May 13, 2013 / 5:52 AM / 6 years ago

コラム:ドル105円・日経1万8000円も視野に

田巻 一彦

5月13日、円安/株高がこれまでの予想よりも速いテンポで進展する可能性があり、1ドル=105円や日経平均1万8000円も視野に入ってきた。写真は都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

[東京 13日 ロイター] ドル/円(JPY=>が13日の市場で一時、102円台に上昇した。前週末の7カ国財務相・中銀総裁会議(G7)で円安批判がなく、米経済の順調な回復で米長期金利が上昇し、日米金利差が拡大しており、マクロ的に円安を押しとどめる目立った要因が姿を消した。

このため円安/株高がこれまでの予想よりも速いテンポで進展する可能性があり、1ドル=105円や日経平均.N2251万8000円も視野に入ってきた。長期金利も新たな均衡点を模索することになるだろう。

<意識されたG7の円安容認>

13日の午前の東京市場で、ドル/円は一時、102.15円まで上昇。日経平均も1万4800円台まで水準を切り上げている。円安に弾みが付いてきた要因として、1)G7で明確な円安批判がなく、これまでの円安視点が容認された、2)米景気回復の鮮明化と米長期金利の上昇──が注目されている。

デフレ脱却を目指した「黒田緩和」の実施について、G7内で明確に批判した国がなかったことで、市場では今後も円安地合いの相場環境は容認されるとの見方が急速に広がっている。

市場では、急速な円安は米欧輸出産業の競争力低下に結びつき、G7で何らかのけん制的な発言が出る可能性について、かなり神経質に見守るムードがあった。しかし、議長国・英国のオズボーン財務相は「G7は財政・金融政策は為替操作ではなく、国内問題を目的とすることを確認した。 われわれは為替レートを目標としない。今年のG7声明は成功だった。順守されている」と表明。

日本批判を表明する可能性があったショイブレ独財務相も「G7会議で為替相場の動向に関し、日本と集中した討議を行った。既に明確化しているコンセンサスがあることを日本側に伝えた」と述べるにとどまった。

<拡大する日米金利差も円安材料>

また、4月米雇用統計の発表後、米景気回復の基調が鮮明になっていることを示す経済データ発表が続き、1.6%台で推移する時間帯が長かった米長期金利は、10日に1.8999%で取引を終えた。10年国債利回りの日米金利差は拡大する方向に動いており、ドル高方向の材料として意識されている。

このように足元の内外情勢をみると、円安の進展を止めるマクロ的な要因が影を潜め、一方向に進みそうな環境が整いつつある。外為市場では、103円半ばと105円前半がチャート上のポイントして意識されているようだ。103円台のチャートポイントをブレークすると、かなり短期間に105円を目指す展開になりやすいと予想する。

<円安進めば株高継続という"暗黙の合意">

株式市場でも、株価収益率(PER)が上がってきている一部銘柄については、かなり割高になってきたとの指摘があるようだが、日米欧の超金融緩和やその他諸国の利下げによって、世界に供給されている流動性は、かつてない規模に膨れ上がっており、「流動性相場」の声に適正株価を指摘する声はかき消されがちだ。

特に東京市場では、円安を起点にした金融相場という構図が多くの市場関係者に意識されており、円安が進めば株高が自動的に進展するとの"暗黙の合意"が形成されていると指摘したい。この結果、100円の壁をぶち破った円安基調が新しいフェーズに入ったことで、日本株上昇の展開も新段階に突入したと言えるのではないか。市場の一部には、日経平均.N225が1万8000円まで上昇しても不思議ではないという観測が出てきている。

<死角は2つ、海外経済のブラックスワンと急激な長期金利上昇>

では、円安/株高の進展に死角はないのか──。私は、2つのリスクがあると考える。1つは欧州もしくは中国における予想外のイベント発生によるリスクオフ心理の台頭だ。マイナス成長が継続するユーロ圏と生産関連の調整が長引きつつある中国では、今は予想できないブラックスワンが潜んでいる可能性がある。

もう1つは、日本の長期金利上昇が急テンポで進むシナリオだ。13日の円債市場では、日銀による国債買い入れオペの結果発表後に国債先物が売られ、10年最長期国債利回りも、一時0.800%まで上昇した。円安と株高が長期金利の上昇をもたらすのは自然だが、その上がり方が急過ぎると、株高の流れに水を差すリスクも出てくる。

いずれにしても、「黒田緩和」を含めた世界的な金融緩和を背景にした流動性の供給は、過去の経験では推し量れないような市場のうねりを生じさせる大きなインパクトを秘めている。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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