May 7, 2012 / 9:12 AM / 7 years ago

焦点:本格化する「音楽クラウド」、無料サービスの競争激化

[ニューオーリンズ 6日 ロイター] 音楽の提供方法がレコード盤からコンパクトディスク(CD)に進化するのに数十年、その後CDからMP3プレーヤーに移るのにも長い年月がかかった。今、Pandra(パンドラ)やSpotify(スポッティファイ)といった無料の音楽ストリーミングサービスが、デジタル音楽プレーヤーの競合相手として台頭しつつある。

5月6日、サービスが本格化する音楽クラウドは、Pandra(パンドラ)やSpotify(スポッティファイ)など無料サービスの競争が激化している。写真はリマのインターネットカフェで2月撮影(2012年 ロイター/Pilar Olivares)

4月27日─5月6日に開催されたニューオーリンズ・ジャズ・アンド・ヘリテージ・フェスティバル。そこで聴いたアーティスト、テレサ・アンダーソンのファンになったダナ・スパニアーマンさんは早速、同じようなブルース調のハーモニーをパンドラで探そうとしていた。

「彼女の名前をパンドラに入れて、他にも知らないアーティストを見つけようと思う」。スパニアーマンさんは1億2500万人が登録するパンドラメディアP.N.のユーザーだ。同サービスでは、「ステーション」と呼ばれるプレイリストを自分で作ることができる。

ユーザーが、パソコンやスマートフォンにダウンロードしたアプリにジャンルやアーティスト、楽曲の名前を入れると、パンドラが自分の好みと思われるさまざまなアーティストの曲を集め、ストリーミング配信してくれる。

「好きなジャンルを入れれば、それほど知らない他のバンドも聴けるのはとても素晴らしいと思う」。スパニアーマンさんは、パンドラの利点をこう話す。

パンドラは「ミュージック・ゲノム・プロジェクト」の技術を利用して、利用者にカスタマイズされたプレイリストを提供する。この技術は、音調、リズム、楽器、音楽スタイルに関連する約450もの基準から楽曲を分析し、分類化できるという。

同サービスは既に100万近くの楽曲をデータベース化し、無料で配信している。こうした無料配信は、音楽にお金を使いたくない利用者には大きなプラスだ。スパニアーマンさんも「私にはとても合ってる。コマーシャルは全然気にならない」と話しながら、パンドラの主な収益源である広告をタッチした。

<新たな収益>

2000年に創業したパンドラは昨年、2億7400万ドル(約218億円)の売上高を記録した。そのほとんどは、ストリーミングの間に入る10─30秒の広告とグーグルなどとの広告パートナーシップから得たものだ。

しかし、広告収入の増加と歩調を合わせるように、コスト圧力も上昇しつつある。同社は、視聴されたアーティストに使用料(ロイヤリティー)を支払う契約の下で運営しているからだ。

会社側の情報によると、昨年1年間で支払ったロイヤリティーは約1億5000万ドル。支払いを仲介する「サウンド・エクスチェンジ」のマリー・ノウルズ氏によると、ロイヤリティーは1ユーザーが1曲聴くごとに0.1─0.2セントで、年間5000ドル以上を支払うアーティストはほとんどいないという。

パンドラはアーティストの懐をそれほど潤してはいないが、「従来の収益源とは違う」ため、多くのアーティストはパンドラ方式を受け入れているとノウルズ氏は語る。

また、前出のテレサ・アンダーソンなど、130以上のアーティストのマネージメントを手掛けるガーリー・アクション・メディア(ニューヨーク)のケビン・ワーティス氏は、「(PRの)チャンスと露出増加が全て」と、パンドラが宣伝にも役立っていると話す。「良いインパクトがあると思う。皆が新しい音楽に触れることができるし、多くの人が気に入っている」と評価している。

<良い音楽への渇望>

パンドラの創設者で、最高戦略責任者(CSO)のティム・ウェスターグレン氏自身も、音楽家であり作曲家だ。同氏はニューオーリンズでの業界会合で、同時に開催されているフェスティバルについて、「よく知られたバンドもあるが、若くて聞いたことがないようなバンドもある」とした上で、「良い音楽を渇望する多くの人たちがいる」と語った。

ウェスターグレン氏は、パンドラが同フェスティバルのように、知名度の低いアーティストを有名アーティストと同じ土俵に置き、ユーザーに幅広い選択肢を提供していると説明する。

同社は今年1月末までの1年間で1600万ドルの赤字を計上したが、ウェスターグレン氏はユーザーの増加が売上高を押し上げると強気だ。「規模が大きくなってきたことで、広告販売につながっている」と述べ、広告販売に「絶対的な自信を持っている」と強調した。

米証券取引委員会(SEC)に提出された資料によると、同社は今年度の売上高を4億1000万ドルと予想。ただ、特にモバイル端末における新たな広告が導入されるまでは、赤字が続くと見込まれている。

<激化する競争>

パンドラにとって、もう1つの問題は他の音楽配信サービスとの競争だ。中でも、約1800万曲をストリーム配信するデジタル音楽サービスのスポッティファイは人気が急上昇している。

スポッティファイがパンドラと異なるのは、ユーザーが聴きたいアーティストやアルバムを選択できるオンデマンドのサービスだという点。このため、同社は各アーティストと個別にライセンス契約を結んでいる。

また、パンドラのライセンスが現在米国に限定されているのに対し、スポッティファイは13カ国で展開中。両サービスは多くが無料だが、ともに利用料を支払うアップグレード版も提供している。

スポッティファイのアクティブユーザーは現在1000万人で、有料会員も約300万人に上る。サービスの利用にはフェイスブックのアカウントが必要になり、フェイスブックのパーソナルページでどんな音楽を聴いているか友達が見られるようにもなっている。

フェイスブックとのパートナー関係によって、スポッティファイの露出は増大しているが、それを好まないユーザーもいる。前出のスパニアーマンさんは「スポッティファイの嫌なところは、自分の聴いている音楽がフェイスブックに出ること。何を聴いているかを皆に知ってもらう必要はない」と話している。

サービスなどに違いはあれ、スポッティファイがパンドラをじりじり追い上げる展開は続くとみられる。スポッティファイが、パンドラに似たサービスを今年中に開始するとのうわさもある。

2011年6月の新規株式公開(IPO)時に16ドルだったパンドラの株価は、足元では9ドルを下回る水準で取引されている。

(原文執筆:Kathy Finn 、翻訳:橋本俊樹、編集:宮井伸明)

*記事の体裁を修正して再送します。

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