May 24, 2012 / 9:53 AM / 7 years ago

アングル:短期的なユーロ反発予想も、中長期的には先安感

[東京 24日 ロイター] ギリシャのユーロ離脱懸念で、ユーロ/ドルは約1年10カ月ぶりの水準まで下落したが、目先の反発を予想する声が出始めている。

5月24日、ギリシャのユーロ離脱懸念で、ユーロ/ドルは約1年10カ月ぶりの水準まで下落したが、目先の反発を予想する声が出始めている。写真は昨年11月、ブリュッセルで撮影(2012年 ロイター/Francois Lenoir)

テクニカル的に売られ過ぎのサインが出ているほか、投機筋のポジションからも買い戻しが入りやすいためだ。ただ、ギリシャ再選挙など欧州情勢には依然不透明感が漂っており、中長期的には下落トレンドを予想する声が目立つ。

<弱い欧州経済指標で売り加速>

24日の外為市場で、ユーロは一段安となった。対ドルで1.2515ドルと1年10カ月ぶりの安値をつけたほか、対円も2月1日以来の安値となる99.37円まで下落。5月ユーロ圏総合PMI速報値、5月IFO独業況指数が相次いで発表されたが、いずれも市場予想を下回り、売り圧力が強まっている。

みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は「6月末にEBA(欧州銀行監督機構)による自己資本規制の締切りを迎えるが、当初の予定であれば、基準を達成できない銀行にはEFSF(欧州金融安定ファシリティ)からの注入が行われる。この際に、再びその過不足を問う議論が持ち上がればユーロ売りを招くだろう」と指摘。ユーロ/円の100円割れは、遅すぎる印象で、更なる下値リスクも想定したい、との見方を示す。

<短期テクニカルは売られ過ぎサイン>

もっとも、テクニカル的には売られ過ぎのサインが出ており、目先の反発を予想する声も出始めている。パラボリックなどトレンド系のチャートは依然売りシグナルが点灯しているものの、短期的な過熱感を示すRSI(相対力指数)は日足では売られ過ぎのめどとなる30%を下回っており、「基本的に売り目線は持っているが、一定の戻りは考慮したい」(三菱UFJ信託銀行・資金為替部営業推進役の藤島雄介氏)との指摘も聞かれている。

藤島氏によると、ひとまずこれまでサポートラインだった1月13日の安値1.2624ドルまでの戻りを試す可能性が高いという。2010年6月の安値1.1876ドルと、2011年5月の高値1.4940のフィボナッチ比率76.4%の水準にも一致するほか、2000年からのトレンドのサポートポイントにもなることから、「今は割り込んでいるが、この水準が意識される可能性がある」という。

ユーロ/円もテクニカル面では反発してもおかしくない状況にある。藤島氏は、ユーロ/円はユーロが発足以来、週足ベースで5週以上連続で陰線だったことは過去1度しかないと指摘。今週で陰線は5週目に当たることから、今週から来週に一時反発する可能性は十分あるとみている。

<中長期は前向きに買える理由見当たらず>

ただ、中長期的にみればユーロは「前向きに買える理由はほとんどない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア為替・債券ストラテジストの植野大作氏)との見方は根強い。ギリシャ再選挙の行方は依然不透明で、植野氏は「再選挙の6月17日までまだ3─4週間あるので、その間は買える通貨ではないということで、上が難しいのであれば、やはり下をトライするような市場心理が強まりやすい」とみる。ユーロ/ドルがあと数百ポイント下がれば、数円は下がるリスクは十分あるという。

ギリシャをめぐるベストシナリオは、旧連立与党が復活、緊縮財政を受け入れ、ユーロ離脱懸念や無秩序なデフォルト懸念が後退するというものだが、「ショートの買い戻しがあっても、ロングの積み増しはない」(植野氏)との見方が大勢を占めており、上値は限られそうだ。

欧州中央銀行(ECB)の緩和期待が高まりやすいことも、ユーロの足かせになる可能性がある。市場では「金利がゼロの日米に比べるとのりしろがある分だけ、こういう状況になればなるほど金融緩和を期待する声は高まりやすい。その分、ユーロに下押し圧力がかかりやすい」(国内証券)との声が出ている。

<ギリシャ離脱ならユーロ/ドルはパリティか>

ギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びる中で、相場への影響試算も出始めた。みずほコーポレート銀行の唐鎌氏は「正確な水準は予想不可能だが、過去の経験則から目途をつけるのは可能」と指摘。「1992年のERM(欧州為替相場メカニズム)危機を参考にすれば、想定される下落幅はマイナス20%程度というイメージで、現水準からはパリティ前後が展望される」と予想する。ただ「非常に僅かな可能性であるにしろ、通貨圏の崩壊まで囁かれる以上、ERM危機を前提にしたマイナス20%ケースは保守的シナリオかもしれない」と厳しい見方も示した。

ある大手邦銀関係者は「今起きていることは壮大な実験でユーロを作ったが、それが失敗したということ。足元では1.2ドルとかそういうレベルを目指すのだろうが、長い目で見たらパリティとか、そういう水準を目指すとみていい」との悲観的なシナリオを描いている。

(ロイターニュース 志田義寧 編集:伊賀大記)

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