April 19, 2013 / 9:58 AM / 7 years ago

焦点:金相場が鳴らす「警報」、世界経済に危機再来か

[ニューヨーク 19日 ロイター] ここ最近の金価格の急落は、世界経済への警報を鳴らしているのかもしれない。複数の著名投資家は、金や他の金属、原油など商品市況が幅広く下げていることは、米連邦準備理事会(FRB)など各国中銀による金融政策の失敗を反映していると指摘する。

4月19日、ここ最近の金価格の急落は、世界経済への警報を鳴らしているのかもしれない。写真は18日、都内で撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

金価格は15日に過去最大の下げ幅を記録。一部では、金相場の動きは、1998年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)危機や、2008年の金融危機に匹敵する「ショック」を経済や市場にもたらす引き金になるとの声も出ている。LTCM危機も金融危機も、その前には金価格の急落があった。

米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のエラリアン共同最高経営責任者(CEO)は、金や商品の下落は「世界の経済成長についての懸念を伝えている」と指摘。「商品市況は少し前から成長の懸念に信号を発しており、その音はさらに大きくなった」と語っている。

今週に入って金価格が急落した後、18日の米債券市場ではインフレ指数連動債の入札も全般的にさえない結果となった。物価連動債は将来のインフレに備える投資という側面があり、一部では、市場関係者のインフレ懸念は確実に弱まったとの見方が示された。

先の2つの危機後の金価格の上昇は、金融緩和による大量の資金供給を引き金とする投機的な取引が一因となっていた。大規模な信用創造は世界経済の「再インフレ」を後押しすると信じられてきたが、最近の金や原油、銅の下落は、それがまだ起きていないことを示している。

安全資産とされる米国債が買われ、利回りが4カ月ぶり低水準に下がっていることも、世界経済が活況を取り戻すのはまだ先であることを示すシグナルだ。PIMCOは、「トータル・リターン・ファンド」(PMBIX.O)(運用資産2890億ドル)で、3月に米国債・米国債関連証券への投資比率を前月の28%から33%に引き上げた。

また、少数派ではあるものの、一部では米国が再び景気後退(リセッション)に陥る可能性を指摘する声も聞かれる。TCWグループの首席グローバルストラテジスト、コマル・スリ・クマール氏は「(金価格下落は)雑音ではない。そこには根本的な因果関係がある」と語る。

国際通貨基金(IMF)は16日、最新の世界経済見通しを公表し、2013年の世界経済の成長率予想を前回1月時点の3.5%から3.3%に引き下げた。これは2012年の3.2%とほとんど変わらない。

成長減速への懸念は、FRB内でも共振している。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は17日、インフレ率が継続的に低下した場合、FRBが掲げる2%のインフレ目標を守るために、資産買い入れペースの加速を支持すると述べた。

前出のスリ・クマール氏は、2013年下期に米経済の成長が大きく沈み込む「予兆がある」とし、2014年までに二番底に陥る可能性さえ警告している。

これらはすべて、FRBや日銀など世界の主要中銀によって世界経済に供給された流動性の効果に対する疑問を投げかけるものだ。もしFRBによる国債やモーゲージ担保証券(MBS)の買い入れなどが思うような効果をあげられなかった場合、よりリスクの高い資産に投資する投資家には大きな懸念が持ち上がるだろう。

<輝きを失う金>

金価格の下落は、物価上昇のペースが鈍化していることを示す指標が相次いだのとほぼ同時に起きている。米労働省が16日発表した3月の米消費者物価指数(CPI)統計では、総合指数は前年3月比で1.5%の上昇にとどまり、昨年7月以来の小幅な伸びとなった。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは先に、金価格は1オンス=1200ドルまで下がる可能性があるとの予想。その理由として「中銀の金売却の可能性に関するニュースとディスインフレへの懸念の組み合わせ」を挙げた。

一方で、銅先物価格は今年に入って12%下落し、ロンドン金属取引所(LME)では2011年10月以来初めて1トン当たり7000ドルを下回った。

しかし、一部には、金と銅は過去10年の大幅価格上昇の調整途中にあるだけで、足元の相場下落もさほど懸念すべきではないとの声もある。

金価格は12年連続で上昇し、過去3年では52%も高騰した。これは1990年代後半のITバブルを彷彿とさせる。

ノーザントラスト・グローバル・インベストメンツ(シカゴ)の首席投資責任者(CIO)、ジム・マクドナルド氏は「金は足元の水準でも魅力的ではない。強気相場の勝算はもうない」と指摘。同氏は先月に顧客に対し、金へのアセットアロケーションを止めるよう語っていた。

インフレ見通しが後退するのに伴い、投資家は金保有を減らしている。

トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーによると、4月17日終了週は、貴金属ファンドからの資金流出が過去最高の27億ドルとなった。世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールド・シェアーズ(GLD.P)の信託金残高は、昨年末時点で約1350トンだったが、直近では1154トンまで減少している。

金価格は2年来の安値を付けた後に買い戻しの動きも出ているが、投資家は再び急落する可能性に神経をとがらせている。

シカゴの先物取引会社RJオブライエン&アソシエーツのフランク・チョリー・ジュニア氏は「この手の下落がまたあれば、今度は株式市場も追随するだろう。そうなった時に本当の問題に直面する」と語っている。

(原文:Ryan Vlastelica and Richard Leong、翻訳:宮井伸明、編集:梅川崇)

*見出しを修正して再送します。

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