August 10, 2012 / 7:45 AM / 6 years ago

アングル:アサヒとキリンの国内酒類で格差拡大、「ノンアル」でも明暗

[東京 10日 ロイター] アサヒグループホールディングス(2502.T)とキリンホールディングス(2503.T)の国内酒類事業での格差が拡大しつつある。

8月10日、アサヒグループホールディングスとキリンホールディングスの国内酒類事業での格差が拡大しつつある。都内で昨年8月撮影(2012年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

なかでも、ノンアルコールビールテイスト飲料市場では、大手4社のなかで最後発だったアサヒが今年2月に投入した「ドライゼロ」が大ヒットとなり、シェアでも第2位に躍り出た一方で、キリンはシェア第3位に後退。「ノンアル」は利益率が高い商品だけに、早期の巻き返し策が求められる状況だ。

<キリン、伸びる「ノンアルビール」市場で唯一のマイナス計画へ>

キリンHDの三宅占二社長は、1―6月期決算について「目標未達が多く、国内総合飲料は表彰台に登れるレベルではない」と振り返った。懸念材料が多かった海外事業は年初計画通りに進捗したものの、肝心の国内総合飲料事業が下振れている。

なかでも目立ったのは、年初に各社が勝負どころとしていたノンアルコールビールテイスト飲料市場だ。6月までの半期が終わった時点で、トップブランドのサントリーホールディングスSUNTH.ULの「オールフリー」が前年同期比23%増の270万ケースと大きく伸びたほか、2月にアサヒが出した「ドライゼロ」が大躍進となった。

「ドライゼロ」は、パッケージが主力商品の「スーパードライ」に似ているなどと発売前から話題になったこともあり、6月までで216万ケースを販売。通期で300万ケースとしていた販売計画を400万ケースに引き上げている。7月も好調で累計で出荷を270万ケースに伸ばしており、勢いを持続している。

業界関係者は「オールフリーはビール代替以外にユーザーを拡大したことで伸びた。まだ市場が成熟していないだけに、アサヒの新商品を試すユーザーも多く、2社が強かった」と分析している。サントリーは、ランチタイムや仕事中にもオールフリーが楽しめる「オールフリーガーデン」を期間限定で開設するなどし、消費者のパイの拡大に努めたことが奏功した格好だ。

好調な2社に押されたのは、この市場で先駆者のキリンだ。「キリンフリー」は、1―6月期で150万ケース(同14%減)と苦戦。通期計画も「休む日のAlc.0.00%」を加えたノンアルコールビールテイスト飲料全体で550万ケースを330万ケース(前年比25%減)に引き下げた。サッポロホールディングス(2501.T)も年間計画を200万ケースから130万ケースに引き下げたものの、前年比では16%増の計画となっており、大幅に伸びている市場において、大手4社のなかでキリンが唯一のマイナス計画となる。三宅社長は、ノンアルコールチューハイも加え、ビール以外にも品揃えを拡大することで「上期は14%減だったが、下期は5.5%減まで挽回したい」としている。

<国内酒類事業の利益率で差が拡大>

酒税がなく、利益率の高い「ノンアル」の好不調は、収益に大きな影響を与える。アサヒは、2012年12月期の国内酒類事業の営業利益率を11.6%とみており、前期の10.7%からの改善を見込んでいる。一方、キリンは7.4%で、前期の8.1%から悪化する見通しだ。

サントリーHDの千地耕造・常務執行役員は、2012年のノンアルビール市場は前年比36%増の1600万ケースに達すると予想、「まだまだ伸びる市場」とみており、4社による競争は収まりそうもない。

<総合飲料新会社「キリン」の効果見極め>

アサヒ、キリンともに、2012年12月期のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)の販売数量は期初計画から下方修正した。上期の実績が計画比下振れたことに加え、上旬は天候不順に見舞われた7月が、市場全体で9.3%減と大きく低迷したことなどが要因。下方修正の結果、アサヒは前年比0.1%減と何とか前年水準を維持する計画に対し、キリンは同1.0%減となり、期初に掲げた「売上反転・拡大」の旗は降ろさざるを得なくなった。

2011年は1.7ポイントと前年よりも差を広げて2年連続でビール系飲料市場でシェアトップとなったアサヒ。1―6月期や通期見通しを踏まえると「3年連続でアサヒがシェアトップになる可能性が高まっている」(外資系証券)。アサヒがカルピス買収で清涼飲料業界3位となったのに対し、キリンは、10年に3位から4位、11年には4位から5位へシェアを下げていることに加え、ビール事業でもアサヒ優位の状況が強まっている。

キリンの三宅社長は「そう簡単に増収増益の絵が描けるほど、国内市場は簡単ではない」と話す。国内市場において、カテゴリーごとの垣根を越えた戦略を打ち出す体制作りのために、来年1月にホールディングスの下に「キリン」を設立。キリンビールとキリンビバレッジ、メルシャンの3社を傘下に置くことを決めた。三宅社長は「ビールとビバレッジが別々の事業としてブランドを開発し、価値を高めようとすると悪循環が断ち切れない」と設立意義を説明するが、効果は未知数だ。アナリストからは「国内総合飲料の立て直しは容易ではない」(別の外資系証券)との指摘も出ているなかで、市場では、新会社の効果や秋に発表する次期中期計画のなかで、キリンがどのような戦略を描くかが注目されている。

(ロイターニュース 清水 律子 編集:吉瀬邦彦)

*内容を追加します。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below