March 16, 2012 / 7:42 AM / 7 years ago

海外の知識労働者を登用せよ=加藤隆俊・国際金融情報センター理事長

日本の課題は、日本人だけで解決しようとする必要はない――。元財務官の加藤隆俊・国際金融情報センター理事長は、政策的に助成したとしても、海外の優秀な知識労働者を招き、日本人と一緒に考えてもらう仕組みを整えるべきだと語る。

加藤隆俊氏は、元財務官(1995─97年)。米プリンストン大学客員教授などを経て、2004─09年国際通貨基金(IMF)副専務理事。10年から国際金融情報センター理事長。

全3項目の提言は以下の通り。

<「知」を日本人だけに求める必要はない>

日本に限った問題ではないが、多くの先進国は国内の雇用確保の面において輸出主体の製造業から教育や社会保障関連など非貿易財分野へのよりいっそうのシフトを迫られている。

このシフトを円滑に進めるためには、英知の結集が望まれる。グローバルに開かれた現代において、知を日本人だけに求める必要はない。政策的に助成したとしても、海外の優秀な知識労働者を招き、日本人と一緒に考えてもらう仕組みが不可欠だと私は考えている。

たとえば、英国では中央銀行であるイングランド銀行の金融政策委員会の委員がアメリカ国籍だったり、国際通貨基金(IMF)に派遣している理事代理がデンマーク国籍だったりする。国の行方に影響を与えるシニアなポジションにおいて、海外の人材を登用する姿勢は先進諸国の中でも抜きん出ている。

日本の場合、一足飛びに政府や中央銀行は無理でも、公的教育機関の教員の一定割合は外国人にするといった決め事があってもいいのではないだろうか。中国も北京大学や清華大学には相対的に多くの外国人教員がいると聞く。

何も日本人の想像力が低いと言っているわけではない。日本人がどっぷりと浸かってきたライフスタイルとは違う視点から、独創的なアイディアを提示してくれるのではと期待しているのだ。

海外の人材を登用すれば、必然的な流れとして英語教育のインフラも今以上に整えなければならなくなる。海外に比べて遅れている女性の管理職登用も進む可能性が高い。後者は、少子高齢化の進展で労働力不足が深刻化する日本にとって、非常に重要な論点である。日本企業の経営にとっても、よい影響を与えることになるだろう。

<「官」の能力の活用>

政治主導が声高に叫ばれる時代にあって、官の役割が難しくなっていることはわかる。しかし、5年後、10年後の国家の戦略を考える組織がどこかに必要であることに異論を挟む人は少ないだろう。

アメリカでは大学やシンクタンク、ドイツやフランスなどの欧州諸国では主に中央銀行や政府傘下の研究組織がその役割を担っている。日本の場合、歴史的に官がその役割を果たしてきたわけだが、ここ数年は政治主導の流れの中で関わりを減らしつつある。

もちろん、その役目を官庁だけに限る必要はないが、能力を持った人間の集まりであることを考えれば、中長期的な国家の課題と政策対応の検討において、もっと活用されてしかるべきだろう。

<財政再建は、もはや待ったなし>

10%までの消費増税を「税と社会保障の一体改革」案に盛り込んだ野田政権が、相当な決意と危機感を持って財政再建に正面から取り組んでいることは素直に評価されるべきだ。ただ重要なことは、与党全体として、国全体として、政策を実際にデリバーすることだ。

消費増税に向けた国民のコンセンサスを得るためにも、世代間の負担問題である社会保障問題に真摯に取り組み、全体像を見直し、持続可能な状態に持っていかなければならない。

そもそも新発債の発行額が税収を上回るという異常事態は持続できるようなものではない。人口が爆発的に増えているならば話は別だが、日本はむしろその逆に人口減少のペースが速まり、高齢者が増えている社会だ。負担をお願いすべきところはお願いし、身を切るべきところは切る。当たり前のことを政府が有言実行できなければ、ギリシャの例を見るまでもなく、日本を見る世界の目は一気に厳しくなるだろう。世界経済運営における日本の影響力も大きく低下しかねない。財政再建は、もはや待ったなしだ。

(3月16日 ロイター)

(タグ:日本再生への提言 Immigration1 Fiscalpolicy1)

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