March 14, 2012 / 6:07 AM / 8 years ago

コラム:ドルは85円突破も、FRBの景況感や不胎化QE観測で

田巻 一彦

3月14日、外為市場でドル高/円安が進んでいる。FRBの景況感や不胎化QE観測で、ドル/円が昨年4月以来の85円突破を記録する可能性も。都内で2010年9月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 14日 ロイター] 外為市場でドル高/円安が進んでいる。13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、米連邦準備理事会(FRB)が米経済の先行きを小幅上方修正し、ゼロ金利政策の時間軸短縮の思惑が市場で浮上。さらに一部で報道された不胎化した量的緩和(QE)に対する観測も加わって、2年米国債利回りが上昇し、ドル買いの材料になっている。

4月のFOMCで不胎化QEの採用が議論される可能性があり、しばらくはドル高/円安の圧力がかかりやすくなり、ドル/円が昨年4月以来の85円突破を記録する可能性があると予想する。

<2年米国債利回り上昇、ドル買いに>

13日のFOMC声明では、向こう数四半期の景気見通しについて、「緩やかに(moderate)に成長する」と明記し、1月のFOMC声明時の「向こう数四半期の経済成長は控えめに(modest)になる」から判断を小幅引き上げた。失業率は依然として高止まりしているとしながら「ここ数カ月で顕著に低下した(declined notably)」と指摘した。

欧州情勢との関連で、国際金融市場の緊張は和らいだものの「引き続き経済見通しに対する著しい下方リスク(significant downside risks)となっている」と厳しい見方を維持した。一方、13日のNY市場は、2年米国債利回りが前日の0.32%台から0.3460%に上昇。日米の2年物金利差が拡大し、ドル買い/円売り材料として市場参加者に意識された。

さらに12日のコラム「堅調な米指標が一段の円安/株高材料に、リスクは年後半の米景気失速」で、すでに指摘したように、不胎化QEの可能性に関する思惑が、2年米国債利回りを押し上げる材料として強く意識されている。7日の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、FRBは国債買い入れとともに市場から低利で資金を借り入れ、その資金吸収によって国債買い入れによる資金供給分を不胎化する仕組みを検討しているという。

不胎化QEは、短期資金を吸い上げるため、2年ゾーンなどの短めの金利が上がりやすくなるという心理を市場に植え付けやすくなっている。QE3が採用された場合は、米金利は期近から期先までイールドカーブの全般にわたって低下圧力がかかりやすくなるとみられており、不胎化QEとQE3とでは、2年ゾーンの金利は正反対の動きをすることが予想される。

<4月FOMCで不胎化QE議論の可能性>

現在のツイストオペの手法は、今年6月で終了することが決まっている。終了後に何も対応しなければ、米長期金利は上昇し始め、米景気に下押し効果をもたらす可能性がある、と多くの市場関係者が予想している。FRBも当然、同様の懸念を持っているに違いない。一方、原油価格とガソリン価格の上昇が米景気のリスクとして意識されており、原油価格を押し上げかねないQE3への抵抗感は、共和党議員を中心に根強く、6月から直ちにQE3が採用される可能性は低い。

そこで不胎化QEへの期待感が、米市場で高まっているようだ。4月のFOMCでは、ポスト・ツイストオペをめぐって何らかの議論が展開される公算が大きい。とすれば、しばらくの間は日米2年物金利差が、拡大する方向に圧力を受けやすい地合いが継続するだろう。その結果、ドル高/円安方向への力が働きやすくなると予想できる。

欧州中銀(ECB)による3年物資金供給オペ(LTRO)の予想外の効果によって、世界の金融・資本市場の危機感は急速に後退している。リスクオフの地合いの中で、2月14日の日銀による事実上の物価目標採用と追加金融緩和の決定も加わって、円は足元で最も売られやすい通貨に浮上している。したがってドル/円が2011年4月以来の85円突破という展開になっても、大きな驚きにはつながらないだろうと予測している。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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