December 19, 2011 / 4:27 AM / 8 years ago

金総書記死亡で地政学リスク高まる、フランス格下げも警戒

[東京 19日 ロイター] 北朝鮮の金正日総書記の死亡やフランス格下げへの警戒感で、週明けの東京市場はリスク回避ムードが強い。アジアの地政学的リスクが高まっているほか、フランスは1段階の格下げでも見通しが「ネガティブ」であれば不透明感が払しょくされず、2段階引き下げならネガティブ・サプライズになるとの見方が出ている。

 12月19日、北朝鮮の金正日総書記の死亡やフランス格下げへの警戒感で、週明けの東京市場はリスク回避ムードが強まっている。平壌で9月撮影。KCNA配信(2011年 ロイター)

クリスマスムードが強くなってきており、売りのボリュームは大きくないが、買いは鈍く、日本株は軟調、円債先物は堅調だ。

<アジアの地政学リスク高まる>

欧州の格下げ懸念で広がっていたリスクオフムードが、北朝鮮の金正日総書記が死去したと報じられたことで、さらに強まった。

韓国などアジア株は、今後の北朝鮮の混乱が予想される中で下げ幅を拡大、韓国の総合株価指数.KS11は午後零時55分過ぎ時点で4%近い下落となっている。

新韓フィナンシャルの金融アナリスト、CHOI CHANG-HO氏は韓国経済と株式市場全般に間違いなく大きな影響を及ぼすだろうとした上で、「ただ、ニュースが出たばかりで、どの程度の影響があるか判断するのは難しい。注視しなければならない最も重要な要素は、海外投資家がどの程度資金を引き揚げるかだ。これまでのところ、株式市場で大量の空売りは見られていない」と述べている。

日経平均も地政学的リスクの高まりを嫌気してさらに軟化、円債先物も若干ながら上げ幅を拡大している。「長期にわたり北朝鮮のトップであった金正日総書記の死去に伴い、しばらくは北朝鮮の内政面や朝鮮半島を中心とした極東の安全保障などに一定の関心が集まらざるを得ない。地政学的にみると、一定の不確実性が少なくとも短期的には高まったと言える」(みずほ証券のシニアエコノミストの飯塚尚己氏)という。

一方、外為市場では、主要通貨などで「有事のドル買い」がじわりと拡大している。ドル/円は78円前半まで上昇した。野村証券の金融市場調査部チーフFXストラテジスト、池田雄之輔氏は「韓国、米国では来年に大統領選挙も控えており、朝鮮半島情勢の不安定化に対しては、より強硬な姿勢で臨むとみられる。これは極東アジアのみならず、国際的に地政学的リスクを高め、ドル買いを誘発するだろう。さらに、年末で流動性が細る為替市場では相場の値動きが荒っぽくなりやすい」と話している。

<「閑散に売りなし」とはいかず>

ベルギーが2段階格下げされたこともあって、市場ではフランスも2段階引き下げられることへの警戒感が強まっている。ムーディーズは16日、ベルギーの自国・外貨建て国債格付けを従来の「Aa1」から「Aa3」に2段階引き下げるとともに、見通しを「ネガティブ」とした。またフィッチは16日、フランスの「トリプルA」格付けは確認したものの、格付け見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」に変更した。

市場が想定しているのは、現時点でフランスの1段階格下げであり、フランスが2段階引き下げられれば「大きなネガティブ・サプライズ」(外資系証券)となる。ただ1段階引き下げでも、「見通しがネガティブとなれば警戒感が継続しそうだ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏)とされ、安心はできない。欧州債務問題の不透明感は依然濃いままであり、仏金融機関などへの市場の視線は厳しい。

フランスが格下げされれば欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の資金力低下懸念が強まる。イタリアでは来年2月から4月にかけて900億ユーロの国債が償還を迎えるが、前倒しされたとはいえ欧州安定メカニズム(ESM)の発足は2012年7月であり、年前半はEFSFに頼らざるを得ないため、仏格下げの影響は1国にとどまらない。

クリスマス休暇に入る外国人投資家が多くなり、前場の東証1部売買代金は3315億円とさらに薄商いとなったが、「閑散に売りなし」とはいかず、日経平均.N225は8300円前半まで下落した。市場筋によると、小型株に欧州マネーのバスケット買い注文が入ったものの、輸出株や金融株に欧州マネーのバスケット売り注文があったとの観測が出ている。

年末に向けた欧米投資家の資金回収は継続しているとみられ、アジア株も軟調。中国の上海総合指数.SSEC、香港のハンセン指数.HSIが軒並み安となっている。「自己資本比率を上げるために、トレーディング部門やディーリング部門を閉鎖し、リスク資産を売却する動きが続いている」(準大手証券)という。

北朝鮮の金正日総書記の死亡で地政学的リスクが高まっていることから、アジアからの資金流出が加速することへの懸念が出ている。

また欧州中央銀行(ECB)が6月末に欧州の銀行4700行から収集したデータによると、欧州銀行の保有資本に対する不良債権比率が前年から上昇し、4分の1を超えていることが明らかになった。対応として増資ではなく融資抑制や資産売却を選択する金融機関が増えれば、景気を圧迫するとして警戒されている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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