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欧米金利低いままでの円安進行、日銀の「後手」印象の変化も
2012年2月23日 / 05:18 / 6年後

欧米金利低いままでの円安進行、日銀の「後手」印象の変化も

[東京 23日 ロイター] 欧米金利が低く推移しているにもかかわらず、円安が進んでいる。これまで金融緩和に後手を踏んでいたイメージが強かった日銀への市場の見方が変わってきているほか、米景気が改善するなかで米金利上昇の想定時期も近くなるとの見方から、将来の日米金利差拡大が意識され始めているためだ。

2月23日、欧米金利が低く推移しているにもかかわらず、円安が進んでいる。米景気が改善するなかで米金利上昇の想定時期も近くなるとの見方から、将来の日米金利差拡大が意識され始めているためだ。写真は2010年撮影(2012年 ロイター/Issei Kato)

欧州経済は厳しいが、ギリシャ第2次支援の合意でユーロ円も上昇している。円安期待を背景に日本株は過熱感がありながらも底堅い。

<先行きの日米金利差拡大を予想>

「虫眼鏡」でみれば、日米金利差は若干ながら拡大している。ドル/円相場ともっとも関連性が高いと言われてる2年債金利は0.27─0.28%から0.3%程度まで上昇。一方、日本の2年債金利は0.125%程度から0.10%程度まで低下した。円安要因ではあるが、ごくわずかな動きであり、足元で急速に進む円安の動きを説明するには不十分との見方も多い。実際、前日の海外市場では米2年債金利は若干下落しながら、ドル円は7カ月ぶりの高値となる80.40円を付けた。

マーケット参加者がみているのは、足元よりももう少し先の変化だ。生産や消費など米経済は順調に回復。雇用や住宅などの水準は依然低いが、モメンタムとしては改善方向にある。1月の米中古住宅販売戸数は1年半ぶりの高水準となる一方、在庫は約7年ぶりの低水準に減少した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は2014年終盤まで異例な超低金利を続けると宣言したが、「委員の見方はバラバラ。景気が良くなれば金利上昇時期は近くなる」(国内投信)とマーケットの「時間軸」は揺れ始めてきた。足元よりも将来の日米金利差拡大を今の円安は織り込み始めている。

大和証券投資情報部部長の亀岡裕次氏は、年内でドルは90円ぐらいまでの上昇は可能とみている。現在、米1年物の金利はOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)などでみると、0.1%を少し上回った水準にあるが、年末ぐらいまでに0.3%ぐらいまで上がる可能性があるという。「仮にドルOISが0.3%と仮定すると、今までのドル/円との関連で言うと、90円ぐらいはあり得る水準だ。金利が0.1%台のままであれば、たとえば2年債も現状の水準からほとんど動かないのであればドル/円は動かないだろうが、景況感の改善が続く限りはそういうことはないのではないか」と話している。

<マーケットの日銀に対するイメージが変化>

欧州経済は依然厳しく、金利上昇予想は強まっているわけではない。マークイットが発表した2月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、50.4から49.7に低下し、景況感の改善と悪化の分岐点となる50を割り込んだ。しかしながらギリシャ2次支援策が合意されたことでユーロは底堅く推移、対ユーロでも円安が進んでいる。

欧米の事情以上に今回の円安の原動力となっているのが、マーケットの日銀に対する見方の変化だ。「日銀は金融緩和でいつも後手に回っていた印象があったが、今回の追加緩和で将来のリスクに先手を打って金融緩和を行うスタンスに軸足が変わったとの見方が強くなっている」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)という。世界的な金融緩和競争のなかで、日銀の政策が突出して緩和されたかのかは判断しにくいが、市場では「少なくとも『緩和負け』のイメージが払しょくされ、過度な円高が修正されている」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との見方が広がっている。

23日午前の衆議院予算委員会に出席した白川方明日銀総裁は、日銀はデフレ脱却に全力をあげているとしたうえで「当面物価上昇率1%を目指して強力に金融緩和を続ける固い決意」と述べた。

こうした見方の変化を背景に海外ヘッジファンドなどが円のロングポジションを巻き戻している。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の取組(2月14日までの週)では、円ロングのネットポジションは5万5000枚から2万9000枚に急減した。市場ではさらに減少しているとの見方が多い。

日経平均.N225は短期的な過熱感が強まっているが、円安による企業業績回復期待を背景に依然底堅い動きを示している。海外短期筋の買いの勢いは一巡したが、下値では株価上昇局面に乗り遅れた海外実需筋や国内機関投資家が押し目買いを入れるため、下がりにくい相場になっているという。三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏は「米景気が回復すればいずれ米金利も上昇せざるを得ない。日本株は過熱感からいったん調整が入るかもしれないが、ドル高/円安が相場を後押しする展開が続く」とみている。

ただすべてがバラ色というわけではない。2010年後半にも金融緩和期待による過剰流動性相場が到来したが、原油価格の上昇などを機に景気は失速した。金融緩和によって生み出された過剰流動性がインフレを高進させれば金融緩和路線は転進を余儀なくされ、景気を圧迫する。ギリシャ第2次支援策も各国の承認待ちであるほか、財政緊縮策などがきちんと実行されるかには疑問もある。市場にリスクオフのムードが戻れば円買いが再開する可能性は小さくない。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 布施太郎)

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