[東京 22日 ロイター] 政府・民主党が「2013年10月に消費税率を8%に引き上げ、2015年4月に10%とする」案を軸に最終調整する環境が整ってきた。
年内の社会保障・税一体改革の素案取りまとめに向け、民主党税調は来週には「たたき台」を示し意見集約を進める方針。政府税調も「素案」(案)の策定作業に入った。政府・民主党そろって年内、同時決着を目指す。
<党内議論の対立際立たず、執行停止条項は明記の方向>
調整難航は必至とみられた党内議論は、対立が際立つことなく進んでいる。6月の成案とりまとめでは、消費税増税の際の「経済状況」をめぐって議論が沸騰し、「経済状況を好転させることを条件として消費税を含む税制抜本改革を実施する」との文言が盛り込まれた。素案とりまとめでも、具体的な経済指標の明記を求める議員の巻き返しで紛糾すると見込まれたが、一転、21日の党内議論では定量的な指標導入には反対論が相次いだ。
政府税調でも、具体的な指標明記を求める意見は少数で、21日に示された論点整理では「経済状況の好転」の判断は「総合的に判断する」とした。
政府・民主党とも、景気が急速に変動した場合には税率引き上げを停止する「執行停止条項」を関連法案に明記する方向性を打ち出しているが、法律の執行の事実上の凍結にもつながりかねない定量的な表現は回避される可能性が高そうだ。
変化の最大の理由は「行政改革こそ消費税上げの条件との認識が広がったため」(党税調幹部)という。実際、20日の議論でも、反対論の大勢は、経済状況より、国会議員の定数削減や公務員制度改革など行政改革とセットで進めるべきとの「条件付き反対論」に変わったという。素案に行政改革の推進を盛り込むことで、とりまとめに向けた意見集約を図る糸口を得たというわけだ。
<政府は2段階引き上げ案>
焦点の税率と引き上げ時期では、政府は「13年10月に8%、15年4月に10%」とする2段階引き上げ案を軸に据えている。今の衆議院議員の任期中は消費税を上げないとした民主党マニフェスト(政権公約)を満たし、政府が国際的に公約した15年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を半減させるとの目標を達成させる狭い道だという。
一方、民主党内でも、「これ以外の選択肢はないと多くの議員が認識している」(党税調幹部)という。藤井裕久税調会長は10%への引き上げ時期について「15年4月が目安」と明言。古本伸一郎・税調事務局長は段階論について「6%、7%、8%、9%と刻むことは多分あり得ない。刻み方は相当縛られる」と指摘。20日には「(党として)時期と率を決めることをダメだと言っているわけではないとわかり、私自身のなかで進歩した」とも述べている。透けて見えるのは、政府同様の2段階での税率引き上げの方向性だ。
<増税反対派の勉強会乱立、残る火種>
今週、連日開催された総会には約90人の議員が参加した。総会では意見集約の兆しがみえつつあるが、火種が完全に消えたわけではない。
増税反対論を展開する議員らは「消費増税を慎重に考える会」を立ち上げ、小沢一郎元代表を支持する議員グループは21日、勉強会「新しい政策研究会」の設立総会を開いた。同総会では小沢氏が「われわれの理想、打ち立てた旗を常に心の中に置いて毎日の仕事に携わらなければならない」と09年衆議院選挙のマニフェストへの回帰を訴えている。
党税調の「場外」で繰り広げられるこうした増税反対論の広がりに、税調幹部からは「ここで決められなければ、『決められない民主党』の大批判合唱になる」と懸念の声も漏れてきた。残された時間は約1週間。神経戦が続く。
(ロイターニュース 吉川 裕子;編集 石田仁志)