January 23, 2012 / 9:37 AM / 8 years ago

インタビュー:一体改革法案は政府の責任で提出を=与謝野氏

[東京 23日 ロイター] 与謝野馨・元社会保障・税一体改革担当相は23日、ロイターのインタビューに応じ、消費増税を含む社会保障・税一体改革が与野党間の事前協議が整わないまま政局化している事態への打開策について、法案提出前の事前協議にはこだわらず、政府がベストの案を法案の形で国会に提出し、国会審議を通じて協議を進めるべきだとの認識を示した。

1月23日、与謝野馨・元社会保障・税一体改革担当相は、消費増税を含む社会保障・税一体改革について、法案提出前の事前協議にはこだわらず、政府がベストの案を法案の形で国会に提出すべきだと述べた。昨年1月撮影(2012年 ロイター/Issei Kato)

法案が成立しない場合は、日本国債や長期金利への影響は必至だと警戒し、与野党とも国際的な経済財政金融情勢をみながら、ダイナミックな政治行動をとってもらいたいと注文を付けた。

法案成立を条件に、衆院議員の任期が3年を経過する9月以降の解散であれば、「野田佳彦首相が話し合いを進めてもマイナスではない」と、話し合い解散の妥当性にも言及した。

インタビューの概要は以下の通り。

──一体改革審議が事前協議の手続き論で前に進まない。どうすべきか。

「法案提出前の与野党協議には、自民・公明とものってこないと思う。従って、野田内閣は、自分の信じるところ、ベストだという案を、国会に法案という形で提出することだ。法案審議をしながら与野党協議をやったらよい。政府の責任で、法案を出すのが素直なやりかただ」

「ただ、法案化で注意すべきは、年金の抜本改革案にこだわるべきでない。それを主張すれば必ずどのような案なのか野党から問い詰められる。法案の内容は、現行の社会保障制度の改革と税制改正に絞り込んで、出したらよい」

──一体改革の素案では13年に国会に年金抜本改革法案を提出することを書きこんだ。

「それを自民・公明にのめというのでは最初から無理になる」

──民主党にとってはまたマニフェスト撤回との批判にならないか。

「民主党は自身が考える将来の姿を出すというのであれば、将来、出したらよい。今回の議論の対象にしてはいけない」

──与野党協議に応じない自民・公明のスタンスは妥当か。

「自民、公明もほぼ満足できる案を作ったと思っている。独りよがりの案ではない。審議の対象になり得る価値を持っていると自負している。税・社会保障一体改革なので、財務金融委員会、厚生労働委員会に法案を分けるのではなく、特別委員会を作り、一本の法律で、そこで集中的に審議をしたらよい」

「国会で審議することが大事だ。本来は政治休戦して与野党合意した案を手早く審議することが理想だが、政治状況はそうなっていない。法案を出して粛々と審議を進めたらよい。そこでマニフェストとの整合性は質せる」

──一体改革の法案が成立しなかった場合、想定される状況は。

「成立しないと、まず、政治機能が不全に陥っているという国際的評価を受け、日本国債の格付けや長期金利に影響を与えることは間違いない。国民が一番不安に思っている年金制度が続けられるのか、現行保険制度が続けられるのかという不安を駆り立てる側面もある。期待される税収が入ってこないとなると、財政状況は破綻寸前までいってしまうことになるだろう」

──通常国会でなんとしても成立を期す必要。

「与野党とも、国際的な経済財政金融情勢、日本の財政の現状を深く考えて、ダイナミックな政治行動をとってもらいたい」

──話し合い解散も選択肢になると考えるか。

「今年の9月になると選挙が終わって3年になる。戦後の衆議院議員の任期の平均は3年なので、9月に解散して総選挙が行われるというのはそう例外的な状況を作りだすわけではない。9月以降の解散であれば、通常の解散とあまり変わりないし、そういうことを条件に野田首相が話し合いを進めてもマイナスではない」

──消費税引き上げの経済環境について。昨年6月に一体改革成案をまとめた時期より、経済の先行き不透明感は強まっている。

「消費税を3%上げることは消費抑制効果がある。経済にとってマイナスであることは自明だ。一方、財政を放置したままにした時に起きるであろう金利上昇や金融危機など、上げないことのマイナスのほうがはるかに大きい。経済情勢を無視する考えはないが、現在のような経済状況であれば、(14年の8%への引き上げ)実施すべきだ」

──日本経済再生にむけて。景気回復の実現にむけて注意すべきは何か。

「経済を一気に盛り返す手品のような政策は探してもない。世界で一流と認められる地道な努力の果てに、日本経済の再生・力強さがよみがえるのであって、政治家が演説すれば経済が良くなるというものではない」

──財政・金融政策面で手立てはあるか。

「金融の緩和状態を続けることは現時点で大事なことだ。しかし、国債まで日銀が引き受けるという話が出てくれば、財政規律は無秩序になり、最後にはインフレになり、正直者がばかをみる、一般国民に多大な損害を与えることになる。決してとってはならない道だ」

──デフレ脱却のために、政府・日銀が共通の政策目標を掲げて実現に向かうアコードを求める声もある。

「金融がタイトだから経済が伸びないのではなく、金融は緩んでいるが投資先がない、すなわち日本に新規産業、新規事業が生まれていないというのが(停滞の)根本原因だ。この現状は直視すべきだ」

──米国の対イラン制裁に、日本はどう同調していくべきと考えるか。日米実務者協議はスタートしたが着地点が見えない。

「米国の主張にも理屈があって、中近東の力の均衡が著しく崩れることなどを心配していることは間違いない。日本が米国の気持ちは十分理解できているとしても、10%近い原油をイランから輸入している状況にたてば、原油を買いませんという経済制裁は日本経済そのものの不安定性を増すことになる。これは米国にとってもマイナス効果だ。米国と日本の高度な政治的話し合いに委ねるべきだと思うが、日本のエネルギー事情を十分米国に理解してもらう必要がある。いろいろな要素を考慮に入れて結論を出さなければならない」

(ロイターニュース 吉川裕子)

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