February 4, 2012 / 7:07 AM / 8 years ago

焦点:上場申請のフェイスブック、アジア挑戦は「いばらの道」

[2日 ロイター] 米フェイスブックが1日、新規株式公開(IPO)を申請した。登録者数8億4500万人の同社は、20億人のインターネットユーザーすべてをつなげる野望を掲げているが、未登録のネットユーザーのうち約60%はアクセスが遮断されている中国などハードルの高いアジアにおり、その挑戦はいばらの道だ。

2月2日、新規株式公開を申請した米フェイスブックだが、世界のネットユーザーすべてをつなげるという野望に向けたアジアでの挑戦はいばらの道になるとみられている。写真はザッカーバーグCEO。サンフランシスコで昨年9月撮影(2012年 ロイター/Robert Galbraith)

7億人以上のネットユーザーが存在するアジアでは、中国のアクセス遮断のほか、インドでの法廷闘争、ライバル企業との競争がマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)率いるフェイスブックの前に立ちはだかる。

「ユーザーの規模とその参加レベルが、われわれの成長にとって重要だ」。フェイスブックは米証券取引委員会(SEC)に提出した書類でこう強調。さらに世界のネットユーザーが20億人に上るというデータを示し、「そのすべてをつなげたい」と意欲的な目標を掲げた。

アジア以外の地域では、ネットの普及が進んでいなかったり、フェイスブックのアカウントを欲しい人はすでに持っていることから、同社の成長速度は落ちている。

米国や英国などの市場では、人口の半分以上がアカウントを取得しており、統計サイト「ソーシャルベーカーズ」によると、ユーザー数の増加は過去半年で2%以下にとどまっている。

一方、インドではこの半年で現在登録しているインド人ユーザーの3分の1を獲得。インドは世界第2のフェイスブックユーザー数を抱えているにもかかわらず、登録ユーザーが人口の4%に満たないことなどから、今後も成長を見込める国に挙げられている。

交流サイト(SNS)はインドにとって新しいものではなく、グーグルが運営するオーカットが数年にわたって独占を続けていた。しかし、2010年半ばから低迷が始まり、グーグルの推計によると、この1年で1日のユニークユーザーが300万人から100万人以下に減少。その裏で、フェイスブックは600万人から1300万人にユーザーを増やした。

オーカットが低迷した原因の一つは、ユーザーの参加継続を促す新機能を追加できなかったことにあると、インドのブロガーでコラムニストのアミト・アガルワル氏は分析。また、世代の移り変わりも要因の一つだとみており、同氏は「大転換だ」と表現した。

アガルワル氏によると、オーカットは主に10代や学生をターゲットにしていた。しかし、インド都市部の集会場などでは現在、父親や母親の世代からフェイスブックの写真にタグ付けを頼む声が聞こえてくるという。

インド人ユーザーが積極的にフェイスブックに参加していることも特徴の一つだ。ネットワーク機器のシスコシステムズが14カ国を対象に行った調査では、1日1回以上フェイスブックをチェックしているインド人ユーザーは92%で、調査対象の国の中で1位だった。

<ライバル企業との競争>

ただ、インドでは障害もある。同国の裁判所が宗教を冒涜(ぼうとく)するような情報の削除を命令したことを受け、フェイスブックをはじめ、グーグル、ヤフーなどが命令の破棄を求めて争っている。

この争いは最高裁までもつれる可能性が高いとの見方もあり、もし削除命令の決定が支持されれば、フェイスブックなどは投稿を一つ一つ監視する義務を負うことになると、企業側の関係筋は語る。

前述したようにインドのフェイスブックユーザーは人口の4%で、ネット利用が今後も増えるとすれば、同29%のフィリピン、27%のタイに比べて成長の余地が大きい。

ハイテク調査会社ガートナーのアナリスト、アシシュ・ライナ氏は、インドの人口の約8割がインターネットの知識をまだ十分に持っていないとし、「この先5年」はフェイスブックの成長を抑えるものはないと述べる。

