July 12, 2012 / 4:48 AM / 7 years ago

日銀は緩和見送り、札割れ対策導入:識者はこうみる

[東京 12日 ロイター] 日銀は11、12日に開いた金融政策決定会合で、政策金利の据え置きを全員一致で決定。また、資産買い入れ基金での札割れを回避するため、固定金利オペの買い入れ規模を従来より5兆円減額し、代わりに短期国債を5兆円増額するなどの措置を決めた。

7月12日、日銀は金融政策決定会合で、政策金利の据え置きを全員一致で決定。写真は2010年10月、ソウルにて(2012年 ロイター/Lee Jae-Won)

市場参加者の見方は以下の通り。

●世界的な緩和競争下で日銀のみ慎重姿勢

<岡三証券 日本株情報グループ証 石黒英之氏>

短期国債買い入れ5兆円増額のヘッドラインを見て、初動は円売り・株買いとなったが、同時に固定金利オペを5兆円減額したため、初動の動きは短期にとどまった。株式市場にとってはETF買い入れ額の増額など純粋な規模拡大が必要で、今回の日銀の対応は評価しづらい。ETF買い入れ額は残り3000億円程度しかなく、今後1日の買い入れ額が減っていく可能性がある。

またブラジルや韓国がきょう利下げを実施するなど世界的に緩和競争が激しくなるなかで、日本のみが緩和に慎重だと「日銀は緩和に対して後ろ向き」とのレッテルが定着してしまう。中期的にはこれがボディーブローのように響き、投資筋につけ入る隙を与えかねないだろう。

●量的緩和期のオペに近づいた

<SMBC日興証券 チーフ債券ストラテジスト 末澤豪謙氏>

1年以内の資金供給を円滑化するために、固定金利オペを5兆円減額する一方、短期国債買い入れを5兆円程度増額した。従来0.1%という下限金利があるので、下限金利を撤廃することで、1年以内の短期国債の買い入れを円滑化するということになった。1年以内の金利は下がるが、しばらく買えることになるだろう。

資金供給を円滑化して、基金の70兆円というターゲットを確実にするために、今回の対応を行ったと受け止めている。これによって、国庫短期証券は日銀に集まると思われる。日銀は国庫短期証券の購入によって、資金供給が可能になる。量的緩和期のオペレーションに、ある面では近づいた印象だ。

会合結果を受けて、国債先物が急騰する場面があった。固定金利オペを減らして、長期国債を買い入れるオペレーションをやっているので、同じではないかという理解が働いて買い進んだ向きがいるようだ。しかし長期債にはあまり影響はないだろう。

●札割れ対策、ドル80円はレジスタンス

<シティバンク銀行 チーフFXストラテジスト 高島修氏>

日銀は短期国債の買い入れを5兆円程度増額する一方で、固定金利オペを5兆円程度減額することを決めたが、基本的には金融緩和という側面よりは、札割れ対策という技術的側面の方が大きい。ドル/円は一瞬上昇したが、ヘッドラインに振らされただけだろう。今後については、ドル/円は80円近辺がさしあたってのレジスタンスだとみている。少なくとも、ボリンジャーバンドの上限と一目均衡表の上限が重なる80.50円近辺を突破するのは難しいだろう。

●足元の景気減速を織り込めていない

<マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上尚己氏>

固定金利オペを5兆円程度減額する一方で、短期国債の買い入れはを5兆円程度増額することは、事前の一部報道にもあったので驚きはない。札割れへのテクニカル的な対応だろう。

短期国債の買い入れをより確実に行うためとして、買い入れにおける入札下限金利を撤廃することを決めたことは、欧州中央銀行(ECB)の中銀預金金利をゼロにしたことに多少影響されたのではないか。ユーロから資金が日本に流入するとの見方もあり、そうした可能性をケアしたとみている。

日銀の景気見通しはやや強気だが、6月短観などが良かったためであり、足元で減速感が強くなっている米経済などを織り込めていない。今後、景気認識を下方修正せざるを得ず、その際には追加緩和も実施されると予想している。

●基金積み上げを念頭、短国利回り低下に限界も

<東短リサーチ・研究員 寺田寿明氏>

日銀は、札割れが相次ぐ固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円程度減額する一方、短期国債買い入れを5兆円程度増額した。同時に短期国債の買い入れで、入札下限金利(現在0.1%)を撤廃した。日銀は基金残高目標を2013年6月末をめどに70兆円に置いているが、オペで応札を集めやすくし、基金残高の着実な積み上げを念頭に置いた措置とみられる。

ただ、超過準備の付利が0.1%に据え置かれたままだ。現状、短国を付利水準(0.1%)を下回る水準で購入する投資家は多くない。短国1回あたりの数兆円単位にのぼる発行量を踏まえると、業者が短国入札で0.1%割れの水準で大量に落札したところで、オペに売却できる量に限界がある。短国利回りには多少低下圧力がかかるかもしれないが、超過準備の付利水準から大きく下がることもないのではないか。

●8月FOMC控え、手段を温存

<パインブリッジ・インベストメンツ 運用本部長 前野達志氏>

まったくのゼロ回答ではなかったが、金融政策は現状維持であり、基本的には想定の範囲内。中期的にみれば、世界的な金融緩和競争に負けるわけにはいかないものの、8月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、手段を温存した格好だろう。

一方、今回の金融政策判断には、2人のサムライ(新審議員:野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコノミストと、モルガンスタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト)は参加できていない。今後は新たに加わる2人のインフレ予想は日銀の予想よりも低いこともあり、2人が加わることで、より日銀が緩和的なスタンスに変わっていくことを期待したい。

*内容を追加して再送します。

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