January 31, 2012 / 12:03 AM / 8 years ago

コラム:ツイッターの「検閲」、実際は究極の抗議シンボル

Paul Smalera

1月28日、ツイッターが特定の国で投稿を非公開にするシステムを導入したと発表したのを受け、検閲を可能にするとして反発の声が上がっている。しかし実際は、当該国が表現の自由を制限していることを、その国のオンラインユーザーに知らせるシグナルにもなる。写真はツイッターのコストロCEO。昨年2月撮影(2012年 ロイター)

短文投稿サイトの米ツイッターは26日、当局から投稿の削除要請があった場合、その国や地域でのみ非公開にするシステムの導入を発表。今回の発表を受け、インターネット上では、検閲を可能にするとして反発の声が上がっており、コメンテーターや活動家をはじめネット利用者は、「とても悪い知らせだ」などと怒りのコメントを寄せている。

その例として、米紙ニューヨーク・タイムズによると、ビアンカ・ジャガーさんは、ツイッターのボイコットを呼び掛ける方法をツイッター上で質問。その後、反対派は28日を「ツイッター・ブラックアウト」に設定し、同社への抗議と検閲を受ける可能性のあるユーザーとの連帯を示す意味を込め、一日中投稿しないことを決めた。また、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は同社に抗議文を送付した。

大事なことは、今の時代が、ツイッターのようにインターネットが成長する時代だということ。透明性を確保することなどを掲げるツイッターの方針は、これまでのテクノロジー企業の方針としては、最も思慮深く、誠実で、現実的だった。共感を得られていない今回の新しい検閲方針もそれを裏付けている。

その理由を理解するために、同社の方針をひも解きたい。まず第一に、ツイッターは投稿を削除しないことを強く示している。検閲と明らかな違いがないように聞こえるかもしれないが、実際は違いが明白だ。新方針とこれまでの方針を合わせて考えると、ツイッターが投稿を完全に削除するのは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づいた削除要請があった場合に限る。

DMCAにも欠陥があるかもしれないが、DMCAはツイッターが今回発表したプロセスとは異なる検閲の形と言える。DMCAが著作権法違反のコンテンツの削除を要請するのに対し、ツイッターの検閲方針はそのような場合の削除ではなく、検閲を受けた国で当該コンテンツを非表示にするだけだ。

確かに、今回の方針は検閲の一種かもしれないが、疑わしい基準をもとに行っている米国映画協会(MPAA)などの検閲に比べると、ツイッターの方針は理にかなっている。また、ツイッターはMPAAのようにコンテンツを永久に破壊したり、先取り検閲したりはしないとしている。

さらに、ツイッターは削除要請について、検閲する国に対し「公認の機関によって出され、有効かつ適切に調べられたものであるよう」求め、その後要請の対応を決めると規定。また、検閲を受けたコンテンツのユーザーには、その事実を理由とともに通知した上で、要請に対する異議申し立ての方法も教えるとしている。ツイッターは透明性を高めるために、検閲監視サイトのチリング・エフェクツと協力しているが、そういった行動についても同サイトに記録されるという。最終的に当局の要請が認められれば、当該投稿は検閲があった国の他のユーザーに、非表示になったことを知らせるグレーボックスに置き換えられる。

不名誉なグレーボックスに映るかもしれないが、そのユーザーやツイッターにとってはそうではない。当該国が表現の自由を制限していることを、その国のオンラインユーザーに知らせるシグナルになるからだ。エジプトの民主化デモは強力で、ツイッターが原動力になった面があるが、私には検閲された投稿が究極の抗議シンボルになる世界が容易に想像できる。抗議デモ参加者のコンテンツが不幸にも奪われたとしても、それが他の参加者に対し、最も恐れていたことが正しかったと伝えるメッセージとなり、参加者は戦いをやめようとはしないだろう。

例えば、シリア政府の要請に応じて、同国内での検閲が認められたとしても、米国などその他の国では反体制派の投稿のフォローを止めることはできない。これが第二の重要なポイントだ。ツイッターは投稿が検閲の対象になったとしても、そのユーザーが投稿できないようにしたり、アカウントを削除しようとしている訳ではない。シリアのような国は、コミュニケーション網を遮断したり、ツイッターへのアクセスを禁止するかもしれないが、そういった場合を除いて、今回の同社の方針の下では、投稿が外の世界に流れるのを防ぐことはできない。実際、表現の自由が危険にさらされている国において、ツイッターはオンライン状態を保つことを強調している。

政府がアクセスを遮断する「いたちごっこ」を始めた場合、当局と反体制派が最も平等に戦える場所はオンライン上だということを覚えておいてほしい。ツイッター遮断の回避策はすでに存在しており、プロキシサーバーを用いてユーザーのIDや出身国を偽装する方法などがある。

最後に、評判は重要である。ツイッターはこれまで、その優れた活動によってテクノロジー社会や国際社会と友好的な関係を築いてきた。同社は米国務省の要請に応じて2009年、デモの発生したイランからの投稿を止めないためにサーバーのアップグレードを延期した会社だ。今回の発表においても、同社のこれまでの方針や態度に反するような項目は何もない。むしろ、特定の国の法律に従おうとする誠実な試みのように見え、自由が制限されている国では、その国民に法の力をさらすことにもつながる。

世界規模での検閲を要請する国がない限り、投稿はツイッターサーバーのどこかに存在し続けることになり、誰かがそれを見ることが可能だ。特定の国での検閲に関する規則を明確に規定することによって、ツイッターは投稿を削除できる政府や会社、個人はいないことを黙示的に示した。またツイッターは、検閲があった場合、その国に説明責任を課し、自らにも説明責任を課した。

ツイッターが、反対派が主張するように悪であれば、「ツイッター・ブラックアウト」が引き起こした結果が見えるはずではないだろうか。もし、われわれが政府より企業に権力がある世界に生きていれば、私は毎日、新しいメディア企業からそのレベルの透明性を享受することになるだろう。

[28日 ロイター]

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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