その後どうなるかは不透明だが、インドでの成長の鍵はインドネシアの現状から読み取れるかもしれない。インドネシアのフェイスブックユーザーは、同国人口の4分の1、ネットユーザーの約3分の1ながら、最近までインドを上回っていた。

しかし、インドネシア国内には、フェイスブックが同様のペースで拡大を続けたければ、もっと積極的な策が必要だとの声もある。SNSのストラテジスト、エンダ・ナスティオン氏は、その背景にはライバル企業の進出があると指摘。セミオキャスト社の調べによると、ツイッターはインドネシアで世界5番目のユーザー数を抱えている。

また、ある統計によると、インドネシアではフェイスブックユーザーが4000万人以上いるとされるが、これは同国のネットユーザー数を超えている。こうした矛盾はネットユーザーの定義や携帯端末でのネット利用の拡大に起因しているが、このことを踏まえると、同国でのさらなる成長は見込みづらいと言える。

ナスティオン氏は、グーグルが最近、ネット利用を促進させるため、地元企業のウェブサイト開設などを支援する取り組みを始めたことにも言及。フェイスブックが事態を打開するためには、自らのサービスの実用性をもっと意識し、利用増につながるインフラ整備に貢献する必要があると指摘した。

IPO申請書類でフェイスブックは、他にも成長が見込める国として、この1年でインドを上回るペースでユーザーが急増しているブラジルや、登録者数がネットユーザーの15%に達していないロシア、日本、韓国を挙げた。

アジアではフェイスブックにとって「達成済み」の国はなく、韓国や日本のネットユーザーは膨大だが、それぞれ強力なライバルSNSが存在する。韓国では、2600万人が登録するサイワールドに対しフェイスブックは1200万人。日本では、2300万人のミクシィに対しフェイスブックは700万人となっている。

<最大のチャレンジ>

一方、人口が13億人を超える中国は、フェイスブックにとって最大のチャンスであると同時に、最大のチャレンジでもある。中国ではアクセスが遮断されているため、5億人近いネットユーザーがいながら、フェイスブックユーザーはその0.1%。

同社はIPO申請書類で、「われわれと中国政府が受け入れ可能なコンテンツや情報を扱うための策が見つかるかどうかは分からない」と中国について触れた。

フェイスブックが中国進出をあきらめるとは考えにくく、同社も「専門のポリシーチームが、法や規制に関する進展を調査しており、世界中の規制機関などと連携して、われわれの考えが伝わるよう努力している」と述べている。

「フェイスブック 若き天才の野望」の著者、デビッド・カークパトリック氏は、中国に進出するためには、ユーザーの投稿などの管理を政府にある程度認めるなどの妥協が必要となってくると分析。

また、カークパトリック氏は「本当の意味でグローバルなインターネット企業を目指すのであれば、ザッカーバーグ氏は中国が欠かせないと認識していると思う。彼はそのためには何でもやるだろう」と語った。

オプションとして、既存企業との提携やフランスが拠点のSNS、ビアデオのような企業を買収する策も考えられると指摘するのは、ニュースサイトのネクストウェブのアジアエディター、ジョン・ラッセル氏。

ビアデオは2007年に天際を買収し、中国へ進出。現在ではグループ最大の市場に成長し、戦略の中心となっている。ラッセル氏は「フェイスブックもこうした手法を採用するとうわさされている」と明かした。

実際、天際などの成長は、中国人ユーザーがこうしたサービスを望んでいることを示しており、中国版簡易ブログ「新浪微博」や「騰訊微博」はそれぞれ2億5000万人以上のユーザー数を誇る。

中国ではフェイスブックに似たサービスはないものの、ユーザーがSNSに慣れていることから、フェイスブックが解禁されれば受け入れられるとみられている。

北京を拠点とする調査会社、アナリシス・インターナショナルのアナリスト、Huang Meng氏は「よりグローバルな考えを持ち、欧米など外国とつながることに関心がある中国人ユーザーは、(フェイスブックに)こぞって登録するだろう」と語った。

(ロイター日本語ニュース 執筆:Jeremy Wagstaff記者、翻訳:野村宏之、編集:橋本俊樹)

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