April 9, 2013 / 10:57 AM / 7 years ago

アングル:高額品から婦人衣料へ、広がり始めた国内消費

[東京 9日 ロイター] 株高による資産効果で高額品に顕著だった国内消費の動きが、ここに来て婦人服を中心とした衣料品にも広がり始めた。消費者の関心が価格からファッション性に移行し、着回しには適さないような派手な色柄物が売れる傾向にあるという。

4月9日、株高による資産効果で高額品に顕著だった国内消費の動きが、ここに来て婦人服を中心とした衣料品にも広がり始めた。写真は都内の百貨店で2011年10月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

婦人衣料は利益率も高く、百貨店や総合スーパー(GMS)など主要小売りにとって核となる分野だけに、足元の状況が続くようなら今期の業績見通しの押し上げ要因になる可能性がある。ただ、消費増税など数年にわたって見込まれる家計負担増や海外情勢の不透明さも懸念要因として大きく、広がりや持続性には慎重な見方も根強い。

<春物は明るい色・柄物が好調>

3月は衣料関連企業の売上高が軒並み好調に推移した。ファーストリテイリング(9983.T)はユニクロの既存店売上高が前年比23.1%、ユナイテッドアローズ(7606.T)は同12.7%、ポイント(2685.T)は同11.1%増加した。気象庁によると、3月の平均気温は、全国の主要154地点のうち35地点で観測史上最も高く、特に関東甲信越では平均気温を2.7度上回った。異例の速さで桜が開花するなど、気候が最大の要因ながらも「株価がこれだけ高くなり、景気が良くなるのではないかという希望が出ている。そういう意味で、アベノミクスの効果が出てきている」(オンワードホールディングス(8016.T)の吉沢正明専務)と、株高による消費者心理改善が、高額品だけでなく、衣料品の売り上げも押し上げているとの見方は強い。

こうした見方を裏付けるのは、今春のファッショントレンドだという。パルコ(8251.T)の泉水隆・常務執行役(店舗統括担当)は「消費に明るいムードが出ており、鮮やかな色や柄物など、全体的に明るい方向にファッショントレンドが変化してきている」と、足元の消費について語る。「これまで、価格に敏感だった消費者が、価格よりもデザインやモードに関心が移ってきている」と、その背景を分析している。

百貨店のそごう・西武を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングス(3382.T)の村田紀敏社長も「今春は柄物や明るいもの、派手なものが売れる傾向にある。毎日のようには着れない商材が飛ぶように売れるのは、先行きに対する明るさが出てきたのではないか」と話す。景気の停滞時には、消費者が着回しを重視するため、モノトーンやベーシックなデザインが売れる半面、景気が上向きの時には、明るい色が流行する傾向にあり、今春の流行は、景気に対する明るい予兆の一つだという見方だ。

<所得増が家計負担増を乗り越えられるか>

ただ、一方では「株高であっても、それですぐに給与が上がるわけではなく、一般の人は身近に感じていない。一部富裕層には好影響だが、一般の消費マインド全般には及んでいない」(鈴木弘治・高島屋(8233.T)社長)との声もあり、慎重な消費行動が大きくステージを変えたと判断するのは時期尚早だ。

輸入物価上昇、原燃料価格の上昇、それに伴う食品や電気・ガス料金、ブランド品の値上げなど、円安の負の側面としての値上げ品目も広範囲になってきた。2014年4月、15年10月と2段階の消費増税も控えているほか、社会保険料引き上げなど、家計の負担は増加することが想定される。

こうした負担増を上回るだけの資産効果や所得増がなければ、一段の消費拡大は望みにくい。クレディ・スイス証券経済調査部の白川浩道氏は「消費決定により重要なのは現在の実質可処分所得。円安による食料・エネルギーなど必需品のインフレに賃金上昇が追いつかなければ、実質可処分所得が減少し、消費も結局は落ち込んでしまう可能性が高い」と指摘する。

第一生命経済研究所によると、13年夏のボーナスは前年比0.7%増と10年夏以来6期ぶりに増加に転じる見通し。「今冬のボーナスでは、年度前半の企業収益回復を反映する形で増加率が高まることが予想され、賃金にも徐々に回復感が出てくると思われる」と、同研究所の新家義貴・首席エコノミストは言う。こうした動きが、家計負担増を上回ることができるか、企業業績とともに、給与所得環境に変化が生じるかが今後のポイントになる。

J.フロント リテイリング(3086.T)の山本良一社長は、今後の動向について、婦人衣料のなかでもボリュームゾーンである50―60代の女性への広がりが重要となるほか「最終的には、紳士服に力強さが出てくれば消費は本物」と指摘。景気回復時は一番遅く回復し、景気悪化時は一番早く落ち始めると言われる紳士服・雑貨が動き出すかどうかに注目しているという。

(ロイターニュース 清水律子;編集 久保信博)

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