March 12, 2012 / 2:42 AM / 7 years ago

復興予算の使い道は地元に委ね、首都圏の規制緩和を急げ=八田達夫教授

政府は復興予算の使い道を地元に委ね、その一方で規制緩和や羽田空港の拡張などを通じて東京をはじめとする大都市機能の強化を急ぐべきだと八田達夫・大阪大学名誉教授は説く。また、日本の電力自由化議論をリードしてきた立場から発送電分離と電力リアルタイム市場創設の必要性を訴える。

八田達夫氏は、大阪大学名誉教授・招聘教授、学習院大学客員研究員。政策研究大学院大学の前学長。経済産業省・資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本問題委員会のメンバーの一人として、国のエネルギー政策見直し議論にも参加。ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士。

八田教授の提言は以下の通り。

<財源の使い道は被災地・被災者が決める>

震災からの復興を考えたとき、重要なことは、被災地が国から受け取ったお金の使い道を自分たちで優先順位を付けて決定できるようにすることである。

言い換えれば、中央が予算や補助金の具体的な割り当て(箇所付け)を行うことは、避けるべきだ。なぜならば、現地のニーズや強みからかけ離れたバラ撒きや、被災地の受け身の姿勢を助長しかねないからである。

たとえば、東北に限らず日本には港が無数に存在するが、これは基本的に土木利権のために作られたものだ。あまりに数が多すぎる。震災からの復興を機に、特に東北エリアでは港の選択と集中を進めるべきであり、復旧のみを目指した硬直的な港再整備予算などは組むべきではない。

もちろん、被災地に任せたからといって、必ずしも効率的な予算配分がなされるとはかぎらないが、中央の論理で考えるよりもはるかにましなはずだ。少なくとも地元のニーズや強みに即したお金の使い方が、より真剣に模索されるはずだ。

当事者に判断を委ねるべきという意味では、被災者の仮住居に関する公的補助金もそうだ。本来は仮設住宅に住もうが、東京の子供の家に移住しようが、補償はどこにいても受け取れるようにすべきである。

仮設住宅に限るのでは、「箱物行政」の域を脱していない。民主党政権も「コンクリートから人へ」を標榜するならば、仮住居を必要とする当事者その人にお金が行き渡るようにすべきだ。その使い道は、受け取った人が考えればよい。

<規制緩和と羽田空港拡張で大都市機能強化を>

被災地の復興に直接関係するものではないが、今後の日本を考えたときに実現しなければならないのが大都市機能の改善・強化だ。

2002年に容積率規制が一部緩和され、東京駅周辺にもかなり多くの高層ビルが建設されたが、まだ不十分だ。上海や香港といったアジアの大都市と伍していくためには、容積率規制のさらなる緩和が欠かせない。また、ビルや工場などにCO2の総量削減を義務付けている東京都の環境規制もある程度見直す必要があろう。

交通インフラの再整備も急がなければならない。特に、成田空港に比べて利便性の高い羽田空港の一層の国際化は、地方各都市に世界の人・モノ・カネをより迅速に運ぶことを可能にし、震災後の日本経済復興に大きく貢献するだろう。

空港の物理的拡張はもとより、新幹線でつなぐことも検討すべきだ。羽田空港を拡張すると、東京港への航路の邪魔になるとの声もあるが、そうであるならば思い切って東京港をなくして横浜港に集中するのも検討に値するのではないか。地理的に見てこれほど近くに大きな港が2つもある国はないわけで、いずれかに集中させることは経済合理性にかなっている。

<電力リアルタイム市場を創設せよ>

率直に言って、現行の日本の電力市場には需要を抑制する手段も、発電所間の競争を促す仕組みもない。そのため電力が不足すると、昨年のように計画停電を招く問題がある。

この問題を根本から解決するためには、価格メカニズムによる電力需給調整が必要だ。分かりやすく言えば、電力需給がタイトなときには、電気料金を高くすることである。価格が上がれば、ユーザーは不要な電気利用を控えるので、需要量は抑制される。

市場価格によるリアルタイムでの電力需給調整は、具体的には次のような仕組みが考えられる。

大口需要家および発電者は前日、送電指令所に対して、需要計画や供給計画を届け出る義務を負う。届け出の翌日、実際の利用分とのギャップ分を市場で清算する。需要計画に比べて超過した分は支払い、節電できたら買い取ってもらう。後者では、節電インセンティブが働く。また、発電側も市場で余剰分を売ったり、不足分を買ったりできる。自家発電も参入しやすくなるだろう。

ちなみに、このリアルタイム市場の形成にあたっては、電力会社の「発電」と「送配電」(および送電指令部門)を分離する電力改革、すなわち発送電分離を実現することが望ましいと考えている。現行の発送電一貫体制のまま価格メカニズムを導入しても、電力市場の競争が限られることから、効果は薄れてしまうだろう。

(3月12日 ロイター)

(タグ:日本再生への提言 Reconstruction1 Energy1 Growth1)

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