。同国の商業政策は強引な面も見られるが、領土を拡大しているわけではない。中国は、第2次世界大戦での日本の例のように、現代社会においては物理的侵略が経済的成功を損なう可能性があることを理解している。

むしろ、中国は目的を達成するため、地域の平和と安定を必要としている。中国の韓国との利害関係は、米国とのそれよりもはるかに大きい。

韓国企業には、サムスン電子のように世界有数の半導体メーカーが含まれている。半導体は玩具から自動車まで非常に幅広い産業に関わっており、世界の経済成長のカギを握る。

中国は急速に世界の工場となったが、そうした半導体は大規模には生産されていない。その理由の1つとして、同国の知的財産権に対する取り締まりが手ぬるく、海外半導体メーカーが製造拠点開設に消極的であることが挙げられる。中国は、韓国や台湾から輸入された半導体に大いに依存しているのが現状だ。

半導体の製造施設には巨額の投資が必要であり、工場1カ所に60億ドル(約5661億円)以上かかる。これらは金の卵を産むニワトリであり、こうした産業基盤を破壊しかねない近隣国との核戦争、もしくは通常戦争を中国は絶対に望まないはずだ。中国の李保東・国連大使は今月初め、北朝鮮への制裁決議案が採択された後、「朝鮮半島の平和と安定を守るため、われわれは正式にコミットしている」と強調した。

この発言は米国政府にとって極めて重要な意味を持つ。米国は過去60年間、北朝鮮に対して悪い警官を演じてきた。在韓米軍兵士の数はいまだに2万8500人に上る。米国は中国に「仲裁役」と「用心棒」の役目を引き継がせるべく、可能な限り手を尽くすべきだ。

3年に及んだ朝鮮戦争は1953年に休戦協定が結ばれたが、平和条約の締結には至らなかった。

しかし、傷を治すためには、バンドエイドが必要があることを現代史は示している。第2次世界大戦後の日本の復興は、1951年にサンフランシスコ講和条約が結ばれるまで6年遅れた。ナチス・ドイツが降伏してから30年たった1975年にヘルシンキ合意がなされ、欧州における東西対立の緊張は和らぎ、最終的には冷戦の終結につながっていった。

60年たった今でも休戦状態にある朝鮮戦争がもたらした影響は甚大だ。内戦が終結した他国で見られるように、確立された平和を守るべく非武装地帯をパトロールする国連部隊は朝鮮半島には存在しない。その代わり、米国がこの60年間、費用のかかる軍事的負担を担って、「用心棒役」を日々務めてきたのだ。

このような負担は米国の国家予算を圧迫するのみならず、38度線の両側で米国への反感を生み出した。韓国軍の士官候補生を対象に2004年に行った調査では、北朝鮮を最大の脅威とみなすと答えた人よりも、米国を「国家最大の敵」だと考える人のほうが多い結果となった。

「正直者がばかを見る」とは言わないまでも、外国人の長期的駐留に対する民族主義的な反応の部類だと言えるかもしれない。たとえそれが、どれだけその国にとって有益なものであろうとしてもだ。

米国は韓国に、世界史を見渡しても前例がない規模でシェルターを提供してきたが、米国のこうした努力は、費用対効果という点から見れば限界点を迎えている。朝鮮半島の状況が改善する見込みもほとんど見られない。

今こそ、中国が自国の歴史にたがうことなく、朝鮮半島の仲裁役となる時だ。今年の7月27日は休戦協定60周年。米軍兵士の永久帰還を可能にする平和条約を締結して、この日を迎えよう。

(27日 ロイター)

*筆者は米サンディエゴ州立大学の歴史学教授。米国務省歴史諮問委員会の元メンバー。最新刊に「American Umpire(原題)」。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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