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日米緩和期待残り市場に余裕、米企業決算の減速には警戒感
2012年4月10日 / 04:32 / 6年後

日米緩和期待残り市場に余裕、米企業決算の減速には警戒感

[東京 10日 ロイター] マーケットは3月米雇用統計を消化し落ち着きを見せている。米景況感は後退したが、日米の追加金融緩和期待が市場に余裕を与えている。きょうの日銀会合では追加緩和が見送られたものの、27日の会合で実施されるとの予想が多い。米国でも6月に量的緩和第3弾(QE3)が実施されるとみられている。

4月10日、マーケットは3月米雇用統計を消化し落ち着きを見せている。写真は都内の外為トレーダー。2010年9月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

ただ、アルコア(AA.N)から始まる米決算発表については増益ペースが鈍化するとの見方もあり、一段の景況感の冷え込みには警戒感も出ている。

<6月のQE3予想が多数>

一度は後退した米追加緩和期待が再び高まってきている。3月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で追加緩和を支持する参加者が減少したことが明らかになり、市場はいったん失望したが、3月米雇用統計が市場予想を大きく下回ったことで、QE3予想が再び盛り返した。

ロイターが9日まとめた米プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)調査では、プライマリーディーラー16社中11社が、米連邦準備理事会(FRB)はQE3を実施すると予想。このうち10社が、6月にQE3実施が発表されると予想した。QE3の規模については、9社の予想中央値が6000億ドルとなり、3月9日に実施された調査の5250億ドルから増加。9社中7社が国債とモーゲージ担保証券(MBS)の双方が買い入れ対象となると予想している。

BNPパリバの北米チーフエコノミスト、ジュリア・コロナド氏は3月雇用統計について「緩和プログラムの1つの終わりが近づくなか、このような失速パターンが見られたことにより、FRBは若干の追加保険的な措置を講じると思う」と述べた。FRBは現在、短期債を売却し長期債を買い入れる「ツイストオペ」を実施しているが、同オペは6月末に終了する。

FRBのバーナンキ議長は9日(日本時間10日朝)、アトランタ地区連銀主催の会合で講演し、現在の経済情勢や金融政策の見通しには言及しなかったものの、米経済について、金融危機の影響から全面的に回復したと言える状況には依然程遠いとの認識を示した。

もともと景気に慎重な認識のバーナンキ議長の発言だっただけに、マーケットの反応は乏しかったが、円債市場では「米景気回復期待が本格的にはく落するリスクも出てくる」(外資系証券)として、米追加緩和実施に期待する声も出ていた。

<注目される日銀総裁会見>

日銀はきょうの決定会合で金融政策の現状維持を決定した。前日まで円高・株安が進んだことで、きょうの追加緩和決定を予想する声も出ていたことから、発表直後は円買い・株先売りが若干進んだが、仕掛け的な売買はほとんど見られず、反応は限定的だ。

市場に余裕が感じられるのは、展望リポートを公表する27日の会合では追加緩和を実施するとの見方が多いためだ。「物価上昇率のめどである1%を2013年度に達成するのは難しいため、追加緩和を実施してデフレ脱却を目指すということになろう」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)と予想されている。白川方明日銀総裁の会見などで、市場の追加緩和期待が維持されれば、27日の追加緩和期待がドル/円や日本株を下支えるとみられている。

ただ海外勢の一部には、日銀のデフレ克服に対する「本気度」を疑う向きもいるという。JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部チーフFXストラテジスト、棚瀬順哉氏は、海外投資家の間では、日銀がどの程度金融緩和について積極的かということについて懐疑的な見方が多いように見受けられると話す。

投機筋の円ショートポジションがたまっていることから、休日明けの海外勢が本格的に参戦した後で、本格的な円買い・日本株売りが強まる可能性も警戒されている。白川日銀総裁の会見でタカ派的な色合いが強く出れば、材料視されやすい。IMM通貨先物の取組(4月3日までの週)では投機筋の円のネットショートポジションは約6万5000枚と、円高が進んだにもかかわらず前週から2000枚程度の減少にとどまっていた。

バークレイズ銀行のチーフFXストラテジスト、山本雅文氏は今回の日銀決定会合について「前回の会合で追加的緩和策を主張した委員の声は静まり、全員一致で金融政策の現状維持を決定し、ハト派色が後退している。27日については期待は残るものの、本当に緩和を実施するのかとの懐疑的な見方も広がっている」と述べている。

<米企業決算は増益ペース鈍化か>

追加緩和期待は残っているものの、「ネガティブ・サプライズ」となった3月米雇用統計が米景気に対する過度な楽観を戒めたことも事実だ。今晩の米アルミニウム大手アルコアから米決算発表シーズンが始まるが、トムソン・ロイターが5日時点でまとめたアナリスト予想によると、米S&P500社の1─3月期純利益は3.2%増にとどまる見通しだ。米アップル(AAPL.O)を除けば1.8%増に下がる。

中国や欧州の景気減速懸念は強く、米経済がその影響を受けずに、これまでのようなペースで拡大するかどうかには疑問の声も少なくない。大量の失業者を抱えながら緊縮財政を迫られる欧州経済は今年マイナス成長になる見通しだ。

国債利回りが上昇しているスペインのデギンドス経済相は9日、財政赤字削減に向け、公的医療制度改革の一環として富裕層に負担を求める案を検討していることを明らかにしたが、景気への圧迫も懸念されている。

年初からの株高の原動力となったのは米景気回復と金融緩和だった。堅調な経済指標もあり、米景気回復期待が崩れたわけではないが、3月米雇用統計をきっかけに市場が疑問を持ち始めたことで、「株価の下値は支えられても押し戻す力は弱まった」(国内証券エコノミスト)との見方も出ている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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