April 18, 2013 / 1:07 AM / 7 years ago

ブログ:「バズーカ」、楽器と兵器と金融政策

写真は2006年8月、静岡県御殿場市で行われた陸上自衛隊の富士総合火力演習(2013年 ロイター/Kiyoshi Ota)

伊賀 大記

黒田日銀が打ち出した金融緩和策は一部の市場関係者から「バズーカ砲」と呼ばれている。もともとノワイエ仏中銀総裁がドラギECB総裁のLTRO(長期資金供給オペ)を差して述べた言葉だが、国債の7割を買ってしまうという衝撃はそれに匹敵、もしくは上回る驚きをもって受け止められた。

「バズーカ砲」は対戦車ロケットランチャーのことだが、もともと「バズーカ」は楽器だった。1930年代に活躍した米国のコメディアン、ボブ・バーンズの手作りの管楽器がオリジナルだ。トロンボーンのように金属管を組み合わせた構造を持ち、その音色は「ぶおおおお」と低く奇妙で「手負いのヘラジカ」(wounded moose)の鳴き声のようだとされる。名前は「windy fellow(大口叩き)」を意味するスラング「バズー」からとられた。

「その図抜けて不真面目な設計コンセプトと外観、下品な音色、不完全な演奏性、そのくせ金管楽器の原理で動作する本物さ加減、のどれをとっても強烈な存在感を主張しており、金管楽器職人たちの聖域に水道工事的なセンスで踏み込んだ他に類を見ない実例」(www.jazzboilers.com/noon2.html)との評価もある。

それが何故、兵器の名前になったかというと、1942年に米軍によって開発された新兵器の「M1型対戦車ロケットランチャー」が出た時に、その形状からまるで楽器のバズーカのようだとされたのがきっかけだという。

黒田日銀が放った「バズーカ砲」の威力はすさまじく、7円の円安、1400円の株高をもたらしたが、円債市場はまだ混乱の中にあり、「爆煙」のなかで落ち着きどころを見いだせていない。日銀も異例の長期・大量オペを矢継ぎ早に実施するなど市場の安定化に苦心している。乱暴に言ってしまえば、リフレ政策とは大胆な金融緩和で市場や企業、消費者の将来に向けた「期待」を揺り動かそうというものだが、凝り固まっていたデフレマインドが今回の衝撃でインフレ方向に動き出すかはまだわからない。

楽器の「バズーカ」は音を出すのが難しく音程も不安定だが、その強烈な存在感でバーンズを一躍全米の有名人に押し上げた。兵器の「バズーカ砲」は高い機動力と破壊力で、それまで歩兵には為す術がなかった対戦車の戦い方を一変させた。ただ、爆風で自らも傷つく可能性があるため取り扱いには細心の注意が必要らしい。

(東京 18日 ロイター)

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